『朝日新聞記者のネット情報活用術』っていうけれども、新聞記者がネットなんか使うなよ!
昨日のPVは1500を越えました。いやあ、皆さん閲覧ありがとうございます。なんで急にこんなにアクセスが増えたのかはよく分からないけれども、とりあえず沢山の人に読まれたというのは、書き手としてはうれしい。
ということで、今日の書き込みだ。
しかし、最近は新聞記者もネットで情報収集かよ。
というか、そもそも本書自体が、朝日新聞が発行している雑誌『月刊ジャーナリズム』に掲載した『新人記者のためのネット取材講座』がもとになっているという。ええ、それじゃダメでしょう。新聞記者がネットに頼っちゃ、とも考えるんですがね。
『朝日新聞記者のネット情報活用術』(平和博著/朝日新書/2012年3月30日刊)
そういうことをやっているから、『ガーディアン』のようにウィキペディアの書き込みを真に受けて、まんま引き写した結果、モーリス・ジャールが言ってもいないことを、あたかも言っていたように記事を書いてしまうというような間違いを犯したり、やはり『ガーディアン』(まただ)や『ワシントンポスト』『AFP通信』が『レズビアンのブロガー、拘束。シリア』なる記事をでっち上げることになってしまっている。だいたい、ネットの世界はウソばかりとは言わないが、かなりの確度でウソが盛り込まれていることは常識であり、ネットの情報ほど、一次情報源に当たってウラをとる必要があるのは、当然のことなのである。
しかしまあ、『ガーディアン』ってそんなに劣化したメディアだったのね。
大体、ウィキペディアというものは書き込みをおこなう人たちの善意を元に出来上がったメディアであるのだ。こうした善意のメディアには、当然それを装って「悪さ」を仕掛ける人間がいるということだ。つまり、CIAやローマ法王庁やら、日本語版に関しては複数の省庁から、自らの立場は隠して、役所に都合のいいように書き込み修正が行われているのである。
そういう意味では、まず一次情報に当たるというのが、新聞記者の方法論だろう。それでなくとも一次情報に一番近いところにいるのが新聞・テレビの報道記者たちである。記者クラブなんて一情報独占組織なんかまで作ってね。そんな立場にいながら、ウィキペディアやらサイトやらTwitter、Facebookのようなネットメディアに頼っているようじゃ、出来上がった記事に対する信頼感なんてのもなくなってしまう。やはり、ここは『その3』で平氏が通り、信憑性を辿っていくという作業が必要になるわけで、その過程で『ウィキペディアを疑う』『“匿名”を可視化する』『発信元を確かめる』その為には「直接会う」それがダメなら「代替の手段を探す」でもダメなら「関係者に聞く」でもダメなら「ネットの足跡を辿る」という作業が必要になってくるし、大体がその「ホームページは本物か」という疑いの目を基本にもつと言う事が大事なことになる。
面白いのは「クリエイティブ・コモンズ・ライセンス」という考え方だろう。
『これは、著作権者が一定の条件を提示し、そのライセンスのもとでなら共有や2次利用を自由にできる、とあらかじめ許諾しておく仕組みです。
著作権者が提示する条件は、「表示(クレジットの表示義務)」「非営利(営利目的での利用をしないこと)」「改変禁止(もとの作品に手を加えない)」「継承(もとの作品と同じライセンスで公開すること)」の4つから選んで、組み合わせることになります。』
ということ。
つまり、ネット上ではもともと旧来の著作権を主張してもあまり意味のあることではないので、であるならいっそその著作権についての考え方を緩やかにしてしまおうという考え方だ。どうせなら著作権なんかは放棄してしまったほうがよい、というのが私なんかの考え方だが、そこまでは思い切れない人たちには、この考え方の方がまだ緩やかで良いというところなのだろう。
まあ、漸進的な考え方ということですね。
私は過激すぎるのだろうか。それも出版社にいながら……。
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