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« 笹川繁蔵と平手造酒 | トップページ | 『ルポ 賃金差別』 »

2012年4月18日 (水)

『マージナル・オペレーション』は今のところかなり真面目な戦争ゲームだ

 今日も戦争の話なんだよね。ただし、今の、軍隊がやる戦争じゃないところでの……。

 マージナル=Marginalとは、日本語にした場合「限界」という意味と「周縁」というふたつの意味がある。つまり「限界」というところが、どちらかというと地理的な捉え方をしているので、一方の意味が「周縁」ということになるのであろう。

『マージナル・オペレーション 01』(芝村裕吏著/星海社FICTIONS/2012年2月15日刊)

 ということで、『マージナル・オペレーション』というタイトルの意味はハッキリしてくる。限界ギリギリの作戦行動という意味と、同時に世界の周縁部分で行われるギリギリの作戦という意味と。そう、戦争はいつでも「周縁地域」で行われている。日本だって、第二次世界大戦の終わりまでは、日本が戦場になることはなかった。つまり、戦争を行っている大国は、自分の国では戦争を行わないという矛盾がそこにはあるのだ。

 主人公アラタは30歳のニート。アニメやマンガ、フィギュア、ラノベが好きなオタクである。高校から専門学校に行って、ゲーム業界を目指す、といってもそんなに真剣にではなく、すべてが中途半端な人間であり、結局、ゲーム業界に入ろうとした時は、既にパッケージ系のゲームは下火になってしまい、ゲーム業界には入れず、結果、ニートになってしまって30歳、というテイタラクである。

 そんな、オタク・ニートが入ろうとしたのが民間軍事会社。

『給料が三倍以上になる。年収で六百万円になるという。それでいて、肉体労働ではなかった。経験も必要なかった。PCの知識が必要で三十五歳までという、条件だった。
 給料があがる秘密はリスクだった。命を失う危険。このリスクをとれば、給料があがるというのは、盲点だった。当たり前だが確かにこれなら報酬はあがる。軍人で外資となればこの国では後ろめたい事だから、それも給料を引き上げているのかもしれなかった。
 僕はネットで調べ始めた。仕事の実態、勤務地、会社の評判。
 賭けるのは自分の命だ。結構本気で、頑張った。
 結論としては、結構うまい所を突いた絶妙の給料設定という感じだった。
 死ぬ危険は、現代戦では少なかった。どちらかというと、過度のストレスからくる神経症が、問題になっていた。こっちも技術革新で随分、よくなっているそうだが。
 うますぎる話、というものでもなかった。今の常識からいえば、給料は命や精神の危険の割に安かった。生涯年収おちう面では、定年が早い分、どっこいどっこいだ。
 それでも僕は、納得してこの企業の求人案内に、応募した。自殺志願者というほどではなかったが、生にこだわりがあるわけでもなかった。
 テストも何もなく、少しの契約金をもらって最初にしたことは部屋の更新だった。ラノベとPCとマンガと少しのフィギュア、それを帰ってくるまでの間、維持する契約。
 死んだら家賃の支払いが止まり、自動で契約は切れる。生きていれば、少しの貯金をもって帰ってくる。数年働けば、国内の警備会社でも雇ってくれる"ハク"というのがつくという話だった。似合わない話だが、利用できるなら、なんでも利用したい。』

 って、結構クールに観察しているじゃないか、ニートの割に。

 アラタの仕事は基地(といってもベースじゃなくてキャンプなので前線基地みたいなものだろう)バックオフィスで前線の兵士に作戦を伝える仕事。とは言うものの、別に指揮官じゃなくて、前線の兵士の配置データがオンラインで伝わってきて、敵の配置データ(これはどうやって入手するんだろう)と合わせて、キーボードかコマンド・ボタンか何かで伝える仕事。と言えば、これは完全に「戦争シミュレーション・ゲーム」の世界だな。

 アメリカの「砂漠の嵐」作戦なんかの映像をみていると、完璧にシミュレーション・ゲームのような映像で、まああんな感じの作戦司令室なんだろう。これはリアルの戦争じゃない。しかし、前線ではリアルな戦闘を行っているのだ。その乖離。

 その乖離した状態が打ち破られるのが、アラタが元民間軍事会社に雇われていた村落の住民により虜囚となった時だった。その時、初めてアラタは民間軍事貨車との「本物の戦争」を目の当たりにする。果たしてアラタはその地域での戦争を終結させて、当然、民間軍事会社はクビになるわけであるから、日本に帰って自分で民間軍事会社を作るという目標に向かって歩き始めるところで、第1話は終わる。

 今後のアラタの活動はどうなるのか、楽しみではある。

 そして、一つも決着がついていない、登場する女性たち、民間軍機会社の先輩で、エルフみたいな尖った耳を持ったソフィア、アラタに英語修業をする娼婦シャウィー、元民間軍事会社の兵士だった村落の少女ジブリールたちだ。とりあえず日本に連れ帰ったジブリールではあるが……。

 最後にオタクのニートの割には、結構マトモなことを言っているアラタの言葉から……

『想像力の不足が無意識の悪意になり、悪意が連鎖して世界が出来ているように感じる。』

 ジブリールというのはアラビア語で聖天使ガブリエルのことだそうだ。この作品のジブリールがそのような女の子になるのかな。

 ゲームの世界ではこんな感じの女の子のようです。私は知らなかったけれども。これから見ると、ちょっと堕天使風(?)。

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