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2012年9月13日 (木)

『「社会を変える」を仕事にする』ことは実は楽しいことかもしれない

 本の内容の生真面目さと同時に、著者・駒崎氏の文章の書き方の面白さが、読ませる要因にもなっている。

 駒崎さん。小説家でも目指したら? 

『「社会を変える」を仕事にする』(駒崎弘樹著/ちくま文庫/2011年11月10日刊)

 学生時代にITベンチャーの社長になった(ただし起業したのは別の人)ものの、何か違和感を感じたときに思い出したのは、高校生のときに留学したアメリカの「個人主義の国の共同体主義」であった。その経験から「日本の社会の役に立ちたい」と考えるようになるのだが、そのためには何をすればいいのだろうか、と言う事から再びアメリカの状況に思いをいたすようになり、アメリカのNPOが「ちゃんとお金を稼ぎ出している」ということを知る。つまり、1981年に大統領になったロナルド・レーガンは『「小さな政府」路線を選択し、それまでNPOに出されていた政府からの補助金を次々にカットしていった。国からの補助金で成り立っていたNPOは運営が行き詰まり、倒産する団体も出てきた。このことに危機感を募らせたNPOのなかに、経済的自立をはたすためにビジネスセンターから人材やノウハウを引っ張ってくる動きが生じた。限られた経営資源をうまく使って効果を最大化させる、というまさに純然たる経営を余儀なくされる状況になってきたのだ』という状況を知り、それなら日本でもIT起業を経営していた自分にもできるNPOがあるかもしれないと考えるようになる。

 そこで知ったのは発熱したわが子を看病するために会社を休んだらクビになってしまった女性の話だった。

 そんなところから「病児保育問題」という言葉を知り、そんな問題で悩んでいる人たちの存在を知り、じゃあそこにニーズがあるだろうと、病児保育のためのNPO「フローレンス」を思いたつ。ところが『保育や子育て支援の業界というのは、ほとんどが子育て経験のある中年以上の女性で占められている。バックグラウンドも主婦か保育園勤務などの公務員。まるで多様性がないのだ。だからイノベーションが起きない』ということに気がつく。『全体を救うイノベーションは、つねに多様性から生まれる』というのに、なのだ。

 保育園は働くお母さんが安心して子供を預けて、その間仕事に邁進してもらうための機関である。ところが、働くお母さんたちの悩みは『「仕事と育児の両立で最も悩むことは?」という質問に対して、約7割の人が「子どもの病気で遅刻や欠勤をすることがあり、周囲に迷惑をかけてしまう」』と答えており、『「保育園に子どもを預けていて不満に思うこと」の上位に「病気のときとかも預かってほしい」というものがランクインしている』という事実なのだった。

 保育園は、働くお母さん達のためには実に良い場所なのであるが、問題は子どもが病菌かかると預かってくれなくなる、というか当然保育園側としては他の園児にその病気がうつってしまうのが怖いので、当然病気の子どもは預からない。しかし、お母さんは仕事をしたい、のに働けない。ところがそんなお母さんたちが働いている現場では、そんなに仕事を休まれてしまうと、そのお母さんが仮に能力が抜群でも、やはり第一線には配置できない。よくてバックヤードか、下手をするとクビだ。

 ということで、順風満帆で進んだはずの「フローレンス」だが、その際には政治家(区長)の邪魔が入ったり、既得権益というか以前と変わらない仕事を依然とこなすことだけが生きがいの地方公務員のイヤミなどにも耐えながら、粛々と進めなければならない仕事が多そうだ。

 結局、「フローレンス」は子どもたちを「預かる場所・施設」を作ることはやめ、駒崎氏言うところの「松永のおばちゃん」方式という、病児保育ボランティアを、そのボランティアの家で行ってもらう方式を考えだす。その他、保険共済型課金方式のお金のもらい方や、小児科医との連携方法なども考えながら、病児保育事業はスタートする。

 その中で、コンサルタントや法律家や行政マン、大手会社の人事担当者などがボランティア(「プロボノ」というらしい)として協力を申し出てくれて、ますます事業は磐石なものになる。まあ、事業というものはそんなもので、走り出さないと何にも前に進まない。かといって、走り出す前の準備もそこそこ怠りなくやっていなければならない、というジレンマに取り付かれるのだが、ただし、悩んでいることがあるのなら、走っちゃったほうが勝ちよ、ということなのだろう。当然、失敗することもあるし成功することもある。それが事業というものだ。

 で、結論としては、別に駒崎氏のやっているようなNPO法人でもいいし、IT企業を起業したっていい。問題は、いまや「いい高校に入れれば、いい大学にいけるし、いい大学を出れば、いい会社に入れて、とりあえず出世するかどうかは分らないけれども、年功序列制・終身雇用で、まあ安泰な一生を送れる」といった、20世紀日本型の成功モデルは成り立たなくなっている以上、そういう「一本線型の人生」はもうやめて、それこそ「多様性モデル」の人生を送ろうよということが、既に感覚的に優れた学生の中では当たり前になっているということだ。

 まだ、大半の学生は「一流企業」への就活ばかりを行って、結果、内定率を押し下げることばかりに夢中になっているが、最早、感性の鋭い学生たちは、そんな「旧日本型モデル」にはしがみつかないで、外資系企業にキャリア形成目的で入る人もいるし、自分で起業してしまう人もいる。

 しかし、シャープやオリンパスのように、上場企業といってもいろいろな問題を抱えている企業は多い(まあ、シャープとオリンパスでは、抱えている問題はまったく違うが)。その他の、東証一部上場企業だって、明日か明後日にはどうなるのかは分らないのだ。

 とりあえず、一本線型の人生設計は破綻モデルにある可能性が高いということで、みんな多様性モデルで行くしかないのではないだろうか。

 多様性モデルの行く先は見えない。何しろ「多様性」だからね。しかし「一本線型」よりは絶対いいはずだ(しかし、多分)。何故なら、多様性モデルである以上、その時そのときの対応次第では、どんな人生でも送れるからだ。

「多様的な生き方(ダイバーシティ)」が、基本的にこれからの生き方なのだろう。

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