フォト
無料ブログはココログ

Amazonウィジェット

  • Amazonおまかせリンク
  • おすすめウィジェット
  • Kindle

« 『東京番外地』で一番気になった番外地とは? | トップページ | 『ロボット』 »

2012年6月 8日 (金)

『セックス・ヘルパーの尋常ならざる情熱』

 しかし、難しいんだよな、こうした「性の問題」を「個人の問題」として語るのじゃなくて「社会的な言葉」で語るっていうのは……。

『セックス・ヘルパーの尋常ならざる情熱』(坂爪真吾著/小学館101新書/2012年6月6日刊)

 しかし、古市憲寿氏といい、この本の著者、坂爪真吾氏といい、彼らを生みだした東大の上野千鶴子ゼミって、どんな事を教えているんだろう。と読み進めていくと、要は「問題設定そのものを疑え」「外在的批判と内在的批判を区別せよ」「先行研究を徹底的に調べよ」っていう、ごく当たり前のことでしかない。なんだ、そんなの当たり前じゃんとは思うのだが、多分、それは今私が出版社という多少は特殊な業界にいるからなのかもしれない。常に自己否定をして新しい企画を考えださなければいけない、というのが永遠の中小企業である出版という仕事のサガであるから、先人の知恵に学ぶことこそが第一というような大メーカーのようなところとは違う発想法が求められているのだ。ただし、現在はそんな大メーカーであっても先人の知恵に学ぶだけではだめで、自己否定の後に新しいビジネスを考えださないといけない時代にはなっているのだけれども。

 で、そんな上野ゼミに学んだ坂爪氏が研究発表のテーマに選んだのが「機械仕掛けの『歌舞伎町の女王』」というものだそうだ。そうヴァギナへのペニスの挿入を伴わない性風俗の世界である。そのでの発見が4つ。『発見① 性風俗サービス=「ジャンクフード」である』『発見② 『「本来、働くべき人ではない人が、働いている世界」である』『発見③ 「本来、利用するべきでない人が、利用している世界」である』『発見④ 「美女のインフレが吹き荒れる世界である』ということで、結局「関わった人全体がもれなく不幸になるシステム」ということを発見したのが、一番の収穫なのだろう。つまり、その後の彼の人生を決めた発見なのである。

 そんな坂爪氏が現在行っているのが、「自力での射精行為が物理的に困難な男性身体障害者に対して、本人の性に関する尊厳と自立の保護、そして性機能の健康管理を目的として、介護用手袋を着用したスタッフの手を用いて、射精の介助を行うサービス」をひとつのサービスとする一般社団法人ホワイトハンズの運営である。何だ、そのサービスってわけがわからんぞ、という人に対して分かりやすく言うと、男性身体障害者のオナニーを代わりに女性(じゃなくてもいいそうだが)が男性のところに赴いてやってあげるサービスだ。なんだ、それじゃデリヘルじゃん。というあなた、それが違うんですよ。デリヘルの場合は、単にオナニーをやってあげるだけじゃなくて、女性が裸になったりして、疑似の(ウソの)ラブやエロスがあるわけである。まあ、デリヘルはそれが「売り」なわけですけれども、しかし、それはあくまでも疑似(ウソ)なわけですね。でも、全国のモテない男に対してそんな幻想(ウソ)を売るのがデリヘル&性風俗や売春事業なわけだ。それとは一線を画した「性介助」という仕事が坂爪氏の仕事である。

 ところが、行政にこの法人がNPO申請をすると、とたんに拒否されるわけだ。つまり、デリヘルと坂爪氏の事業の違いが分からない、というよりも前例がない事業であるから、それを今まである事業に分類しようとするとデリヘルになってしまう。デリヘルになってしまうと、風俗営業法の対象業者になって所轄の警察署に届け出が必要になる。しかし、風俗営業法の対象業種だといろいろな規制がかかって自由な営業ができない。というよりも、要は警察が自らの恣意的な判断で営業中にも踏み込める、という勝手し放題を目的とした仕組みであり、結局そこからのお目こぼしを狙うために警察OBを自らの商売に引きずり込もうという、態のいい天下り先の確保でしかない。まったく、役人天国め、と怒ることは勝手だが、そんな社会を作ったのは我々自身だということも自覚する必要があるだろう。

 で、結局、坂爪氏は一般社団法人として勝手に事業を始めてしまったというわけなのである。NPOの壁を超えることはすぐには難しいかもしれないけれども、とにかくこうして実績を作ってしまえば、いずれは行政も認めざるを得ないだろう。つまり坂爪氏の事業が「前例」になるわけなのだから。しかし、こうした行政の、官僚の「前例主義」って、それこそ坂爪氏の同級生である東大卒の連中が「何か間違ったことを行ってはいけない」という安全弁として作ったものなのだけれどもなあ。

『現行のNPO制度の最大の矛盾点は、「行政の無理解によって生じる社会問題の解決を、行政に代わって行うためのNPO法人設立に、行政の理解=認証が必要という点です』と書くのもわかるけれども、だったらまず東大生の(文化1類か)のアタマの中身を作りかえることから始めなければならないのではないか? 自らと同じ東大卒の官僚に繋がる連中に対して文句を言う前に、自らの同級生に対して働きかけるべきではないのだろうか。

 それこそが、国の税金を使って勉強・研究を進めている東大生、東大卒の役割ではないのか。自らと同じ東大卒の官僚のアタマの硬さを嘆く前に、坂爪氏もその東大卒という他から比べたらとてつもなく有利な立場から、東大卒官僚を動かすことを願いたい。

 そんなこと言ったって、全部が全部の東大卒を知ってるわけじゃないし、というのは言い訳だ。非東大卒からすれば圧倒的に有利な場所にいるじゃん、という気がするのだ。事実、同級生3,000人の中には見知っている人もいるでしょう。なんで、そこから始めないのという気がする。

 糸はメチャクチャ細いかもしれないが、でも「まったくない」よりは、つながりはあるのだからね。

 

« 『東京番外地』で一番気になった番外地とは? | トップページ | 『ロボット』 »

書籍・雑誌」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/549500/54881503

この記事へのトラックバック一覧です: 『セックス・ヘルパーの尋常ならざる情熱』:

« 『東京番外地』で一番気になった番外地とは? | トップページ | 『ロボット』 »

2017年12月
          1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
31            

PEN PEN チョートクカメラ日記

自転車フォトグラファー 砂田弓弦

シュクレはお留守番

アローカメラ&我楽多屋

まだ東京で消耗してるの?