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2012年7月28日 (土)

『トライブ』じゃなくて「リーダーシップ」が大事なんでしょ

 ポイントは「マネージメント」ではなく「リーダーシップ」ということなのだな。マネージメントは、それまでのやり方を守っていても問題はない。大事なのは、新しいルールを作るリーダーシップということなのだ。

『トライブ 新しい世界の未来形』(セス・ゴーディン著/勝間和代訳/講談社/2012年7月24日刊)

 例えばトヨタのケース。カイゼンとかTQCとか、もともとボトムアップのやり方で現場からの仕事の改善策を提案していたのが、多分、豊田家じゃない後継経営者になってからは、官僚的なサラリーマン・トップ・マネージメントになってから弱まってしまい、こりゃいかんということで創業者家族に経営権を戻して、これからの経営を任せたということなのだろう。これからは、下からもどんどん改善策を出してほしいということで。

 これはライバルだった日産が、その出自からしてもともと官僚的な経営をしていてダメになったところ、カルロス・ゴーンという官僚以上に政治家な、これまで以上にトップダウンの経営者がきて、強引に経営を立て直してしまったという事に対する、トヨタなりの対抗策なのだろう。そっちがトップダウンなら、こちらはボトムアップだという具合にね。

 そう、もともと日本の企業というのは、セス・ゴーディン氏言うところの「下から何かが起こせる」発想法があったのだ。現場からの提案とか、現場からのルール改変なんてものが可能な、まさしくアメリカにはない日本的な企業風土があったのである。それが、経営者が数代変わっていくうちに、次第に官僚的になってしまい、下からの改善提案に対しては、それがあたかも「マネージメント」に対する挑戦であるというような受けとめ方をされてしまうようになり、下からの改善提案はいまや殆ど無視されるか、否定されるようになってしまった。まるでアメリカの会社のようにね。

 もともと、そんなマネージメント発想はアメリカやヨーロッパの階級社会の発想法であり、要は農民・労働者は黙って「お上」の方針に従っていれば幸せになるという考え方だったのである。日本ではそうではなく、お殿様であっても、広く領民の言う事を聴き、自分の家来の言う事を聴き、という事をしないと領地を収められなかった、という歴史を持っている。

 そう、セス・ゴーディン氏が言うようなリーダーシップの発揮は、日本ではリーダーシップを発揮する前に、既にその改善提案がお殿様に受け入れられていたとしたら、どうだろうか。その辺が、アメリカやヨーロッパの階級社会におけるマネージメント発想と、日本のような「何だかよくわからないヌエ的」な社会のマネージメント発想の違いである。

 従って、そんなリーダーシップを持った人間が、そのリーダーシップを発揮するための仲間(トライブ)を作らなければいけないという発想も、あまり日本ではないかもしれない。翻訳者の勝間和代氏が、そのゴーディン氏の考え方に賛同するのも、やはり彼女がアーサー・アンダーセン、マッキンゼー、JPモルガンというアメリカ系のコンサルティング・ファームや投資銀行にいたということが大きいのではないか。もしかして、彼女が日本の会社に就職していたら、もっと社内での改善提案や、新規事業提案などが、「マネージメントされている立場」でも言える状況(まあ、会社によっても違うかもしれないが)を知り、いやいや意外と会社は下っ端の提案でも聞いてくれる、懐深いところなんだという風に考えたかもしれない。というか、逆にそこで満足してしまって、「執筆家=勝間和代」は生まれなかったかもしれない。うーん、そういう意味では、勝間氏がアメリカ系の会社に入ったのは正解なのか。

 勿論、このセス・ゴーディン氏の考え方が間違っているなんてことはまったく考えてはいない。というか、官僚組織も含めて、こうした「マネージメント発想」をもってる企業も最近は少なくないようだ。特に、創業者との接触がなくなってしまった、4代目・5代目のサラリーマン経営者が、要は「サラリーマンのなれの果て」で経営者になった人が経営している会社では、そんなアメリカの企業と同じような、まさしく「官僚制の罠」というような状況に陥っている会社もあるかもしれない。

 まあ、そういう会社にいる人は、この本を読んで勇気づけられ、実行して、下手すると馘首されちゃうかもしれないけど、そんな会社はクビになったほうがいいじゃんかよ、って会社を見はなした方がいい、という考え方をするべきである。どうせそんな会社は20~30年(つまり定年まで)生き延びる会社じゃないかもしれないし、生き残ってもロクな会社の状況にはなっていないだろう。

 私の場合は、とにかく若手というか新入社員にまで企画を出せっていって、面白い企画だったら、多分通してしまい、会社から金を引き出すという、典型的な中小企業たる出版社にいるので、あまりこの会社のことを世間一般の官僚制大企業にまで当てはめるのは無理があるのかもしれないが、まあ、でも一般企業と同じ部分も多少はあるので、セス・ゴーディン氏の言う事もわからないではないのだが、どこか他人の会社っていう部分はある。

 まあ、でも改善計画や、新規事業や、全く新しい事業を考えたら、それを発表して(ブログでもなんでも)、自らのフォロワーを作りましょう、という提案は同意できる。フォロワーを増やすことができるかどうなのかは、それはあなたの才覚です。それがリーダーシップです。

 と、突き放したところで、どうでしょうか。

 勝間氏はそれがうまく成功している例ですね。しかし、その前には成功しなかった死屍累々があるんだということも、理解してくださいね。

 そう簡単には、うまくいかないんだよ。

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