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2012年4月20日 (金)

『「ガード下」の誕生』はもっと奥深いものである筈なのだ

 やはり1952年生まれの人にとっては「ガード下」という町には何処となく郷愁を誘われるものがあるのだろうか。神田や新橋、有楽町あたりのガード下の「飲み屋」への、幼い頃の憧れはあった。今となっては、特別そんな場所で飲んで、他から比べて安いというわけではないけれども、何となくその喧騒の中にいると気持ちが安らぐというのは事実である。

『「ガード下」の誕生』(小林一郎著/祥伝社新書/2012年4月10日刊)

 とりあえず、どんな駅のガード下が取り上げられているのか、目次に従って書き出してみる。

『生命力あふれるウラ町・ガード下の誕生』

昭和のアーチ駅舎とブリキ住宅――JR鶴見線国道駅
ドイツの香り漂う、有楽町のガード下――JR山手線などの新橋駅~有楽町駅
辰野金吾の万世橋駅とガード下
ヤミ市から町を興したアメヤ横丁――JR山手線などの上野駅~御徒町駅
理念の旗を振り、ガード下から立ち上げた秋葉原電気街――JR総武線秋葉原駅下
流行の先端を演出する場所――JR山手線御徒町駅~秋葉原駅
巨大なキャンティレバーは歴史の回廊――JR総武線浅草橋駅下
ガード下にカモメが舞う隅田川――JR総武線両国駅
ガード下から生まれ変わる町――京成本線・JR常磐線日暮里駅周辺
ミヤコ蝶々も暮した大阪・美章園ガード下――JR阪和線美章園駅
ヤミ市を起源に一キロ続く商店街――JR神戸線元町駅~神戸駅
泉も神社もある阪神・御影ガード下――阪神本線御影駅

『高度経済成長に誕生したガード下――その再生とオモテ化』

光が眩しい洞窟の魅力――東京メトロ千代田線綾瀬駅
住んでみたい街No.1。自己完結型をめざす吉祥寺――JR中央線吉祥寺駅

『新時代に挑むガード下――ホテル・保育園……』

パリのパサージュが21世紀東京・赤羽のガード下に誕生――JR京浜東北線赤羽駅
机上で進めるガード下環境――小田急線経堂駅~祖師ヶ谷大蔵駅
夢の国のガード下は、リゾートホテル――JR京葉線舞浜駅
人身売買バイバイ作戦と黄金町コンバージョン――京浜急行日ノ出町駅~黄金町駅

 これら18箇所のガード下から見えてくるのは、結局は「昭和」へのノスタルジーなのか。勿論、『新時代に挑むガード下――ホテル・保育園……』にまとめられたガード下は既に21世紀型のいわゆる「明るいガード下」であり、そこにはあまり「昭和ノスタルジー」は感じられないけれども、それ以外は何故か感じられるノスタルジーとは何だろうか。

 つまりそれは、遥かなる「戦後」へのノスタルジーであるのだろう。当然、昭和20年代後半の生まれとしては私も小林氏もいわゆる「闇市」の実際は知らない。しかし、そんな闇市の貧乏臭さと同時にあるアナーキーな明るさというものに魅かれたりするのだ。21世紀型のガード下は、上を走る電車の音もしないし振動もない、結構快適空間だったりする。しかし、そんな快適空間の「コントロール」された佇まいよりも、むしろ「アン・コントローラブル」な猥雑さというものが都市には必要じゃないのか、というのが昭和20年代生まれのテーマなのだ。

 つまり昭和のガード下空間はそんな闇市的アナーキーさを多少は残していて、そこにあるアン・コントローラブルな自由さ(実際は不自由さ)を感じることができるということなのだろう。

 こうやっていわゆる「昭和ノスタルジー」が『三丁目の夕陽』みたいにのしてくるのだけれども、どうもこれは居心地が悪い。『三丁目の夕陽』は昭和30年代の「古き良さ」もあるけれども、それと同時にあった「古き悪さ」を徹底的に排除した「ノスタルジー」でしかない。つまり、この本の「ガード下ノスタルジー」も、そんな「ネガティブな部分のガード下」を排除しているのではないか。目をつぶっているのではないだろか。

 当然、不法占拠もあっただろうし、占拠住民もいただろう。そうしたマイナス部分にも触れて欲しかった。そんなマイナス部分も含めて、ガード下の魅力はある筈なのだ。

 そう、毎晩そこに寄って、飲む必要があるほどの……。

 

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