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« 『ディクテーター』はチャプリンの映画と同じタイトルなんだけど、中身はちょっと違うぞ | トップページ | さらば講談社 »

2012年9月28日 (金)

『日本古代史を科学する』っていうけど、結局は自分の説に酔っちゃうのだ

 PHP新書っていうのは毎月最終日が刊行日なのだろうか。2月29日刊ってすごすぎる。

『日本古代史と科学する』(中田力著/PHP新書/2012年2月29日刊)

 で、中田氏なのであるが、臨床医であり複雑系脳科学の世界的権威であるそうな。なんでそんな人が日本古代史? とも思うのだが、まあ、それはよい。要は『日本が守り続けた天皇家は、いまでも、神武と同じ高貴な血を引く家系なのである。そして、日本に生きる人々にとって何よりも喜ばしいことは、美しい日本という国が、商王朝の祭祀と叡智を受け継いだ周王朝が目指した理想の国家、孔子がその想いを馳せた周公旦の、民に優しい国の実現を夢見た人々が作り上げた国家であろうことにある。その綺麗な心が消え去ることなく日本の人々に受け継がれたように、その象徴たる皇室は、世界に類のない長きに渡って、万世一系の天孫染色体を守り通しているのである』という結語にあらわれるような、天皇家に対する思い入れが前提にあっての古代史解釈なのである。

 中田氏はまず「邪馬台国がどこにあったか」という設問に対して、「『魏志倭人伝』を読む」ことから始める。その際に三つの前提を定める。

前提1 「魏志倭人伝」に書かれている記載には故意に変更された事項がない。
前提2 科学・技術の時代背景をきちんと考察する。
前提3 社会学的な意識を持ち込まず、常識的でない解釈は採用しない。

 という三つの前提は、つまり『魏志倭人伝』に書かれた内容をそのまま信じるということである。

 邪馬台国のあった場所については大きなものに「畿内説」と「九州説」があり、その「九州説」に関しても、「福岡県の糸島市を中心とした北部九州広域説」「福岡県の大宰府天満宮説」「大分県の宇佐神宮説」「宮崎県の西都原古墳群説」など諸説あって、いまだにそれがどこなのかはハッキリしていない。

 そこで中田氏は『末盧国から伊都国 東南陸行五百里にして、伊都国に到る』『伊都国から奴国 東南奴国に至る百里』『奴国から不弥国 東行不弥国に至る百里』『投馬国 南、投馬国に至る水行二十日』『邪馬台国 南、邪馬台国に至る、女王の都する所、水行十日陸行一月』という『魏志倭人伝』の記述をそのままに辿ろうとする。その結果、『結局のところ、どちらの道を通ったとしても、到達地は宮崎平野、日向灘の地である。邪馬台国は日向灘に面したこの地にあったのである』としている。

 しかし、当然この説には批判は出てくるわけである。

 たとえば、『古代史雑記帳』というブログを書いている池沢康という人は「投馬国」に至る行程について『有明海は波が穏やかであり、佐賀から熊本までの水行の20日を要するとは考えられない』、「邪馬台国」に至る行程に対しては『それでは佐賀→熊本の水行に20日を要したという矛盾をそのままなぞっており、熊本→八代の水行に10日を要するのは同じ矛盾と言わざるを得ない』『八代から日向灘沿岸部までの陸行に一月を要したとは思えない。この矛盾を説明していないのは残念である』として、中田氏の説に異を唱えるわけである。

 しかし、池澤氏は別に歴史の専門家ではなく、『慶應義塾大学経済学部卒、商社兼松に30年間勤務後、早期退職してロサンゼルスで独立、日本食レストラン向け情報誌「フード業界情報USA」を15年間発刊、06年帰国」し、今は先の『古代史雑記帳』の他、『隠居爺の妄言録』というブログなんかも書いている人なのである。

 じゃあ、池澤氏なりの邪馬台国の場所に対する仮説があるのかと言えば、別にそれはないようだ。まあ、別になくてもいいけどね。

 つまり、「邪馬台国論争」というものは、基本的には「何でも言える」論争なのである。結局、参考文献は『魏志倭人伝』しかないわけで、それをどのように読むのか。昔の「一里」ってどのくらいの距離? おまけにその計り方って正確? 「陸行」「水行」ったって、ちゃんと毎日同じようなペースで進んだのか? 等々、いくらでも分らないことは沢山出てくるのである。その分らないことを、研究者それぞれが勝手に想像しながら読むわけである。当然、人によって解釈は180度異なるわけである。

 で、私の結論。

 いいじゃない、どうだって。所詮、古代史はロマンなのよ。

 ということです。

 これも結構ムチャクチャな話です。

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