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2011年12月20日 (火)

『リーダーの値打ち』というよりは、企業組織論だな

 山本「切込隊長」の新著であります。

『太平洋戦争における敗戦についての原因を戦前の政治から戦中の行動原理によって導き出す研究も、随所で行われています。勝ち目でない戦争であると認識していた人たちの意見がなぜ容れられなかったのか、緒戦の優勢をもって戦争を終結させるというオプションは考えられなかったのか、敗勢が見えてきたときになぜ降伏案を受託できず損害が大きくなり続ける状況を止められなかったのか』という「まえがき」の答えは「空気」なのである。そんなことを言い出す空気ではなかった、というのが当時の関係者からの発言なわけなのだが、そんな時にリーダーシップを持った人の出現を待つ、と言うのが本書の基本なのであるが……。

『リーダーの値打ち 日本ではなぜバカだけが出世するのか?』(山本一郎著/アスキー新書/2011年12月10日刊)

 ところでサブタイトルの「日本ではなぜバカだけが出世するのか?」については若干不満がある。つまり、なんで「日本では」なんだろう。だって、アメリカだって史上最大のバカたるジョージ・ブッシュを大統領に選んだじゃないか。単なるパパ・ブッシュの出来の悪い息子でしかないにもかかわらず、アメリカ人は彼を最高のアメリカ人だといって大統領に選んで、そして2008年11月の世論調査で不支持率が76%という、それまで戦後最高の不支持率を誇ったリチャード・ニクソンをも上回る戦後最悪の不支持率を記録し、ツブしたのだった。つまり、選挙で選ばれる政治家は、要は選挙民の民度の問題でしかなく、民度の低い選挙民は程度の悪い政治家しか選ばないということなのだ。

 このことは、小泉郵政選挙で大挙して小泉自民党に投票して、そしてその結果、自分たちが派遣切りに追い込まれて、裏切られたと言っているいわゆる「B層」の人たちとか、2009年の総選挙で民主党に投票して直後に沖縄の基地移転問題やら八ッ場ダム問題なんかで「民主党に裏切られた」といっている人たちを見ればよく分かるように、それは投票する人の民度の問題だということがよく分かるだろう。

 そして、いまアメリカを席巻しているティーパーティーのアホな連中も同じである。自分自身の動きが結局は自分自身の首を絞めることになるにも関わらず、なんであんな行動をとるのだろう。

 とまあ、これはリーダー論ではないので、ひとまずここで措いておくとして、まあ、何故リーダーは劣化するのかということである。勿論、政治家の場合は政治家の劣化イコール支持者の劣化ではあるのだが……。

 とにかく、日本で出世するバカっていうのは、前例踏襲主義の組織論に基づくものなのであるということなのだろう。とにかく失敗をしたくないという心理が前例踏襲に傾く。更に、前任者を否定しないということで、イノベーションを生み出すことの出来ない組織になってしまっていく。

『これら社会や組織の閉塞感を打破し、次なる進歩や成長、改善を生むための土壌を養うには、私は専門性という知識に特化した自己改革、啓発、教育の徹底と、相互に信頼関係を構築し成果を出すための協調性、和の心とをきちんと育み続けることがもっとも大事なことであろうと思います。ある意味で、一億総中流の時代から、一億総専門家へと導いていく社会設計だということです。

 理想論ではなしに、各々のスペシャリティ、専門性を軸にリーダーシップを個人個人が涵養し、専門家として必要な知識を持って、自分の領域を守りながら利益を出し成果をあげていくプロセスは極めて重要です』

 とは言うけれど、我が国の「トップにはジェネラリストを望む組織論」からは、そうした専門性を持った人にリーダーシップを発揮してもらえるような組織観は出てこないのではないか。もしあるとするならば、それは新たに創業する企業のトップにしか有り得ないのではないか。というか、結局、起業家はそうした専門性を持った人たちだし、専門性を持っていなければ起業できない。で、創業者の初代時代はいいのだが、それが2代目以降になって来ると、やはりジェネラリストになったり、オーナー企業じゃないと官僚的な人たちがトップになってくるので、いやでも「前例踏襲主義」に陥ってしまう。

 まあ、その繰り返しなんだろうな。

 それは別に日本だけの話じゃない。例えばアップルだってスティーブ・ジョブズを追い出して、創業者じゃない人がトップになった時に会社はツブれそうになって、ジョブズが戻ってきてから立ち直るような具合に。当然、ジョブズなきアップルでジョブズのようなリーダーシップを発揮できる人は出てこないだろうし、逆にジョブズ的なリーダーシップを発揮しようと思ったら、多分、周囲から猛反発を受けるだろう。唯一のカギは、そんな周囲の反発を跳ね返すような強烈なリーダーシップを発揮することなのだけれども、多分そんな人は、それまでの段階ですべり落とされてしまって、リーダーにはならないのだろう。

 それは、多分マイクロソフトもそうだし、グーグルやフェイスブックだってそうだろう。つまり、創業者がいなくなったときが、その会社が成長をやめるときだろうし、その後はゆるゆると下降を辿ることになる。

 では、そうでなく、何代も経営者が代わっても「もっている」企業はどうなのかといえば、それは強烈な官僚機構を作り上げている企業なのだ。つまり、実際には官僚による共同統治である。そうした官僚機構を作り上げた企業が、何代も生き延びている企業ということになる。勿論、そんな会社に勤めているサラリーマンはかなりの閉塞感を抱くことになるだろう。しかし、そこでそんな閉塞感を脱出するためには、その組織で出世することに血道を上げることになるわけだ。そして、そんな出世競争を繰り広げるたびに専門性は失ってきて、最後にリーダーになったときには完全に劣化した経営者が出来上がるわけだ。

 まあ、そうやって企業は劣化したリーダーを作り上げ、結果として何十年、何百年してなくなるという、企業としての生命を失うということになる。そして、その繰り返しが「歴史」となってくるのだ。

 結局、不断の起業ということでしか、人間社会の歴史は作られることはないという真理がそこにある。

 それでいいんじゃないの? 「永遠」なんてことは人間社会では有り得ないわけなのだから。

Dsc_0034_2

 もしや、という期待もものかは、青の関西学院に対して、赤の日本大学はまさかのノータッチダウンという結果になってしまった。

Nikon D50 Tamron 200-500 @横浜 (c)tsunoken

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