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« 8x10カメラな仲間たち 写真展2012 | トップページ | 『自慢させてくれ』といわれても、ねえ »

2012年9月18日 (火)

北京国際図書展示会の記事を読みながら、日本の出版界のガラパゴス化について考える

 出版業界の専門紙『新文化』9月13日付けの特集記事が『北京国際図書展示会 アジアの「版権売買の場」に』という、トーハン海外事業部マネージャー外川明宏氏の報告記事である。

2012_09_16_003_2http://www.shinbunka.co.jp/

 第19回「北京国際図書展示会」(BIBF)が8月29日から9月2日の5日間開催され、そこで盛んに版権売買の交渉が行われている様子をレポートしている。外川氏によれば『BIBFは次の5つの特徴をもったブックフェアである。
 ①保税倉庫扱いで展示商品は持ち出せず、販売もできない。
 ②版権取引を主とした「B to B」イベントのため、一般来場者はほとんど見かけない。
 ③海外出展社のエリアが広い。
 ④中国はコミックが自由に出版できないため、コミックは展示しない。
 ⑤電子書籍関連の展示が目立つ。
 東京国際ブックフェアが自社商品の宣伝や読者謝恩のバーゲンブックなどを催事の中心に据え、海外出展社が少ないのと対照的に、BIBFはアジアの版権売買を目的としたブックフェアの位置付けである』ということで、いまや海外との版権売買のアジアにおける中心は東京国際ブックフェア(TIBF)ではなくBIBFにありとする論説である。

 まさにこれは卓見で、本来、TIBFも目指したところはフランクフルト・ブックフェアやボローニャ・チルドレン・ブックフェアなどと同じような国際版権売買が目的であったにも関わらず、出展出版社の海外市場に対する意識の低さのおかげで、海外セールスや海外からのバイイングが極めて少なく、結局、読者の方しか向いていない「内向き」のフェアになってしまっている状況をよく表しているのと対照的に、BIBFは完全にビジネス・ショーになっていることを示している。

 これは日本の出版社が海外版権売買にまったく気をつかっておらず、日本国内での書籍販売ばかりを考えて活動している証拠であり、その結果、日本市場がシュリンクしていることに対して何らの手も打てない状況をよく表している。

 いずれにせよ、日本の人口はいまや減少の方向に向かっている。更にネットなどの他のメディアの伸張も目覚しい中で、日本の読者人口が減ってくることは既に分っていたことなのだ。ところが、日本の出版社はいまだに日本のマーケットのことだけしか考えておらず、日々そんなシュリンクしている日本マーケットだけに向けて出版活動を行い、その結果としての売上減少と返品率上昇に頭を悩ませているというわけなのだ。

 ところが、世界人口はいまだに増え続けている。むしろマーケットは大きくなっているばかりなのである。なのに何故そうした増大するマーケットに向けて商品をださないのだろうか、というのが不思議だ。

 ヨーロッパではフランクフルトやボローニャなどのブック・マーケットをはじめ、映像関係などの国際マーケットが昔から盛んに開催されている。これは、もともと多言語で、なおかつ国内人口の少ないヨーロッパでは商品を作って国内マーケットだけでビジネスを完結することが難しいという事情もあって、国際市場が盛んになっているということなのだ。このことは、人口がいまだに増え続けているアメリカではこうした国際マーケットがあまり開催されていないことからも分る。ただし、アメリカの場合は「英語」という世界でもっとも普及している言語で書かれているために、国際マーケットに出品しなくても海外から注目されやすいという事情もある。しかし、日本語は決してそんな言語ではない。もっと積極的に海外に進出することを考えないと、マーケットを広げることはできない。

 今、日本で海外に名前を知られているライターといったら、村上春樹とか一部のコミック・アーチストだけであろう。ところが、たとえば『ハリー・ポッター』シリーズを書いたJ・K・ローリング氏なんて小説だけで世界で4億5千万部も売れていて、その印税収入だけでも数百億円になっているという状況だ。日本の作家だってもっと海外に売れれば、もっといい生活が送れるはずである。大学や専門学校で教師のアルバイトなんかをしなくても生活できるはずなのである。ところがそれもならないのは、日本の出版社が日本国内だけでしか本を売ろうとしていないからなのである。まさに出版社の怠慢といっていいだろう。

 もっと海外に向かって「日本にはこんなに面白い小説を書くひとがいます」と宣伝をし、その作品が海外で出版されるような動きをしていかないと、まさに日本の出版人が携帯電話のことを揶揄して「ガラパゴス化」なんて言っていたのまったく同じ評価をされても何の文句も言えない。

 フランクフルトやボローニャに出展している日本の出版社はごく僅かである。しかし、北京だったらそんなにお金はかからないはずだし、もし無理なら共同出展すればいいだけなのである。ところがその北京ですら日本からは116社、単独ブースを出したのはたったの17社でしかない。

 なぜ、日本の出版社は大海に乗り出さないで、国内マーケットだけで細々と商売しているんだろう。

 なんか、バカですね、としか言いようはない。

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