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2012年3月28日 (水)

『元証券マン 日本の保育を変える!』

 ちょっと訳あって読んだ本だ。

『元証券マン 日本の保育を変える!』(山口洋著/かんき出版/2012年3月5日刊)

 もともと、大和証券の社員だった山口洋氏が始めた会社で、JPホールディングスという持株会社の下に、日本保育サービス、四国保育サービス、ジェイプランニング販売、ジェイキッチン、ジェイキャストという5つつの会社があり、首都圏を中心に保育所104施設(うち認可保育園72、東京都認証保育園28)、学童クラブ39ヶ所、児童館7ヶ所を運営している、そんな会社の社長が書いた本だ。

 ポイントは全国で2万5000人以上いるといわれる、保育園に入所を申請しても入れない「待機児童」の存在だ。これは入所を申請したけど入れなかった人の数なので、初めから入所をあきらめている人を含めると、潜在需要は80万人を超えるという調査もあるそうだ。もう一つは、2000年に行われた児童福祉法の改正で、社会福祉法人だけじゃなくて株式会社を含めた民間事業者が保育園を運営できることになったことだ。

 少子化が叫ばれている時代になんで「待機児童」が? と思われるが、しかし、実際にはそれだけ専業主婦が減って、働く女性が増えてきたということなのだろう。勿論、その理由は夫の収入減という問題もあるだろうが。事実、保育園とは逆に定員割れしている、専業主婦の子どもでないと入れない幼稚園が全国で13,000ヶ所あるという。

 ともあれ、これからの需要が2万5000人から80万人いるというのは、大変有望な市場である。元証券マンがここに商機ありと目をつけたに違いない。

 山口氏は独立して最初はオフィスコーヒーサービスを始めたそうだ。そのうちオフィスではなくパチンコ屋でコーヒーサービスを始めた。まあ、それがJPホールディングスの本社が名古屋にある理由なんだろうけれども。これが当たって販路を拡げることになるうちに、そのサービスをする女性がどんどん増えてくる。そこは女性なので、結婚して辞めたり、子どもが出来て退職したりする人が多くなるわけだ。

 せっかく仕事を覚えたのに辞められてしまえばそれは戦力低下である。そこで、山口氏はパチンコ屋の駐車場に託児所を作り、仕事中のお母さんから子どもを預かるということを始める。と同時に、その頃、パチンコ屋の駐車場の車内に子どもを置き去りにして遊んでるうちに、子どもが車内で熱中症になって亡くなる事故が多く見かけられ、社会問題化していた。そこで、山口氏は自社の社員ばかりでなく、パチンコ屋の店員やお客さんの子どもまで預かることにする。いずれにせよ「託児所付き」という雇用条件は効果を発揮したという。

 当然ここまでは、いわゆる「無認可保育」である。ところが、世の中の流れが変わってきて、「待機児童」の問題が社会問題化することになり、政府はそれまでの規制を緩和して、株式会社でも保育園を運営できるように世の中の流れが変化してきたのだ。

 まさに商機である。

 それ以降は、2001年に2ヶ所、2002年に1ヶ所、2003年に6ヶ所、2004年に6ヶ所、2005年に5ヶ所、2006年に13ヶ所、2007年に12ヶ所、2008年に18ヶ所、2009年に11ヶ所、2010年に30ヶ所、2011年に21ヶ所という具合に、急速に数を増やしていく。この辺は、さすがに元証券マンではある。一瞬の商機を逃さず、一気呵成に市場を席巻していくのである。当然、そのための借入金は並大抵ではないだろう。しかし、着実に市場を増やしていっているので、多分、株の時価総額はかなり膨らんでいるはずであり、それを続けていく限りにおいて、何の問題もない。ただし、伸び続けている間はね。

 多分、待機児童がかなりいる時期は問題はないだろう。しかし、それがかなり満たされてくる段階になると、社会福祉法人たる中小保育園との軋轢がでてくるはずだ。しかし、大体が世襲の中小保育園は、その時期になったらこんな大会社とは最早競争にならなくなってしまっている。そうなったら、中小保育園は潰れてしまうか、この会社に吸収されてしまうだろう。完全にそこは資本の論理である。

 規制緩和というのはそういうこと。

 そのときに至って、山口氏はどういう方向に舵取りをするのだろうか。「より良い保育」を続けるのか、あるいは「利益の拡大化・極大化」の方向に向かうのか。

 当然、株式会社の経営者の仕事は「利益の拡大化・極大化」であり、それは株主に対する責務でもある。しかし、一方で「保育・教育事業」としての子どもに対する責務もある。競争状態にあるときは、そのバランスを考えて経営するわけであるけれども、寡占状態になったときにどうするのか。

 そんな先の話じゃないような勢いで伸び続けるJPホールデイングスである。そのときの山口氏の考え方には大いに興味がある。

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