フォト
無料ブログはココログ

Amazonウィジェット

  • Amazonおまかせリンク
  • おすすめウィジェット
  • Kindle

« 『テレビは余命7年』って、そんなに持ちますかね | トップページ | 『刑務所なう。』って、古っるーい »

2012年3月23日 (金)

署長刑事 時効廃止

 昨年、9月23日の当ブログで書いた『署長刑事 大阪中央署人情捜査録』に続く、姉小路氏の文庫書き下ろし第2弾である。まあ、前作よりは「小説」になっているかな、2時間ドラマじゃなくて。

『署長刑事 時効廃止』(姉小路祐著/講談社文庫/2012年3月15日刊)

 しかし、警察物って基本的には個人捜査である。つまり、警察組織からは外れて、あるいは外されて、反撥して、などなどそうした組織的に動く捜査からはハジキ出された人たちの話が多い。

 と思ったら、昔は『七人の刑事』とか『太陽にほえろ』のような、逆に警察組織そのものの事件捜査のドラマが多かったように思う。実はまだその時代というのは、会社とか組織なんてものに対する信頼感があった時代なのだろう。そう、つまりまだ社会は成長している最中の話であり、皆、会社とか公務員とかそうした「組織」と一緒に動いていれば、皆が幸せになれた時代なのだという背景がある。それが、いまや『相棒』にせよ、『踊る大捜査線』にせよ、主人公は警察組織のハグレ者ばかりである。つまり、警察組織であっても、もはや一刑事としては組織を信じることが出来なく、頼るは自分だけという、これも時代相なのであろう。そう、いまや組織に殉ずることで得られる個人的幸福は有り得ないという、世代感がバックボーンにあるようである。

 で、この『署長刑事(デカ)』シリーズなのだけれども、主人公の古今堂航平は頭が大きく背が低くいことからキューピーちゃんというあだ名をつけられた、多分、人当たりの良い警察官なのだろう。対する新人女性警察官の塚畑由紀は、高校時代に柔道のインターハイ地区予選で優勝した経験のある大女で、古今堂の幼馴染みの太子橋信一に言わせれば「ひこにゃん」のそっくりなのだそうである。まあ、美人じゃないけれども、愛想はいいというところか。こした凸凹コンビというのは、ドラマ設定上ままあることであるが、姉小路氏はどんな配役をイメージしたのであろうか……、ま、それはどうでもいいけれども。

 しかし、古今堂はキャリア署長である。つまり、警察庁から警視として大阪中央署の配属された署長。ということは、この後は、1年間の署長体験を経て警視正となり、つまり国家公務員となり出世の道を歩むはずの人生である。普通はそんな人間が「組織」を離れた勝手な捜査名は行わないはずである。それは即自に出世の道から外れることになる。下の人間からは「所詮一年しか署長はやらないんだから、一年間、何もしないでいてくれる」という態度でつき合わされるだろうし、上司の府警本部の人間からは「出世直前のお前はとにかくネガティブな動きはするな」という雰囲気の戒めを受ける。

 まあ、所詮「署長」といっても警察組織の中では中間管理職にすぎないのだけれども、出世のトバ口としては、普通は上を向いて仕事をするもんだけれども、そうしないところが「人情署長」というところなのだろうな。

 で、今回の事件は溶接工・板内照男がビル工事の13階から転落して、死ぬ間際に言った言葉『きっと、バチがあたったんや。昔、あんな嘘をついたさかいに』から、17年前のストーカー殺人事件で捕まった青年が、最初は警察の取調べで自白をしたものが、公判で否認に転じるものの、結局は刑事事件の提訴に関して99.9%は有罪という日本ならではの、検察・裁判所の癒着構造のなかでは結局有罪ということになって、無期懲役で服役中に死んだのだが、その青年の妹と結婚してしまった刑事、谷永作の「何か」に引っかかった思いから始まる。

 大阪府公安委員の警備会社社長の那須野大蔵によると思われる、昭和45年の松川千之進死亡事案、17年前のストーカー殺人事件、今年の大阪城外堀自殺事案の三つの事件・事案が、一つの線でつながった時に事件解決の方向が見えてきたのだ。

 勿論、最後の大阪城外堀自殺事案以外は、すでに時効を迎えている。そこで真犯人が見つかっても、起訴はできない。しかし、、17年前のストーカー殺人事件の犯人の一人は3年間の香港在住期間があった。つまり、外国に在住していた期間は時効に加えないという法令を適用すれば、今からでも起訴できるじゃないか。

 ということで、那須野大蔵父子はお縄になるのだけれども、本当は那須野父子は「親子」じゃないというのが、この話のキモなのだ。

 まあ、その辺は小説を読んでください。ここまででもかなりのネタバレしてるんだから、ね。

 ともあれ、『署長刑事 大阪中央署人情捜査録』に比べれば、今回は2時間ドラマ風じゃない(?)。そうか、もしかすると著者はシリーズ・ドラマ化を狙っているのか、なんてね。

 しかし、その為には本がいっぱい売れなきゃダメなのである。

 ということで、『署長刑事 大阪中央署人情捜査録』『署長刑事 時効廃止』ともども、お買い上げをお願いします。2時間ドラマとしてはバッチリのお話です。スケールも2時間ドラマらしい。

 まあ、そういう話です。

 

 

« 『テレビは余命7年』って、そんなに持ちますかね | トップページ | 『刑務所なう。』って、古っるーい »

書籍・雑誌」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/549500/54281651

この記事へのトラックバック一覧です: 署長刑事 時効廃止:

« 『テレビは余命7年』って、そんなに持ちますかね | トップページ | 『刑務所なう。』って、古っるーい »

2017年5月
  1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30 31      

PEN PEN チョートクカメラ日記

自転車フォトグラファー 砂田弓弦

シュクレはお留守番

アローカメラ&我楽多屋

まだ東京で消耗してるの?