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2012年6月16日 (土)

むしろ「日本支配層の大罪」というべき『経営者の大罪』

 別に精神科医が経済について語っちゃいけないという気はさらさらないけれども、それを本で出すんなら、もうちょっとちゃんと経済をお勉強してからにしてほしい、と思うのだが。最終結論はまあいいのだが、そこにいたる問題設定がね……。

『経営者の大罪――なぜ日本経済が活性化しないのか』(和田秀樹著/祥伝社新書/2012年6月10日刊)

 しかし、和田秀樹氏はなんでこんな本を出す気になったのだろうか。『ビートたけしのTVタックル』なんかに出て、三宅久之氏や森永卓郎氏なんかと話をしているうちに、なんか勘違いをして自分も経済について語れると思ってしまったのかもしれない。というくらい、乱暴な論である。

 たしかに、国を発展させるのに国民の中流化と内需が大事だというのはその通りである。とはいうものの、いまだに日本は内需中心なのである。対外貿易に頼らなければ経済が成り立たない韓国とは大違いで、いまだに1億人を超える人口を抱えている日本はまだまだ内需中心なのであるが、むしろこれから先の人口縮小のことを考えて、外需、特に中国、インドを視野に置いた経済に変えなければということで、しかし、そうなると中国、インドという人件費の低い国との戦いになるから、苦しんでいるのである。

 また、日本のブランドイメージを凋落させた経営者という問題設定をしているが、よく考えてほしい、メイド・イン・ジャパンである必要のある日本製品はいまだにメイド・イン・ジャパンである。たとえばニコンなんかも「Dヒトケタ代」の高級カメラは日本製で「D3ケタ~4ケタ代」はタイ製とかに分けて作っている。メイド・イン・チャイナやメイド・イン・マレーシアである日本製品は、基本的にコモディティ商品であり、それが中国製やマレーシア製であってもなんの問題もない商品なのである。消費者は「それがどこの国で作られたか」で買うのではなく、そのブランドがどの国のブランドなのかということで選ぶのである。

『たとえばドイツのメルセデス・ベンツは、これだけ円高が進んでいるにもかかわらず「円高還元セール」をやりません』といって、メルセデス・ベンツのブランドを高く評価するけれども、それは正しいとしても、今やメルセデスのCシリーズはすべて南アフリカ製であることはご存知ないのだろうか。また、ライカやカール・ツァイスのレンズが日本の長野県産であるから価値が低いなんてことを考えている人は誰もいない。どこ産だろうが、メルセデスはメルセデスであり、ライカはライカなのだ。

 唯一、精神科医らしい記述といえば、「第3章 社員を死に追いやる経営者」で自殺率の高さやうつになる中高年に対する企業の冷たさという部分ぐらいだろう。

 勿論、高所得者にたいする累進税率をもっと上げよとか、円高を利用して、経営者はもっと外国企業買収に積極的になれという部分は私も同意見だし、経営者の「徳」のなさを嘆くのもわからないではない。しかし、なぜそのように積極的に攻める経営ができないのかとか、なぜ「徳」がないのかという部分には踏み込まないのでは、論も中途半端になる。「日本をダメにした最大の戦犯は、経営者である!」と帯に書いているが、問題はなぜそのようなダメな経営者ばかりになってしまったのか、なのである。

 結局、日本の大企業経営者はごく一部をのぞいて皆サラリーマン上がりなのである。問題はそこにあるだろう。つまり、プロの経営者ではなく、ひとつの会社に長いこと勤め上げ、その結果としての双六の「上がり」が社長あるいはCEOという立場なのである。ひとつの会社に長いこと勤めた結果、周りの社会が見えなくなってしまい、自分の会社の常識がそのまま社会の常識だと思ってしまっている経営者が多すぎるのである。会社の経営というものを、外部からみてこれが一番の方法であるという風に考えなくて、社内の波風を立てない方法ばかりを考えて経営している。さらに経営のプロではないために、外圧に弱く、例えばアメリカから「こしろ」と言われると、そのまま戦いもせずに言いなりになってしまう。そんな経営者が多すぎるからこその、今の日本経済のテイタラクなのではないだろうか。ニッサンを立て直したカルロス・ゴーンのようなプロの経営者の出現が待たれるといったところだろう。

 それは経営者ばかりではない。政治家もやはりアマチュアの政治家ばかりになっていて、日本の大計を考えずに自分の次の選挙のことしか考えていない。目先の政局ばかり考えて行動・発言する政治家ばかりになってしまっていて、結局は官僚主導になってしまっている。官僚というのは基本的に保守であるから、民主党も政権を握ると途端に保守になってしまって、あれだけ声高に唱えたマニフェストを自ら否定することばっかりやっているわけだ。本来はプロの政治家を育てようということで始めた松下政経塾であるけれども、結局、日本の風土なのかもしれないがプロの政治家は育たず、アマチュアの政治家ばかりになってしまったようだ。

 アマチュアの経営者が経済を動かし、アマチュアの政治家が政治を動かしている日本が、いまやどんどん世界の中心から外れてきて、存在感を失ってきているのは事実だし、それはそんな政治家と経営者ばかりでは、やむをえないことことなのだろう。それでいて、国連の安全保障理事会の常任理事国を狙っているんだから、それこそ笑止千万というところですね。

 まあ、そんなわけでもはや大企業や政治家に頼れなくなっているわが国であります。最早、みんなスモール・ビジネスで自分が生きていくことを考えた方が良いようです。

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