フォト
無料ブログはココログ

Amazonウィジェット

  • Amazonおまかせリンク
  • おすすめウィジェット
  • Kindle

« 『26世紀青年 ばかたち』って現代のバカさを描いたのか | トップページ | 『内定とれない東大生』tったって、別に当たり前じゃん、とも思うのだが »

2012年3月20日 (火)

『散歩の収穫』は年寄の自己確認か?

 過激なアーチスト、赤瀬川原平氏のなんともユルい写真集である。

『散歩の収穫』(赤瀬川原平著/日本カメラ社/2010年11月30日刊)

 赤瀬川原平氏は、尾辻克彦という別名で芥川賞と獲った小説家である。しかし、その作風はどちらかというとエッセイ風で、最近の出来事をエッセイのようにまとめた作品が多い。で、赤瀬川名義ではカメラ・エッセイがおおい。ということは、赤瀬川であれ、尾辻であれ基本はエッセイ。カメラがらみのことを書くときは赤瀬川であり、それ以外のときは尾辻なのか、とも思うのだが、尾辻名義でもカメラのことを書いているし、まあ、結局はどちらでもいいということになってでしまうのだ。

 ということで、最近は「老人力」なんていって、年寄り風を装っている赤瀬川氏だが、実はもうちょっと若い頃はかなり過激なアーチストだったというのはご存知だろうか。たとえば「千円札事件」なんてのもあったし、「アカイアカイアサヒアサヒ」事件なんてのもあったのだが。ご存知だろうか。多分知らないでしょうね。要は、オブジェとして千円札を認めた赤瀬川氏は、それを偽造するという「美術行為」をしたわけなのだけれども、それを「美術行為」と認めない官憲は「ニセ札」を作ったとして起訴してしまったのだ。「アカイアカイアサヒアサヒ」事件なんてもっとくだらない、『当時、「新左翼の機関誌」とも言われた『朝日ジャーナル』の左偏重を朝日新聞上層部が危惧していた状況下で発表された赤瀬川の当該の漫画に朝日新聞社の常務会は全員一致で、同誌の自主回収を決定した。回収の理由は、ヌードの表紙と赤瀬川の「櫻画報」が読者に誤解を与えかねないというものだった。この事件で編集長が更迭された他、朝日新聞出版局では61名の人事異動がなされ、『朝日ジャーナル』自体も2週間にわたって休刊した。(Wikipedeiaより)」というお話。

 まあ、くだらないといってしまえばクダラナイのであるが、当時はそれでも大きな事件として取り上げられたのである。

 そんな赤瀬川氏の老境に差し掛かった写真集である。

『カメラは散歩の導火線だ。

カメラの好きな人ならいうまでもないことだが、散歩するのにカメラがあると、ものを見る好奇心に火がともる。』

 という写真に対する赤瀬川氏のイメージがまずある。

 こうして写真は『こうなると、散歩は狩猟民族の原点へとさかのぼる。』ということになって、結局それは『フィールドワークでの写真の面白さだ。』ということになるのだが、それは同時にスナップ写真の面白さでもある。

 町を(別に田舎でもいいが)歩いていて、ちょっと気になるモノを撮影し、それについて語るという、いわゆる「フォト・エッセイ」のスタイルは、そのような方向にある。あとは、写真として風景を切り取る写真家(エッセイストだろうが作家だろうが、そのときは写真家だ)の眼の問題だろう。

 私がそのような高みに上がれるのはいつのことだろう、と思いながら赤瀬川氏の写真集とか、田中長徳氏の写真集とか、アンリ=カルチエ・ブレッソンの写真集なんかを眺めているのとは、その高みと私の写真集(いつか出すかも知れない)とは雲泥の差なのだ。

 で、面白い写真を見つけたので、そこから引用;

『俗世間 つもりちがい十ヶ条

高いつもりで 低いのは 教養

低いつもりで 高いのが 気位

深いつもりで 浅いのは 知識

浅いつもりで 深いのが 欲

厚いつもりで 薄いのは 人情

薄いつもりで 厚いのが 面の皮

強いつもりで 弱いのは 根性

弱いつもりで 強いのが 我

多いつもりで 少ないのは 分別

少ないつもりで 多いのが 無駄

子供しかるな 来た道だ

年寄り笑うな 行く道だ』

 赤瀬川氏はそれに対し『おっしゃる通り こちらはもうその道を、だいぶ進んでいる』と返すのだが、果たして我々はどうだろうか。

「うるせえな、そんなことはわかっているけど、やってられっかよ」という反応は正しい。まあ、若者の反応ですな。

「う~む、なかなか深いですな。しかし、そればっかりじゃ」という反応は、中途半端な年齢の人たち(私もこれだろうか)。

「おっしゃる通り」ってなっちゃうと赤瀬川氏と同年齢の人たちの反応になるのかな。みんながみんなじゃないとおもうけれども。

 まあ、年寄の言うことにもたまには耳を貸したら、というだけに今日は収めておきます。

 

 

« 『26世紀青年 ばかたち』って現代のバカさを描いたのか | トップページ | 『内定とれない東大生』tったって、別に当たり前じゃん、とも思うのだが »

写真・本」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/549500/54261037

この記事へのトラックバック一覧です: 『散歩の収穫』は年寄の自己確認か?:

« 『26世紀青年 ばかたち』って現代のバカさを描いたのか | トップページ | 『内定とれない東大生』tったって、別に当たり前じゃん、とも思うのだが »

2017年3月
      1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 31  

PEN PEN チョートクカメラ日記

自転車フォトグラファー 砂田弓弦

シュクレはお留守番

アローカメラ&我楽多屋

まだ東京で消耗してるの?