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2012年1月23日 (月)

弱者の居場所がない社会

「格差極悪論」というのがあるそうだ。

『弱者の居場所がない社会 貧困・格差と社会的包摂』(阿部彩著/講談社現代新書/2011年12月20日刊)

 つまり『格差が大きい国や地域に住むと、格差の下方に転落することによる心理的打撃が大きく、格差の上の方に存在する人々は自分の社会的地位を守ろうと躍起になり、格差の下の方に存在する人は強い劣等感や自己肯定感の低下を感じることとなる。人々は攻撃的になり、信頼感が損なわれ。差別が助長され、コミュニティや社会のつながりは弱くなる。強いストレスに晒され続けた人々は、その結果として健康を害したり、死亡率さえも高くなったりする。これらの影響は、社会の底辺の人々ならず、社会のどの階層の人々にも及ぶ。』という考え方だ。更に『「自転車反応」は、社会的地位が高いものが、自分より低いものを攻撃し、攻撃されたものが、さらに低い地位にあるものを攻撃するという連鎖反応を起こす』ということ。

 格差の低いものに行けばいくほど、その攻撃性は強まり、それこそ中学生がホームレスを襲って殺してしまったりして、得意顔をしている様などが思い浮かぶのである。

 しかし、どうやったらそのような格差を無くすこと、は無理としてもその格差を少なくすることができるのか。阿部氏は社会のユニバーサル・デザイン化とベーシック・インカムの考え方を披露する。社会のユニバーサル・デザイン化とは『障害は、障害者の心身の状況(インペアメント)に起因・帰結するものではなく、インペアメントをもつ者が自由に活動できないような「障壁」を社会が内蔵していることが、インペアメントを障害している』という考え方に基づいて、そんな社会の「障壁」を無くせば、インペアメントを持つ者も、社会に参加できるのではないか、という考え方のこと。「インペアメント(impairment)」とは「機能障害」のことで、言ってみれば右利きの人が多い社会では左利きの人はインペアメントである。例えば多くの「はさみ」は右利き用に作られてあり、それを左利きの人が使うと紙を切れない。そんなときに、左利きの人でも紙が切れるようなはさみがあれば、それはユニバーサル・デザインに設計されているはさみだということになる。まあ、実際にはそんなはさみは出来ないから、左利き用のはさみが存在するわけなのであるけれども。まあ、要は、障害者や格差の低位者が排除されない社会ができれば、いいのだがという考え方。

 もうひとつベーシック・インカムの考え方は皆さんよく知っているとおり、『基本的な生活を保障する一律の給付を、すべての人に無条件で行い、人々は収入の一定割合をその財源として拠出するという斬新的な制度設計で、ヨーロッパを中心に関心を集めている』考え方である。

 実は、このベーシック・インカムの考え方は殆ど共産主義の考え方であり、社会主義者社会では「人々はその働きに応じ」て収入を得たものが、共産主義社会では「人々はその必要に応じて」て収入を得るという考え方なのだ。資本主義社会でこのような考え方が出てきたということは、それだけヨーロッパの資本主義は成熟してきたのかということである。人々はその働き(時間・地位・仕事の結果・生み出した価値など)に応じて収入を得ることが働くことのモチベーションになるが、そこで得た高い収入は積極的に低い収入しかない人に分け与える、高所得者から低所得者への所得の移動があって当然、という考え方だ。

 しかし、こうした「社会のユニバーサル・デザイン化」「ベーシック・インカム」という考え方は、我が国ではどれだけ可能なのだろうか。例えば「子ども手当て」という考え方は、実にベーシック・インカムな考え方なのであったが、所得制限つきの児童手当に戻ってしまった、という事実をみても。日本でこのベーシック・インカムの考え方を取り入れるのは「近々では」無理だろう。身体的な障害を持つ人にたいする「バリア・フリー化」は近年大分進んでいるけれども、経済的な障害を抱えている人にたいする「ユニバーサル・デザイン化」はほとんどなされていない。

 おまけに、食品や生活必需品にまで同率の税金を課す消費税増税に至っては、まさしく低所得者いじめでしかない。むしろ、所得税の累進化を寄り一層強めることと、税補足率の大幅UP、とそしてその結果としての税収UPをベーシック・インカムの方に使うということでしか、いまの日本がそうした先進社会に近づく方法はないだろう。

 で、はたしてどんな政治家がそれを可能にするだろうか。阿部氏あたりの研究者が発言しているだけでは、世の中は変わらない。やはり政治家なんだろうけれどもねえ………。

 

Dsc_7074_2

Nikon D7000 AF-S Nikkor 18-105 @新宿 (c)tsunoken

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