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2012年5月24日 (木)

『インクジェット時代がきた!』というのは、実は社会変動の時が来たということなのだ

「インクジェット・プリンター」といえばいつもパソコンと一緒に使っているヤツだ。でも、「プリンター=印刷機」という意味で考える年寄りには「大量生産機械」というイメージなのだが、実はそうじゃなかったのだな。

『インクジェット時代がきた! 液晶テレビも骨も作れる驚異の技術』(山口修一・山路達也著/光文社新書/2011年5月20日刊)

 どうも「年賀状を大量に作る機械」というイメージなのだが、実はそうじゃなくて1枚1枚を違った内容で印刷できるという風に考えれば、つまり「オンデマンド」で印刷できる極小印刷機なのである。というところに目をつければ、まったく別の事業展開が見えてくるわけだ。

 つまり「版」を作ってそこにインクを付けて直接対象物に押しつける「印刷」と違って、直接対象物に触れずにプリントするインクジェットであれば、立体物にも印刷できるわけで、そこから次の商品展開が見えてくる。

 さらに、平面印刷であっても、アパレル業界では「デジタル捺染」という方法で、多品種少量生産が可能となって、消費者が他人と同じものを身につけなくてもよくなる可能性が圧倒的に増えてくる。また、建築業界でも壁材をインクジェットで作れば、多品種少量生産が可能であるし、データを保存しておけば生産ロットによって壁材のイメージが変わるということもなくなる。

 さらにラピッドプロトタイピングという技術を使えば、コンピュータの3Dデータからそのまま立体の模型が作れるのだ。なんか2Dの印刷という感覚のプリンターも、レイヤーを重ねることによって3D化することができる。言われてみればその通りなんだけれども、そうか、そういう方法もあったのか、と蒙を啓いてくれるのであった。

 その技術を使えば、一品生産のフィギュアなんかも作れるし、3D写真データからは本物とまったく変わらないジオラマなんかもできてしまう。3D CAD上での鋳物の砂型をつくるための原型を作るのであれば、じゃあ、直接砂型を作ることもできるんじゃないか、というのが積層工法の考え方だ。半導体の製造なんかも、これまでのクリーンルームや真空装置が必要な大がかりな設備が必要だったのが、インクジェットで半導体がプリントするようにできてしまえば、中小規模のメーカーがコンピュータとインクジェット・プリンターがあればトランジスターの開発なんかもできるようになる。

 医療分野では、DNAチップをインクジェットで作れるようになれば、患者ひとりひとりの異なった医療情報が分かるようになって、医者にとっては患者ひとりひとりに微妙に異なった治療ができるようになる、ということだ。しかし、これは当然患者ひとりひとりの医療情報がすべてデータ化されて、電子カルテに掲載されるようになれば、このビッグデータが誰かに握られてしまうという危険性も出てくる。

 こうしてみると、インクジェットによって知識集約型の産業が盛んになれば、そこで日本の産業が復活するのか、ということになるのだが、しかし、ことはそう簡単にはいかないようだ。

『リソース最適化によって、アトム=モノがビット=情報に近づき、ものづくりもこれまで以上に知識集約型が進むでしょう。円高不況などの理由により、日本国内における製造業の空洞化が懸念されていますが、リソース最適化が日本でのものづくりを復活させる可能性があります。
 ただし、これによって日本経済が復活し、私たちの暮らしが豊かになるかといえば一概にそうとはいいきれないように思います。
   <中略>
 リソース最適化されたものづくりは、まさに知価創造的な産業であるといえます。そして、そうであるがゆえに、製造業分野の雇用を増やすわけではないという点に注意が必要でしょう。
 原材料の使用量が減るということは、原材料の供給や輸送に携わる人の数が減るということでもあります。製造プロセスが簡素化され、オンデマンドの生産が可能になれば、やはり仕事は削減されることになります。
 知識集約型になったものづくりに携われるのは、ユニークなデザインやビジネスモデルを発案できる、新しい素子を設計できる、そんな人材に限られるかもしれません。』

 ということだし、更には。

『今は工場でモノをつくりそれを配送することが当たり前に行われていますが、そういう常識すら変わっていくことになるかも知れません。ものづくりの材料は消費者自身の手元にあり、それをつくるためのデータを消費者自身がダウンロードして、3Dプリンターのような機器を使って出力するようになることだってありえます。
 こうした社会では、得られる収入も二極化が進むことでしょう。知識集約型の仕事に従事していても、高収入を得られる人とそうでない人に分かれることになります。知識集約型産業にはそうした不安定さがあるのです。』

 ということである。

 つまり、今、美しい写真を印刷しているあのプリンターが、社会のありかた、仕事のありかた、暮らしのありかたすら変えてしまうかもしれないのだ。

 いずれにせよ、20世紀型の「大量生産・大量消費」型の経済はもはや終わっているわけで、いまや「多品種少量生産(その極端な例が「オンデマンド)・選択消費」の時代になっているのだ。出版社なんかはまさしくこの「大量生産・大量消費」型業界だ。ということは、もはや出版社の時代は終わったということなのだろうか。

 しかし、光文社新書でもこんな講談社ブルーバックスみたいな理系新書を出すんだな。

 

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