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2012年2月17日 (金)

『女ともだち』はドロドロ、ズブズブ、グジャグジャの「後出しジャンケン」だぁ

 ネタバレあります、要注意。

 ドロドロだけじゃない。ズブズブ、グジャグジャの「後出しジャンケン」なのであった。

『女ともだち』(真梨幸子著/講談社文庫/2012年1月17日刊)

「度を超した負けず嫌い」(石井千湖氏の「解説」)が登場人物たちのキーワードである。

『平成十七年(〇五)年十月三日、埼玉県三ツ原市にある「三ツ原タワーマンション」(通称リトルタワー)の二〇一号室で、会社員吉崎満紀子(当時四一)が惨殺死体で発見された。その翌日の四日、同マンション最上階二〇〇一号室の会社員田宮瑤子(当時三八)が、やはり死体で発見される。両人とも同じ間取り(2LDK)、同年代、ともに独身で、世にいうキャリアウーマンである。意地の悪い人ならば、「負け犬女」と呼ぶかもしれない。

 翌日の朝刊に、早速「高層マンション連続殺人事件」というタイトルが躍った。「ブラディータワー」という名を最初に使ったのは、その翌週発売の女性週刊誌であったが、命名したライターはさぞやご満悦だったろう。その記事をきっかけに、「ブラディータワー」という名称はそのまま定着してしまったのだから。

 され、世間が特に注目したのは、吉崎満紀子の、その最期の状態だった。満紀子の性器はえぐられ、子宮が奪われていたのだ。世間がこの事件になにかしらの「物語」を見出し、物語にそって事件を推理しようとするのは当然の成り行きだった。』

 被害者・吉崎満紀子は早稲田大学法学部に在学中に司法試験に合格したが、司法修習生にはならずに、総合家電メーカー・テイトー電機に入社、しかし、入社7年後に子会社に出向となり、そのままその子会社に籍が移っている。まあ、ていのよい「左遷」。一方、アダルト系のオークションサイトで自らのヌードを晒していたり、宝塚を思わせる劇団の追っかけとなって、公演のときに良い席を取る為に不特定多数の男とセックスをして金を稼いでいたりするという一面もある。

 もうひとりの被害者・田宮瑤子は、静岡県の私立高校を卒業後、武蔵芸術大学に学び、番組制作会社東洋フィルムに入社。その後、数社の制作会社を経て、現在は出版社で高校・大学受験の参考書の編集者をしている。問題は、こんな職業をしている瑤子の部屋からは、パソコンも携帯電話も発見されなかったということだ。本来は、有り得ない話である以上、その部分は相当に突っ込まなければいけないところなのだけれども………。

 小説の冒頭近くであっさりと『パソコンも携帯も持っていなかった瑤子』と書かれた記述は、その後、最期の方で瑤子の義父・田宮武雄が、警察の田宮瑤子の遺体発見よりも先に瑤子の遺体を発見し、そこにあったパソコンを持ち去った記述があらわれるまで、読者には伏せておかれている。というか、忘れさせようという作者の詐術なのである。

 もうひとりの「度を超した負けず嫌い」は、担当検事の佐倉環である。環は小さいときから弁護士になるのが夢だったのだけれども、兄弟が多い家の末っ子に育ったために大学まで行かせてもらえずに、高校を卒業した年に国家公務員Ⅲ種合格し、検察事務官となり、その後、内部試験に順調に合格し、副検事を経て特任堅持となった。

 環は、『「現実に起こった生の出来事だけが真実」と頑なに信じる人々だ。この事件を担当する検事がまさにそれだ。検事は被害者満紀子がネットを利用して不特定多数に売春をしていたことを認めていながらも、ネットを単なるツールとしてしか考えていない節がある。そう、電話と同じ扱いなのだ。だから、満紀子の携帯に残っていた履歴や電話番号、そしてメール文の範囲でしか捜査の手を伸ばしていない。まるで時代遅れだ。想像力の貧困といってもいい。この全時代的な検察の姿勢が、公判をますます真実から遠ざけているような気がしてならない。』という、この小説の語り部であり主人公である楢本野江の言い方に対して、『メールの件については、もうすでに調査済みです。あのフリーメール、事件の一週間後にはもう警察がたどり着いていました。それで井沢詩織さんの周辺も内偵が行われました。もちろん『ローズオットー』の存在も知っています。しかし、それは今回の事件には直接関係がないと判断し、証拠からはずしました。』と、いともあっさりと認め、そして否定しきったのだった。

 そして、小説の一番最後のところで、楢本野江の本名を明かす。「ナラモト アキエ」と。

 ええっ、なんだってぇ。一番最初に、まだ生きている田宮瑤子の章で出てきた「アキ」が、主人公の楢本野江だったんだってぇ?

 うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ。

 これって、究極の「後出しジャンケン」じゃないかよぅ。

 今のミステリーは、こんなことも許されるんですねぇ。

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