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« 『日本人は、なぜ世界一押しが弱いのか?』じゃなくて「世界一押しが弱いから日本人なのだ」 | トップページ | 東京国際ブックフェア閉幕 »

2012年7月 7日 (土)

『グローバル・エリートの時代』はまさに格差拡大社会なのだな

 2013年に、先進国と新興国の経済規模が逆転することは分かっている。しかし、「日本人の強み」を生かして「失われた二〇年」を終焉させることができるかどうか、それは分からないのである。

『グローバル・エリートの時代 個人が国家を超え、日本の未来をつくる』(倉本由香利著/講談社/2012年6月18日刊)

 倉本氏は日本企業にとって組織のグローバル化が必要であるとして、以下の理由を挙げる。つまり『日本企業は今後、すでに書いた質的な人材不足だけでなく、量的にも人材不足に直面する。日本では少子化とそれに伴う労働人口の減少が始まっており、2025年時点での労働人口は、現在よりも約2000万人減少する。一方で、新興国を含む世界市場の成長に合わせて、日本企業の規模を成長させようとすると、日本人だけでは企業が市場や競合の伸びについていけない時代が来るのだ。優秀な人材の供給源として新興国が台頭してくるため、これら新興国の人材を組織の中で十分活用できるか否かが、日本のグローバル企業にとって成長の鍵になる』ということ。

 なるほど、だからそんな組織のグローバル化を果たした(日本)企業の中で活躍できるグローバル・エリートたる、「個人がグローバル・エリートとして求められる時代」がきていると説くのである。多分、組織のグローバル化を果たした企業では、当然そこで働く人々はこれまでの日本型の「横並び意識」で仕事をすることが許されるのは「ローカル・サポーター」たる補助的な仕事をする人たちだけである。グローバル・エリートたりたいとするならば、その仕事のやり方はこれまでの欧米型の(そして、今まさにアジアでも韓国あたりがその辺で変質している)エリートたる個人での仕事のやり方なのだ。そう、いまでも確実に進んでいる働くものたちの二極化は、ことさら、拡大することになる。エリートとして力をつけて世界市場のどこにでも行って仕事をする人と、ローカルに留まって、日常の自分周辺の仕事だけをやっていく人、企業のグローバル・エリートたる新興国からきたエリートたちに使われるローカル・サポーター、という人たちの、格差の拡大である。

 で、倉本氏が求めるグローバル・エリートに必要なスキルとして、8つのスキルを求める。

スキル1 文化的背景や価値観の違いを感じる「感受性」
スキル2 異なる価値観や行動への「理解力」
スキル3 多様性を受け入れ、やり方を変えられる「柔軟性」
スキル4 異質な環境で自分が貢献する「オーナーシップ(当事者意識)」
スキル5 ゼロからトップダウンで作る「ゼロベースの構築力}
スキル6 違いを乗り越えて問題解決を行う「問題解決型思考」
スキル7 積極的かつ論理的な「説明力」
スキル8 しつこくコミュニケーションをする「粘り強さ」

 ということである。さすがになあ、と思うそれぞれの内容ではあるが、しかし日本人にとってはなかなか難しいものもありそうである。たとえばスキルの4、5、6あたりだろうか。しかし、それを乗り越えなければグローバル・エリートになれないとしたら、じゃなかったらローカル・サポーターにしかなれないとしたら、多分、日本人は頑張るのではないだろうか。日本人独特の「頑張る」思考でね。英語の問題は、また明日。

 ただし、そうやって日本人のグローバル・エリートが登場したからといって、問題はその先にある「グローバル・スタンダード」の作り方なのだ。

 倉本氏はアングロ・サクソン系による「プッシュ型」のグローバル・スタンダードがあり、ヨーロッパ型のスクラムを組んだ形でのやはり「プッシュ型」のグローバル・スタンダードがあるのに対抗して、日本人が得意とする「プル型」のグローバル・スタンダードがある、と言う。つまり、日本人がお得意の、相手の話をまず聞き、受け入れ、解決策を探るという方法論があって、それを上手く使ってグローバル・スタンダードに持っていくという考え方なのだが、多分それは外圧によって作られた「ローカル・スタンダード」に過ぎないものになるだろう。グローバル・スタンダードを作る方法というものは、結局、どんな形であれ「プッシュ型」「ゼロサム型」でしかありえないのだ。「勝った方がすべてとる、負けた方はすべて失う」という単純な図式のゼロサム・ゲームがブローバル・スタンダード争いなのだ。「プル型」は、結局そんなパワー・ゲームの中での負け組みとしてしか、生き延びる方法はないと考えるのであるが、どうだろうか。昨日の齋藤氏の論ではないが。

 倉本氏としては、日本人が一番弱い部分としての「押し」のことを気にしての書き方なのだとは思うのだが、自身のMITでのMBA経験からしたら、確実に「プッシュ型」でないとグローバル・スタンダードが出来ないことはよく知っているはずだ。事実、そうしたグローバル・スタンダードのでき方を実際の現場で見てきている人なのだ。だとしたら、そんなに日本人におもねることなく発言をして欲しい。

 つまり、「日本人よ、肉食系になれ。押しの強い人種になれ。これまでの日本人のDNAを捨て去れ。でないと、日本は今後永久に世界の属国だぞ」と。

 そのくらいの強い覚悟が今後の20年位の日本には必要なのだ。「失われた20年」を取り戻すのは、そんな覚悟である。

 最後に、倉本氏の言う「高機能移民政策の導入を」というのは大賛成だ。まあ、多分こういうとを言うと「在日特権を許さない市民の会」みたいなバカな右翼どもが反撥するんだけれども、かれらは馬鹿故に倉本氏の本をまだ読んでないようだ。しかし、そうやって新興国を含めた世界中から優れた頭脳の持ち主を優先的に日本に招くということをしないと、というかグローバル化した社会なのだから、そこでは国籍とか、生まれた国とか、そんなものは企業が気にしない状態になるはずだ。つまり、国、政府もそれに従えよな、というだけのことではある。

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