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2012年8月31日 (金)

時として暴論は正論になりうる『日本経済の奇妙な常識』

 親本は10月20日刊だが電子版付録Ⅰ、Ⅱがついて、その付録が実に面白い「暴論」になっていて興味深い。

『日本経済の奇妙な常識』(吉本佳生著/講談社現代新書/2011年12月1日電子版刊)

 問題は、多くの企業が抱え込んでいる社内留保と、高齢者が持っている資産なのである。経済を「生産」の側からみると何の問題もないことではあるが、一方「消費」の面から考えるとこれは大きな問題だ。今の日本経済を取り巻くデフレ問題を解くカギは、こうした企業が社内留保で貯め込んだ資産と、高齢者が貯め込んで一切使わないようにしている個人資産を、いかにして消費の方に向かわせるかなのである。

 そこで、吉本氏が持ち出すのが、ジョルジュ・バタイユの考え方である「消尽」を提案する。つまり、『「消費に罪悪感を抱きやすく、貯蓄を美徳と考えやすい高齢者」に意識を百八十度転換してもらって、消費の競争をしてもらうには、政府によるお墨付き(権威付け)が有効だと』考えられるから、そのために、政府主導で高齢者の「思い出作り」政策を提案している。

 つまり『「高齢者の記憶」を日本国の「記録」として残すプロジェクト』の提案である。『骨格となるのは「一定年齢以上の高齢者に、自分自身に関する何らかの文章(記録、作文)を書いてもらい、それを日本政府に提出してもらったうえで、日本政府はインターネット上で永久保存する」というプロジェクトです。そして、このプロジェクトをきっかけとして、高齢者の消尽的な消費の喚起をおこないやすくするという目的をあわせもちます』ということ。戦争の記憶とか、自分がやってきた仕事のこととか、といった事柄を実際にやっている高齢者は現状では少ない。しかし『きちんとした枠組みが用意されれば、何かを書き残したい(語るのを記録してもらうことで残したい)という高齢者は多いのではないでしょうか』『消費への欲望の中心テーマは社会的につくられ、一方で高齢者は基本的な生き方をさほど変えないでしょうから、いまの日本の高齢者にとっては、自己実現の消費がまだまだ魅力的なはずだとも思うのです』というのだが、この私のブログもそんな自己実現のひとつとして書かれているわけで、つまり私の場合、既にして吉本氏の言うプロジクトに参加しているのと同じ状態なわけであるが、それを国の施策としてやれというのが吉本氏の提案なのである。当然。これ有料サービスということで。ということはそれにまつわる、高齢者にパソコンの使い方を教えるサービスとかの付帯ビジネスも創造できるって訳なのだ。

 はたして、そんなことに気が付く官僚がいればいいのだが、どうだろうか。

 むしろ、私は吉本氏の暴言としては、高齢者の資産の分配を、高齢者から若者・中年に分配させるのではなく、高齢者から高齢者への分配を推し進めるという考え方の方が、現実的なような気がする。この方が国の施策として行いやすいのではないだろうか。

『いまのような世代間の所得再分配が続けられると、資産面で豊かな高齢者が多額の資産を遺して亡くなることで、それを遺産として受け継ぐ若者・中年だけが豊かになり、そうでない若者・中年との格差が拡大します。また多額の遺産を受け継ぐ人たちは、それ以前に、より良質な教育などを与えてもらっている(しかも人脈などの面でも有利な立場を与えてもらっている)可能性が高い。だから、遺産相続前にすでに格差が受け継がれていた上で、遺産相続によって格差がさらに拡大すると想像されます。』

『つまり、もし日本が、少子・高齢化が進むなかでも社会保障のしくみを維持したいのであれば、現状の「世代間の労働所得中心の再分配」を、いかに「高齢者のあいだの総合的な再分配に変えていくかを考えるべきなのです。』

『「社会保障目的税」化が議論される消費税でなく、相続税を年金・医療・介護などの社会保障の原資に充てることを検討してはどうでしょうか。』

『いまの日本で高齢者に求められていることは、おカネをどんどん使って消費をしてくれることです。子や孫のためにせっせとおカネを貯め込んでおくことではないのです。』『それなのに、多くの豊かな高齢者が消費を抑えて、その資産・所得状況からみれば相対的に質素な(禁欲的な)消費生活をしています。ときには、年金があるから十分に生活できるけれど、働けるうちは働きたいからという気持ちで、社会貢献の満足感を得るために低賃金(安い時給など)で働きます。しかも、年金が減額されるのを避けようとする高齢者が、ただでさえ低い賃金をもっと低くしてもらったうえで働こうとしたりします。高齢者が低賃金で働くと、同じ仕事をする非正規雇用の若者の賃金が下がる(あるいは伸び悩む)原因になるのですが、当人たちにそんな認識はないわけです。』

 うーん、こちらの方がやはり政策提案としては分かり易い。要は高齢者が貯め込んでいる資産を拠出させて、資産を余りもっていない高齢者に渡せっていうことなんだけど、本気でやれば、法制化は難しくないだろう。

 ただし、このやり方にも問題があって、こうした高齢者たちの選挙の際の投票率の高さであり、そんな投票率の高い高齢者たちにいかにしてそうした政策を納得させられるかという問題だろう。結局、日本の政治家たちはこうした「投票する人間にとってマイナスと判断されるような問題」にはタッチしないような行動をとる。むしろ、そうした人たちにこそ、キチンと話をして納得してもらわなければいけないのに、それができないレベルの低い政治家しか生み出しえないといのは、まさしく我々投票人のレベルの低さでしかないのであるが、現実的にそのような政治家しか生み出していないのが現状だ。実際、所得税とか相続税とかの直接税には手をつけないで消費税なんてものにしか手をつけないのが政治家だもんなあ。

 う~ん、これじゃあ日本経済は一切回復しないなあ。もはや鎖国でもして、世界に背を向けて生きるしかないのか?

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