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2012年8月21日 (火)

『歴史でたどる領土問題の真実』要は国境問題には解決はないということについて

 畢竟、「領土問題」「国境問題」っていうのは、その国の「文化」の問題なのである。

『歴史でたどる領土問題の真実 中露韓にどこまで言えるのか』(保阪正康著/朝日新書/2011年8月30日刊)

『領土問題の歴史をふり返ると、一方の国が国威を失ったり、国力が落ちたときは、必ず相手側の国に暴論や偏狭な論が起こる』そうである。つまり2011年3月11日の東日本大震災に乗じて香港の新聞が『この大震災により日本の国力は弱まっているのだから、尖閣列島について従来のわれわれの主張を確固とするために、この際その領有権を具体的な形で示してはどうか』という暴論をあからさまに発表し、軍事的に制圧してしまえという主張をしたりするわけである。さすがに「打落水狗(水に落ちた犬は打て)」の国ではある。しかし、こういう発言を「盗人猛々しい」と言ってはいけない。戦前・戦中の日本だって石原莞爾が『日本もまた中国が弱体化している今日、満蒙問題を解決(実質的に日本の支配下に置くの意味)して、中国に対し、「指導ノ位置ニ立チ」と主張している』というように、他国が弱まっているときに、そこに乗じるのがそれぞれの国の得策という論は「帝国主義的感情」を土台にした領土論なのだ。

 こうした「帝国主義的感情」がいまだに中国やロシア社会では通用しているという点には驚くが、しかし、それに日本が一対一対応をしていては、なんら彼らの感情を上回ることができないのである。もっと冷静になって対応することが一番大事なことなのである。

 国境には「自然国境」という考え方と「人工国境」という考え方があるそうだ。つまり、島国日本の場合はすべての国境が自然国境だから、日本人にとってはあまり国境概念はないのかもしれないが、ドイツとフランス国境のアルザス・ロレーヌ地方やドイツとポーランド国境などは昔から紛争の絶えない地域だし、ロシアとエストニアなどはいまだに国境が確定していない地続きの国々がある。ことほどさように国境問題というのは双方の国々にとって頭の痛い問題なのであるが、歴史というものが「地続きの思想」である以上、根本的な解決はあり得ないと考えたほうがよいのだろう。軍事的な解決方法を選んだ場合は、当然次の時代では反対側の国から軍事的な解決を求められることになる。しかし、いまや国際紛争を軍事的に解決する方法は、もっともコストパフォーマンスが悪い方法として各国が認識している。ところが、双方の国の偏狭なナショナリストたちは互いに「実効支配せよ=軍事的に占領せよ」と言っているのである。もし本当にそうであれば、単純に「バカですね」ということだ。

 ということで、日本の抱える領土問題・国境問題を見ると、現状ではロシアとの北方四島問題、韓国との間の竹島(独島)問題、中国・台湾との間の尖閣列島問題なわけだけれども、それぞれが抱えている問題のあり方は三者三様なのである。

『日本とロシアの間には、<歴史>が土台にある。歴史認識を共有しない限り、決して解決には至らない。この<歴史>に加えて、<外交>がプラスされて解決されるべきだろう。日本と韓国の問題は<条約>が根底にある。一九一〇年の日韓併合条約、あるいはサンフランシスコ講和条約のなかで、竹島はどのように位置づけられているのか、それには条文の解釈それ自体が需要である。この解釈に<外交>がどれほどの力をもち得るかは補助的手段だとわかる。そして日本と中国の尖閣諸島については<資源>がある。実際に資源がこの尖閣諸島付近には存在するのかが疑問だとの声もある(つまりアメリカが日本と中国の間に緊張関係を演出するために資源があると言っていると説く日本の論者もいる)。現実には中国が、この諸島が時刻の領土と主張し始めたのは、この資源の存在が明らかになってからだ。この資源についての理解をもちながらの<外交>が必要になってくる。』

 というのが、その三者三様のあり方だろう。

 で、その三者三様の領土問題を解決する方法論はあるのだろうか。ロシアと日本が同じ歴史認識を持つことはありうるのだろうか、韓国と日本が同じ条文解釈に辿りつくことはあるのだろうか、中国と日本が尖閣諸島の資源探索で合意することはあるのだろうか。

 この中で一番単純なのは尖閣諸島問題だろうか。1968~1970年に行われた国連調査でこの地域に石油資源がある可能性があるということを発表したのが、この地域での日中国境問題の出発点である。だったら、日本と中国で共同で(別に単独でも構わないが)尖閣諸島の資源についてもっと実際的な調査をしたらどうだろうか。ただし、この地域での調査は海洋深い部分での調査になるので実は調査にお金が大変かかるのである。しかし、そのカネを今のところ自国で出す気のない両国は、まあ、勝手に自国民がなすがままにさせているというわけなのである。結果「つまりアメリカが日本と中国の間に緊張関係を演出するために資源があると言っていると説く日本の論者もいる」という指摘の通り、日中両国の偏狭なナショナリストだけが騒いでいるというだけのことでしかない。

 韓国の竹島(独島)問題なんかは、完全に李明博大統領の個人的な問題のスリ替えでしかないにもかかわらず、それでナショナリズムを盛り上げている韓国の人々のレベルの低さ(脊髄反射で李明博大統領の目的的中)でしかない訳だ。大体、竹島(独島)をどちらの国が占有したって、漁業権以外の利益は何にもない、単なるプライド争いでしかない。韓国軍が実効支配しているわけなのだが、はたしてその韓国軍はどの国から自国を守っているのだろうか。まさか日本の攻撃から守っているわけではないから、まったく分からない。

 ロシアとの北方四島問題も、現実を考えてしまうと既に現地に在住しているロシア人たちをどうするのか、という問題をまず考えなければならないだろう。ソ連時代であれば「もういいから、ソ連から島を買っちゃえば? 島民だって、結果日本になれば生活は向上するしオッケーでしょ」なんて暴論も許されたのだが、いまやソ連時代じゃないし、もう少しは島民の生活も向上しているようだし「いまさら日本人になってもねえ」という気分もあるのだろう。

 ということで、無人島である「竹島(独島)」と「尖閣諸島」の問題と、すでに多くのロシア人が住んでいる北方四島問題とはちょっと違う問題として考えなければならない。

 まあ、いずれにしても、「国境問題」が「軍事衝突」なしで解決することはないだろうし、しかし、双方の国としても「軍事衝突」はしたくないわけだ。じゃあ、どうすりゃ「国境問題」が解決するのかと言えば、言葉の順番から言えば「解決はない」ということになるだろう。そう、国境問題に関しては根本的な解決はあり得ない。その時その時なりの、時限的解決方法をお互いに考えて、最終解決はそれこそ「次代に受け継ぐ」という形で「棚上げ」が基本である。

 しょうがないじゃないか、日本という国はつい140年前までは鎖国をして諸外国との通商・政治交流を禁じていた国なのだ。対する中露韓は一方では海が国境かも知れなかったが、もう一方では陸続きの国境問題を以前から抱えていた国なのだ。

 そんな国が、たかだかここ60年くらいの間に生じた国境問題に右往左往してもしょうがない。とりあえず、とにかく先送りして決着させないというのが一番の「解決方法」かも知れない。

 そういえば、「すべて難問の解決は先送り」というのが日本の伝統文化なのかもしれないしね。

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