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2011年12月 3日 (土)

『社蓄のススメ』はなくて「お前も社蓄になれ」って言いたいんじゃないの?

「学問のススメ」は福沢諭吉による「慶応義塾のススメ」でしかなかったわけだが、じゃあ「社蓄のススメ」はなんのススメなのだろうか。って、藤本篤志による「USENのススメ」か? それなら納得。

『社蓄のススメ』(藤本篤志著/新潮新書/2011年11月20日刊)

 そりゃあたしかに、たかだか大学を出たばっかりの若手社員が「自分らしさ」とか「個性」とか言ったって始まらない。取り敢えず、その組織の一員になってみれば、っていうことなのだ。それならよく分かる。「自分らしさ」とか「個性」を発揮するのは、そんな若手時代を終わってからでも十分なのだ。

 例えば、出版社なんかに入ってしまえば、最初は徹夜要員みたいなもので、とりあえずは何でも屋でコキ使われる。だって、新入社員なんてフリー編集者や経験のあるアルバイト以下にしか使えないやつなんだからしょうがないじゃないか、というのがその考え方。そりゃそうだよね。それを「社蓄」と考えるのか、あるいは「経験を積むための徒弟時代」と考えるのかの違いだよね。

 大学を出たからといって、そんなポッと出の人間が企画を出せるわけでもないし人脈もない、まだまだ編集部の力になれる人材ではない。そんな人間は取り敢えず「徒弟」なのであり、そんな「徒弟時代」を経て一人前の編集者になれる(人もいるし、なれない人もいる)と言うわけなのであるから、そこまでの人間は「自分らしさ」とか「個性」なんてものはまったく考慮されないのが、大人の社会なのだ。

 しかし、そんな「徒弟時代」も普通は3年も経てば終わる。その後のジョブ・ローテーションで異動となり、次第に企画が通りようになり、まあ10年もすれば一人前の編集者になるのである(しつこいようだけど、なれない人もいる)。「自分のアタマで考えろ」って言われちゃうんですな。

 それを藤本氏は12年もやれというのである。つまり、大学を出て定年になるまでの37~8年を3で割って、最初の12年が「守」つまり自分のアタマで考えちゃいけない期間、次の12年が「破」でそれを壊す期間、最後の12年が「離」で勝手に自由に考えていい期間だっていう、世阿弥の「守破離」を勝手な解釈で言っているのであるが、そんな「守」の段階だけで12年も使われては、会社はたまったもんじゃない。もうそこで赤字ですね。もっともっと、速く速く「守」の段階を過ぎてもらうように、企業は努力しているのである。

 おまけに12年も「守」をやっていたら、その頃はもはや他の会社では使えない「企業人間」になってしまっていて、転職もできなくなってしまう。転職できなくなれば、そりゃあ確かに「社蓄」になるしかないよな。完璧な「社蓄」。

 それを承知で12年も「社蓄」でいろ、というのは殆ど「ブラック企業」の発想である。まあ、たしかに藤本氏が大学を出て最初に勤務した㈱USENは(藤本氏が入社した時期もまだ)ブラック企業のひとつだったのだ。

 ㈱USENがまだ大阪有線通信会社時代の電信柱無断使用事件は超有名だし、『1977年4月27日の衆議院逓信委員会でも久保等理事(社会党)が「ハエを追い払って一時そのあたりにハエがいなくなったと思ったら、またハエがたかってくるといった、ゲリラ的と申しますか何と申しますか、まことにどうも言語道断な現状にあります」と語るほどの状況であったという』という位のブラックぶりを発揮していたし、FM放送の無断再送信なんてのもあったな。その頃から、有線放送会社ってのは、結構とんでもないブラックな会社なんだなと考えていたのだが、『企業・キャリア情報サイト「キャリコネ」を運営するグローバルウェイが2010年9月21日に発表した「愛社されている企業、愛社されていない企業 主要133社ランキング」において、「愛社されていない企業」部門でワースト1位となった。その理由として、長時間労働を求められる職場環境(どの部署も帰りは終電、場合によっては休日出勤も強制、など)に対して、足切りされる残業手当(一定時間からの超過分は対象とならない)など、過酷な労働条件への不満が見られる』とWikipediaにも書かれている位の企業なのである。

 つまり今でも㈱USENはブラック企業のひとつと言うわけなのだ。まあ、こんな㈱USENで取締役までになった藤本氏だもん、そりゃ「社蓄のススメ」もしたくなるわな。その方が、経営者にとっては使いやすい社員だということなわけなんだし。

 決して、間違ったことばっかりを言っている藤本氏ではないのだが、㈱USENで取締役をやっていたという時点で、人に偉そうなことを言う資格を失っている。というか、元㈱USEN取締役という経歴を消したほうがいいんじゃないのか? 大阪ではOKでも東京では㈱USENって完全にブラック企業扱いですゼ。少なくとも東京の出版社から本を出すときは「元㈱USEN取締役」はやめたほうがいいね。

 ということを、老婆心ながら付け加えておきます。

Dsc_7486_2

 別にこの女性がブラック企業にいる訳ではありません。

Nikon D7000 AF-S Nikkor 18-105 @有楽町 (c)tsunoken

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コメント

バカがうまく上司に取り入ってほとんど下詰みも無く出世できたからこういうことが言えるんですね。
まさに経営者に有利になることしか書いてない。
最近こういう経営者に有利になる視点でしか書かれていない著書が増えてきた。やっぱりこういう時代だし、今の世代は情報に踊らされてる人多いので情報操作も入ってるのかな。

「個性」の発揮は若手時代を終わってからでも十分ですね。

下積みが大事なんだというのは、仕事していて実感します。
なにより、ねばり強くやり切った経験を積んでほしいんですよね。
それが自信になって、「破」に繋がると思います。

しかしこんな面白くも示唆に富んだ本を出せる
藤本篤志さんの事を書いてある記事がありました。
http://www.birthday-energy.co.jp
「森羅万象の改良改革」が才能とは・・・。
また10年ぐらいしたら、新たな示唆の本でも出してくるのかも
しれません。

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