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2012年9月 4日 (火)

本なんて、国の思惑でデジタル化することに何の意味もない

 最近は「デジタル化なんてしなくても、してもどうでもいいじゃないかよ」という考え方になって来ている。

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http://www.shinbunka.co.jp/

 出版界の業界紙『新文化』の8月30日版の特集タイトルが『緊デジ申請、出版社が躊躇する理由』というものなのだが、要は『日本出版インフラセンター(JPO)が経産省から受託して進めているコンテンツ緊急電子化事業(緊デジ)。経産省が10億円の補助金を出して行う国策として、電子書籍分野の産業振興を図っている。今年度に6万点の電子書籍を創出するこの事業に、出版社から5月時点で、約9万3000点の仮申請があったものの、本申請では8月28日の段階で、264社・約2273点と目標に遠く及ばない状況というのが実際である。出版社では一体何がネックになっているのか。JPOではさきごろ、EPUB3の対応を追加するなど、専門出版社の要望に応えて申請条件を緩和しているが今後、本申請の点数はどれほど増えるのか。出版者の権利許諾の問題に加え、電子化の妨げになっている出版社の課題とは。』というリードで書かれている記事は、基本的に「出版のデジタル化は当然の流れである」という主旨に彩られているわけなのである。

 でも、待てよ。なんで今まで「紙の出版」だけでよかったものが、今更「電子化」なんてことに踏み切らなければならないのか? 経産省からカネがでるから電子化するのか? そもそも、国のカネを使って事業を行うってのは出版業にとってイイことなのか? などなど、いろいろ疑問が出てくるのである。

 結局、講談社などの大手総合出版社は自前でデジタル化なんてものはできてしまうので関係ない。で、今回一番関係があるのは中小零細出版社なんだろうけれども、問題はそんな出版社が出している本は、文学作品よりはハウツウ本やビジネス書、自己啓発書の類、つまりノンフィクション分野だろう。私も最近は電子で読んでいる本は大分増えてきたが、問題は、たとえば今書いているようなブログなんかを書こうと思うと、それなりに本に付箋やら傍線などをつけて、それを見ながら書くということになってしまう。しかし、こうした使い方をする時に、電子書籍は極めて使い勝手がわるいのだ。アナログ的に「ああ、あのことはあの辺に書いてあったな」というイメージでさがせる「紙の本」に比較して、電子書籍の場合はそんなアナログ的な探し方ではうまくいかなくて、結構付箋を入れた場所を探すのに苦労する。つまり、小説なんかをストーリーの流れに沿って読むのには電子書籍は向いていると思うのだが、ノンフィクションのように前に行ったり後ろに行ったりという読み方をする読み物向きではないな、というのが私の考え方である。ということは、電子書籍ってますます小説なんかが多い大手総合出版社向けの企画じゃない? ってことになるのだ。

 では、これに対して中小零細出版社はどうなのかといえば、もともと初版3000部位で、重版してもせいぜい1万部位しか売れない「紙の本」がデジタル化したからといって数万部売れるなんてことはまず考えられない。更に、電子書籍は基本的に「衝動買い」というものがなく、電子書店のカタログに載っていなければ選べないのである。ということは、可能性として「紙の本」の初版+数部~数十部程度しかデジタル版は売れないのではないか。だったら、それをデジタル化するメリットは出版社側にはない。まあ、著者が勝手にデジタル化したければすればってなもんである。

 仮に「電子書籍が基本」になった世界を考えてみようか。そんな世界では大手出版社だけが電子出版を行っており、中小零細出版社の存在は、多分なくなってしまうだろう。まるで、新聞やテレビの世界と同じことになってしまい、これはこれで怖いことだ。

 つまり、今の出版デジタル化の話は、大手総合出版社にとっては、これからも大手でいるためには必要なことなのだけれども、抽象零細出版社にとっては、著者との契約が面倒なだけで一向にメリットはないし、アマゾンだって別に3000部位しか売れない著者の本の電子版の許諾を直接とりにいくことはないだろうし、ということは別にデジタル化しなくていいじゃん、何か企画で電子版の方が面白いことができそうだなってなったら、その時に電子版を考えればいいんじゃない、という程度の問題でしかない。

 結局、経産省が自らの省益拡大目的でもって始めようとした「緊デジ」も、そんなものに何のメリットも感じられない中小零細出版社からは無視されたわけで、結構なことであるのだ。税金を無駄に使わないで済むしね。だったら、アダルト系出版社(その大半は中小零細である)がデジタル化を希望しているようなので、そちらを優先的にデジタル化したほうが良いだろう。まあ、どんなメディアもヒットするのは始めはエッチからですからね。やはりアダルトが電子書籍をも領導するのか。確かに、電子書籍ならエッチ本を買っても、店員から「何だ」という感じで見られないっていうメリットもあるしね。エッチ本に注力する日本政府っていうのも面白いかもね。

 出版の多様性というのは、そんな国の庇護とか、補助とかいうところと関係ないところから生まれるのである。というよりも、出版という業そのものが、国からいかに自由になるかという観点から始まった事業なのである。そんな出版業界に国が手を出そうというところに、なにか胡散臭さを感じるのは当然である。我が出版業界はテレビや新聞なんかとは、全然志が違う業態なのである。

 それでなくとも、基本的に反権力である出版業界が、国の政策にノらない状況を見るのは楽しいことだ。

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コメント

実際に、エッチ本に注力する日本政府になってしまって驚きです!
tweetさせて頂きましたm(_ _)m

もともと「紙に印刷」というのは民衆のメディアです。
どこか見えないところでコントロールできるメディアでは革命は起こせません。電波、電気通信の世界はそんなコントロール可能なメディアです。
「基本的に反権力である出版業界」という言い方にはそんな意味合いがあります。

何でもかんでもデジタル化は果たしていい事か?

本当は2010年代にとっての重要なテーマですよね。

そもそも過去の遺産を捨てる準備70%
・・・というスタイルで進むことに疑問を感じます。

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