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« 堀野正雄 | トップページ | 押井守『コミュニケーションは、要らない』に見る反語(アイロニー) »

2012年4月 4日 (水)

『アホ大学のバカ学生』から『大学の思い出は就活です(苦笑)』に至る道程

「羊頭狗肉」という言葉がある。それからすると前著『アホ大学のバカ学生』は、「羊頭牛肉」くらいの位置にあったのだが、今回の『大学の思い出は就活です(苦笑)』は、「羊頭豚肉」くらいかな。だって、ほとんどネタが被っているんだもん。

『大学の思い出は就活です(苦笑)――大学生活50のお約束』(石渡嶺司著/ちくま新書/2012年3月10日刊)

 挑戦的なタイトルの割には、結構、内容は普通だ、ということはよくある事で珍しくはないが、『アホ大学のバカ学生』では、結局「就活」という言葉に振り回される学生と大学を、多少の揶揄をこめて、しかし、言っていることはごく当たり前の、普通に学生生活を送って、下手な「就活」情報に振り回されないように、という親心から(?)書かれた内容であったのだが、今回の『大学の思い出は就活です(苦笑)』では、各章ごとに下手くそな小説もどきを入れて、少し学生生活方向に話を持っていきながら、結局、普通に学生生活を送って、下手な「就活」情報に振り回されないように、という兄貴心から(?)書かれてのである。って、まったく同じじゃないかよっ。まあ、確かに前著は1月、今回は3月なんだから、そんなに新しいネタが入っているわけはないな。

 石渡氏が「あとがき」に書くとおり;

『おそらく、本書を読んだ社会人の方は、

「要するに『ふつうの学生生活を送れば就活もうまくいく』、言いたいことはそれだけでしょ。なんでこんなにダラダラ書いているの?」

 と疑問に思われるかもしれません。まったくもってその通りです。

「ふつうの学生生活を送れば就活もうまいく」

 書けば1行ですむ話です。

 当初、私も細かい説明は不要と考え、筑摩書房ちくま新書編集部に対して、

「1行だけ書いて、あとはメモ帳代わりに白紙にしておくのはいかがでしょう?」

 と提案しました。今でもいいアイデアと思うのですが1年以上、お返事を頂けなかったことを考えると、どこかに欠陥があったのでしょう。』

 なんてことが、本当に実現したら面白かった。ただし、私は買わないけれどもね、そんな本。

 しかし、人生経験の浅い学生にとっては「何にもしないでいることの、どこともいえない不安」があるからこそ、そこにつけ込んで「就活ビジネス」という業界があるのだ。この「どこともいえない不安」を煽って自らのビジネスに繋げるというのは、フィットネスとか、痩身とか、健康不安とか、新興宗教とかのビジネスの方法論である。あ、「自称、霊能士」なんてのもあるな。大体が「就活」でもって「ビジネス」に繋げるという発想が基本的に怪しいのである。本来、そんなものはビジネスになんかならなくて、大学の就職課あたりが細々とやっていればいいのである。そうすれば、企業のほうも大量に送られてくるエントリーシートに悩まされることもないだろうし、大学にしたって入社できる可能性の超低い企業に就職を希望して、しかし内定はまったく取れずに就職留年をする学生の増加に悩まされることもないのだ。

 で、こういう「学生生活が充実してれば、就活だってうまくいく」という当たり前の本が出版されるのだけれども、しかし、この本を読むのは殆どが既に就職している社会人だろう。わが身を振り返ってみれば……ああ、そうだったよな、というところだ。

 まあ、大体学生は本を読まないし(読むべき本を知らないし、読むべき本が書店のどんなコーナーにあるのかも知らないし、大体書店には行かない:某MARCH大学生の実際あった話)、就活業界によって遮眼帯をはめられている状態の学生たちの目に留まることはないだろう。で、就活業界に搾取され続ける学生さんなのだ。大学も、学生がそんな就活業界の言いなりになることを防ぐべく動かなければならないのに、就活業界と一緒になって「就活不安」を煽り立てることに躍起になっている。

 これっておかしくね? 就活で苦労したって、大学も、学生も、企業も、どこもトクしないのだ。もっとスムーズに就職できないものかねぇ。

 普通に勉強して、部活やサークルもやって、アルバイトもやって、普通に生活してきた大学生が、普通に自分の姿をさらけ出して面接をし、それで就職すればいいのである。ところが、学生は自分の経験を「盛る」ことに一生懸命で、そんな経歴を「盛る」ことを就活産業や大学は進めるのだから、ますます学生は「その気」になってしまう。そんな学生のエントリーを受ける企業側は学生の「盛り」なんてのはすぐに読んでしまうから、「またまた『盛り』かよ」ってなもんでウンザリしてしまい、そんな「盛り」をするやつはまず最初に落とすってなもんだ。

 こりゃ不毛ですね。

 しかし、こんな不毛な就活がいつまで続くんだろう。そんなに長くは続かないだろう、というのが私の考え方なのだけれども、どうだろうか。

 だってさ、いまや日本企業の姿が変わらなければいけない時代になってしまっているのである。昔からの、新入社員一括採用制度、年功序列、終身雇用なんてものが崩れつつある日本企業社会なのだ。企業というものは、今、自分の企業が今の世の中に合わないな、となると実に変わり身は早い。ここ数年で今の「新入社員一括採用制度、年功序列、終身雇用」はなくなると思う。勿論、新人採用はあると思うが、それ以上に中途採用、経験者採用は増えていくだろう。つまり、新人採用はますます狭き門となって、それこそ今以上に就活は厳しくなるのだ。まあ、就活業界の天下ですな。

 当然、就活業界は次なる手を今から準備している。つまり、「転職市場」だ。いまに「転職ナビ」なんてのも出来るかな……えっ、もうあるの?

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