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2011年9月18日 (日)

ポピュリズムへの『ゲーテの警告』ということは分かるが、じゃあ、どうしたいのよ。哲学者として

 日本に民主主義はいらないと言うのだが、それではそれに対置できる政治の方法論を言わなきゃだめでしょう。ねえ、適菜さん。

『ゲーテの警告 日本を滅ぼす「B層」の正体』(適菜収著/講談社+α新書/2011年8月20日刊)

 要はポピュリズムが日本の政治を滅ぼすと言っているのだが、それは民主主義のひとつの行き着く先であるから、やむをえないのである。問題はそんなポピュリズムに陥らない方法論を提示することなのではないだろうか。

 で、B層とは何か。2005年、小泉内閣の進める郵政民営化に関する宣伝企画の立案を内閣府から受注した広告会社スリードが、小泉政権の主な支持基盤として想定した概念である。その企画書では国民を「構造改革に肯定的か否定的か」を横軸に、「IQ(EQ、ITQなどを含む概念として)」を縦軸に分類し、IQが低くかつ構造改革に中立ないし肯定的な層を「B層」とした。主に主婦や教育レベルの低い若年層、高齢者層を指している。

 A層は、エコノミストをはじめとして、基本的に構造改革の必要性は感じているが、これまで、特に道路公団民営化の結末から類推して、郵政民営化の結果については悲観的な観測を持っており、批判的立場を形成している、IQは比較的高く、構造改革には肯定的な、財界勝ち組企業、大学教授、マスメディア、都市部ホワイトカラーなどを指す。

 B層とは、現状では郵政の満足度が高いため、道路などへの公共事業批判ほどたやすく支持は得られない。郵政民営化の支持を取り付けるために、より深いレベルでの合意形成が不可欠。IQは比較的低く、構造改革に中立的ないし肯定的な、主婦層、若年層、高齢者層など。具体的なことがらは分からないが小泉総理のキャラクターを支持する人たち。

 C層とは、構造改革抵抗旧守派。IQは比較的高く、しかし構造改革には否定的な人たち。

 D層は、IQが比較的低く、構造改革には否定的な人たちであり、既に失業などの痛みにより、構造改革には恐怖を覚えている層である。

 で、このB層に向かって、小泉政権は郵政民主化の広報にあたって主にPRを展開するのだが、そこではB層そのものに向けては、ネガティブな表現を避けて、B層に伝わりやすい方法として、B層に強い影響力を持つA層向けに大きなキャンペーンを繰り広げ、それがB層に伝わるようにしたのだ。その一つの方法論が小泉お得意の「ワン・フレーズ・ポリティクス」であり「郵政解散」という「郵政民営化に賛成してくれるのか、反対するのか」という、実に「分かりやすい政治」なのである。つまり「IQが低くても理解出来る政治」というわけである。

 勿論、その結果、構造改革は推し進められ、人材派遣業は拡大し、医療費負担が増えたりと、B層はむしろひどい目にあっているのだが、それを簡単に忘れてしまうところも、いかにもIQの低さを物語っている。

 ところが、後年、おなじ手法を使って自民党から政権を奪った民主党がある。

「政権交代か否か」「民主党の改革か自民党の古い体質か」という、ごく単純な対立構図を作り出し、子供手当てとか高速無料化の延長とか、耳障りのいいフレーズをマニフェストし、自民党から政権を奪ったわけだ。しかし、それらのマニフェストは政権奪取当初から実現不可能なことはわかっており、そんな民主党に投票したB層からは「民主党に期待して投票したけれども、騙された」と今度は民主党を非難するようになった。そんなもの、民主党のマニフェストが発表された時点で実現不可能なことは分かりきっていたでしょう。でも、大方の民主党支持層、つまりその大半はB層ということになるのだが、その人たちは「騙された」という見方しかしない。でも、この人たちの大半は、それまで自民党に投票していた人たちなのだ。つまり、これらの人たちって、基本的に常に政権から騙され続ける人たちなのだ。

 ところが、その程度の人たちの考え方で政治が決まってしまう世の中になったのである。昔、岸信介が言った「サイレント・マジョリティ」、数万の人間が国会議事堂を取り巻いてデモをしている最中にも、後楽園スタジアムで巨人戦を見ている人たちがおり、その人たちが私の支持層だといった岸信介のように、そんな無自覚な一般国民が決める政治になってしまうのか、この国は。

 ところが、現在のB層は、ネットのおかげで、「なんとなく自分は政治に関心をもっているのだ」と勘違いをしている恐さがある。あなたたちが持っている政治への関心なんて、あるいは政治家への関心なんて、吉本興業の若手芸人への思いと変わらないじゃないか。そう、つまりは政治は国会を舞台にする吉本芸人のショーみたいなものだ。だから、政治家に騙されたと思っても、それは瞬間的な怒りに過ぎず、ちょっとたてば忘れてしまう程度のものなのだ。

 こうしてB層は、政治家から騙されて騙されて、収奪の対象になっていながら、自分ではそれが自覚できずに、永遠に騙され続けていくんだろうなあ。ということで、「勝ち組」と「負け組」の差はどんどん広がっていき、アメリカみたいな上流階級=経済的勝者と下層階級=経済的弱者と言う風になっていくのだろう。ヨーロッパのような上流階級=精神的上流階級と下層階級=それ以外の皆と移民、という形にはなっていないのが、この場合の不安定要素だが、まあ、日本もアメリカの属国になってしまったのだから、アメリカ流の階級社会になって行くんだろうな。

 そして、政治的にもアメリカ流ポピュリズムに。

 まあ、その国は、その国ならではの形に合わせた政治しか出来ないのだから、日本が今ポピュリズムに陥って、政治的に停滞することもやむを得ないだろう。

 我々は、その程度の国の住民でしかない。として、もう無理だと考えてあきらめるか。あるいはもし、それが問題だと思うのならば、今すぐに行動を起こさなければならない。

 そのどちらを選び、どちらが主流になるのかは、それこそ国民の民度を計る問題だ。

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