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« 石原莞爾『最終戦争論』は読んでみるとなかなか深みのある本だ | トップページ | 『アホ大学のバカ学生』って当たり前でしょ! いまやアホ大学だけじゃないようですよ »

2012年2月15日 (水)

『ないもの、あります』

 別にこの本を探していたのじゃない。しかし、何となく書店の棚を見ていると目に飛び込んできたのであります。

『ないもの、あります』(クラフト・エヴィング商會著/ちくま文庫/2009年2月10日刊)

 タイトルがいいね。おまけに著者がふざけている、クラフト・エヴィング商會って何? って思わず調べるじゃないですか。、吉田篤弘、吉田浩美による、日本の作家、装填家のユニットである。『名称は稲垣足穂の文章中の「クラフト・エビング的な」という表現に由来するが、「変態性欲の研究者の名前」という意味は後から知ったという。』といのがWikipediaの説明である。ちなみに、もともとのユニットは吉田浩美+二人というユニットだったそうなのだが、その「二人」がやめてしまったので、篤弘+浩美という夫婦のユニットになったという話なのだそうだ。

 で、クラフト・エヴィング商會の扱い商品は以下の通り;

「堪忍袋の緒」「舌鼓」「相槌」「口車」「先輩風」「地獄耳」「一本槍」「自分を上げる棚」「針千本」「思う壺」「取らぬ狸の皮ジャンパー」「語り草」「鬼に金棒」「助け舟」「無鉄砲」「転ばぬ先の杖」「金字塔」「目から落ちたうろこ」「おかんむり」「一筋縄」「冥土の土産」「腹時計」「他人のふんどし」「どさくさ」「大風呂敷」

 ということで、基本的には「言葉遊び」なんだし、見事な遊びっぷりにはみんな納得なんだけれども、一箇所だけ気になるところがあった。「金字塔」に関しての記述の中で;

『この世における究極の「ないもの」、それは「永遠」でありましょう。

 こればかりは、「ないもの、あります」の看板を掲げる当商會としいたしましても、手の施しようがありません。』

 と、諦めらているんだが、しかし、世の中にはそれを見つけた人がいるんですねえ。と言っても、もう分かっている人には分かっている、そうアルチュール・ランボーというフランスの詩人です。

『また見つかった。

 何が、永遠が、

 海と溶け合う太陽が。』(アルチュール・ランボー『地獄の季節』岩波文庫版/小林秀雄訳)

 問題はランボーが「永遠」の先に見たものだ。

 多分それは「絶望」じゃなかったのだろうか。少なくとも、ジャン=リュック・ゴダールの『気狂いピエロ』で、フェルディナンがランボーの詩に見つけたものは「絶望」だった。

 その「また見つかった」の後にはこう続く;

『独り居の夜も

 燃える日も

 心に掛けぬお前の祈念を、

 永遠の俺の心よ、かたく守れ。

 人間どもの同意から

 月並みな世の楽しみから

 お前は、そんなら手を切って、

 飛んで行くんだ……。

 ――もとより希望があるものか

 立ち直る筋もあるものか、

 学問しても忍耐しても、

 いずれ苦痛は必定だ。

 明日という日があるものか、

 深紅の燠の繻子の肌、

 それ、そのあなたの灼熱が、

 人の務めというものだ。

 また見つかった。

 ――何が、――永遠が、

 海と溶け合う太陽が。』

 そして、それに続けて;

『『幸福』は俺の宿命であった、悔恨であった、身中の虫であった。幾時にもなっても、俺の命は、美や力に捧げられるには巨き過ぎるのかも知れない。』

 と続くわけである。

 アデンでアビシニヤの蛮人(エオチオピア人)相手に商売をやりながら糊口をしのいでいたランボーは『僕は静かに生きも静かに死にもしまい。これほど確かな事はありますまい。要するに、回教徒が言う「よの定め」だ。これが人生です。人生は茶番ではない』と書き、彼の絶望の人生を描いている。

「金字塔」もやはり自分では見られない限りは「絶望」である。

 まあ、しかしこれも「言葉遊び」ですけれどもね。

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