フォト
無料ブログはココログ

Amazonウィジェット

  • Amazonおまかせリンク
  • おすすめウィジェット
  • Kindle

« 鏡に写った銀座、恵比寿……そして | トップページ | 『Lee Friedlander : Self Portrait』とは関係ないことになってしまったけれども »

2011年12月26日 (月)

自炊「業者」は困るというのはわかるんだけど、何かちがうんだよね

 業界紙『新文化』の今週のトップ記事が、作家7人(浅田次郎、大沢在昌、林真理子、東野圭吾、弘兼憲史、武論尊、永井豪)が書籍スキャン業者二社を著作権侵害という理由で提訴したという事件である。要は「書籍のスキャン業は違法である」ということを裁判で訴えようということである。

Dscf2398_2_edited1jpg_4

 まあ、作家の人たちの気持ちは分からないではないが、これはもっと違う問題があるのではないだろうか、とも私なんかは思うのだ。

 今、出版社にいる人間としてこんなことを言ってしまうのは、ちょっと問題があるのかもしれないが、まあ、もういいだろう。とりあえず、この状況(つまり、書籍のデジタル化とその方法論の普及)というのは最早逆転出来るものじゃないし、もうどうしようもないんじゃね? ということであり、出版社としては自らの出版権を持っている出版物の早々のデジタル化を進めるしかないんじゃないの? ということでしかない。

 つまり、自炊業者の跋扈は、出版社の怠慢だということ。

 勿論、本を買った人が勝手に自炊するのは著作権法的にもまったく問題はない。いわゆる、私的使用の範囲に収まるからだ。それが、「業」として自炊を行うと著作権法違反というのは、基本的には分からないではないが、しかし、これは避けられない歴史の進行の中の出来事なのだ。<あるテクノロジーの発展がある>と<それを利(悪)用した方法が出現(当然、違法)>で、結局それを解決する方法は<新しいテクノロジーに対応したビジネスモデルを作る(これは適法、でもそれは違法モデルを現実適合させた、結局は違法モデルのままなのだけれどもね)>ということでしかない。

 最近の例で言えば、音楽のモデルだろう。それまでアナログLPから代わった、CDというパッケージ商品で大いに稼いでいた音楽業界が、しかし、リッピングなどの違法コピー問題で大慌てふためいている状況の中で、ネット上で勝手にCDに乗せられた音楽が勝手にコピーされている状況になってしまい、それについては数多くの訴訟をしたわけなのであるが、その個別訴訟では勝てたかもしれないが、時代の状況には勝てずに、結局,、iTunesのような合法コピーサイトは認めるということで、その後、CDが売れるのは、年寄り向けの楽曲や、オタク向けのおまけつきCDだけになってしまった。いまや、音楽はネットで欲しい楽曲(アルバムではない)だけを購入する時代だし、でも、その分だけアーチストとしては「ライブ」を重要視する時代にはなっている。

 出版もそうなるのだろう。本を書いて、その本について「サイン会をやる」とか「本についての講演会をやる」とか「著者を交えた読書会をやる」とかのライブ時代にはなるのだろうし、その一方では、本の読まれ方も変わってきて、電子書籍で読んだりするのが当たり前になるはずだ。ところで、電子書籍なんていう言い方もいずれはなくなるんだろうな、以前は電子メールといったりEメールなんていっていたのが、いまや「メール」というだけで、その意味を表しているように。

 つまり、先の7人の作家の発言も、結局は出版社がいち早くデジタル化に取り組んでいれば何の問題もなかったのだ。だって、既にデジタル化されている本を自炊する人はいないだろうということで。つまり、7人の作家は、自炊業者を著作権法で訴えるより先に、むしろデジタル化に後ろ向きの出版社に対して、自分の著作物をさっさととデジタル化しろ、と言うべきなのだが、そんなにデジタル化にたいして前向きじゃない出版社が多いので、やむなく自炊業者を提訴したんだろう。

 実は、本当に書籍のデジタル化・電子書籍に後ろ向きの出版社は多いのだ。しかし「悪貨は良貨を駆逐する」なんてのは、歴史上の必然だし、歴史は常に前向きにしか進まないのである。

 と、考えてみれば、出版社にとっては予想していたとは違う状況が生まれるのだ。そう、最早いやでも取り組まなければならない「デジタル化」であります。出版社自らデジタル化をするつもりがなければ、作家はそのデジタル化の権利はどこか他のところに移すしかないでしょう。今、自炊業者という呼ばれ方で差別されている会社がいつの間にか、デジタル出版業界の大メジャーになる可能性もある。多分、そのときになって、今、デジタル化に対して後ろ向きになっている出版社あたりは、そんな「デジタル出版業界の大メジャー」に跪く会社になってしまうんだろうな。

 要は、7人の作家の訴えは、実は自炊業者に対する訴えじゃなくて、出版社に対する訴えであると理解した出版社は、まあ、生き残るだろうけど、そうじゃなくて、妙に7人の訴え人に同調するような(バカな)出版社の今後10年は見ものだ。10年経って生き残っているだろうか、というところですね。

 多分、ダメだろうな。

 ツブれる会社は早いとこツブれた方がいい。

Dscf2198_2
 恵比寿ガーデンプレイスの「バカラのシャンデリア」であります。バブリーだね。

Fujifilm X10 @恵比寿 (c)tsunoken

« 鏡に写った銀座、恵比寿……そして | トップページ | 『Lee Friedlander : Self Portrait』とは関係ないことになってしまったけれども »

書籍・雑誌」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/549500/53560619

この記事へのトラックバック一覧です: 自炊「業者」は困るというのはわかるんだけど、何かちがうんだよね:

« 鏡に写った銀座、恵比寿……そして | トップページ | 『Lee Friedlander : Self Portrait』とは関係ないことになってしまったけれども »

2017年9月
          1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30

PEN PEN チョートクカメラ日記

自転車フォトグラファー 砂田弓弦

シュクレはお留守番

アローカメラ&我楽多屋

まだ東京で消耗してるの?