フォト
無料ブログはココログ

Amazonウィジェット

  • Amazonおまかせリンク
  • おすすめウィジェット
  • Kindle

« つながりの仕事術 | トップページ | 『ロンドンで学んだ女性の向上心』以上に強力な日本のおばさん »

2012年5月18日 (金)

『僕がアップルで学んだこと』よりもティム・クックが何を出してくるのかが待ち遠しい

 昔、マイクロソフトと組んでいたことのあるアスキーが、いまやアップルの関連本を出す時代になったのだな……と、遠い目をして言ってしまう私は、古い人間なんでしょうか。だって今やアップルとマイクロソフトが組んじゃう時代なんだからなあ……。

『ぼくがアップルで学んだこと 環境を変えれば人が変わる、組織が変わる』(松井博著/アスキー新書/2012年4月10日刊)

 しかし、独裁者=スティーブ・ジョブズを追い出した後の、ジョン・スカリーやマイケル・スピンドラーがCEOを務めていた第二次アップルはこんな状態だったのか。

『社内のコミュニケーションの質は本当に笑えるレベルにまで低下しました。社内にどんなプロジェクトが走っているのかすらも定かではないのです。それでいて会社の機密事項は常に漏れっぱなしで、自分が関わっていない別のプロジェクトを知ろうと思ったらマック専門誌を買って読んだ方が正しい情報が得られるくらいでした。そんなわけでマック専門誌はまるで社内報のように重宝がられていました。私も欠かさず目を通していたものです。

 社員のモラルは落ちるところまで落ちていました。職場も散らかっている部署は本当に散らかっていました。試作機がなくなってしまうなどということさえしばしばあったほどです。昼まで会社にこない人が少なからずいたり、朝から来ている人がいるかと思えばひどい二日酔いだったり……。会社の中に何も生産していない人が多数いて、残りの真面目な人たちが一生懸命働いてそれらの人を養っているような状態でした。本社では社内にペットを持ち込むことも容認されており、中には犬と遊んでいるのか仕事をしているのか分からない人もいましたし、鳥を連れてくる人までいました。毎週金曜日にはBeer Bashと称して社内でパーティーがあり、みんな早くからビールを飲んでいてあまり仕事になりませんでした。さらに5年働くと1カ月の休暇がもらえたので、これに有給を付け足して2カ月ぐらい休みを取り、その間に就職活動をして会社を辞めてしまう人がたくさんました。そのため自分が担当しているプロジェクトのコンタクト先が、何の前触れもなく引き継ぎもせずに辞めてしまうということがしばしばありました。そして次の担当者が決まるまで何日も空白期間ができてしまうのです。会社への忠誠心など誰も持っておらず、会社をうまく利用することばかり考えており、最低限の義務さえ果たしていない人が大勢いました。』

 これはダメ会社の典型ですよね。

 で、マイケル・スピンドラーの後にCEOになってギルバート・アメリオ時代の第三次アップルになってやっと大鉈を振い大リストラ、その後、アメリオを追放して独裁者が復活した第四次アップルの恐怖政治によるリストラは更に続き、昨年、ジョブズの死によってティム・クックCEOの第五次アップルの時代を迎えているわけだが、さて今後のアップルはどうなっていくんだろう。

 基本的には、アップル社というのはスティーブ・ジョブズの会社であり、スティーブ・ジョブズの思想の体現であり、要は、スティーブ・ジョブズそのものであるわけなのだ。創業者というものはそういうものである。

 フォードのフォード社しかり、エジソンのゼネラル・エレクトリック社しかり、そして野間清治の講談社しかりである。問題は、その創業者亡きあとに創業者の意思・文化を誰が継ぎ、何を残すのかということであろう。アップル社がアップル社であり続けるためには、ティム・クックでろうが誰であろうが、やはりスティーブ・ジョブズの恐怖政治を引き継がなければならないのである。

 多分、そうしないとアップル社がアップル社らしいイノベーティブな商品開発をこれからも続けることはできないだろう。問題は、じゃあ誰がスティーブ・ジョブズのような「こだわり」をもって、商品開発に首を突っ込んで恐怖政治を貫いていくのだろうか、ということである。ティム・クックは元々セールス&マーケティングの人であり、商品企画や開発の人ではない。勿論、マーケッターだって商品に対するこだわりはあってしかるべきである。スティーブ・ジョブズだってプログラマーやコンピュータの開発の人間ではないし(そういう意味では、アップルはスティーブ・ウォズニアック以上の開発者はいないと考えられるのだが)、商品を使う側からのアプローチで、その「美しさ」や「使い勝手」にこだわり続けたわけである。

 しかしながら、スティーブ・ジョブズのような「現実歪曲フィールド」なんぞは持ち合わせないだろうティム・クックである。それはティム・クックが創業者=スティーブ・ジョブズでない以上、やむを得ないことではあるだろう。しかし、トップがそのような「変な男」でない以上、それを見ている部下はトップをなめるようになる。トップをなめ始めると、それは第二次アップルのような無政府状態になってしまうのである。

 ティム・クックがどのような形で「恐怖政治」を保つのか、あるいは保てるのか、それがこれからのアップルの方向性を決めることになるだろう。

 今のところ、まだティム・クックが指示して始められた開発商品は出ていない。問題はそれがどのような形をもって商品として体現されるのか、ということであり、その商品のイノベーティブ性でもって、今後のアップル社の道筋が見えてきそうな気がする。

 果たして、ティム・クックCEOはどんな新商品を発表するのだろうか。楽しみである。

« つながりの仕事術 | トップページ | 『ロンドンで学んだ女性の向上心』以上に強力な日本のおばさん »

書籍・雑誌」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/549500/54731423

この記事へのトラックバック一覧です: 『僕がアップルで学んだこと』よりもティム・クックが何を出してくるのかが待ち遠しい:

« つながりの仕事術 | トップページ | 『ロンドンで学んだ女性の向上心』以上に強力な日本のおばさん »

2017年6月
        1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30  

PEN PEN チョートクカメラ日記

自転車フォトグラファー 砂田弓弦

シュクレはお留守番

アローカメラ&我楽多屋

まだ東京で消耗してるの?