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2011年9月16日 (金)

『尾道坂道書店事件簿』は書店のことを書いた本だけれども、それ以上に出版業界としてみる必要がある本だ

 こんな面白い本が出ていたなんて知らなかった。その意味ではAmazonさんありがとうと言っておこう。そう、こういう本はAmazonじゃないと買えないんだな、今の時代は。それこそ、啓文社の行き方とは正反対なのだけれども。

『尾道坂道書店事件簿』(児玉憲宗著/本の雑誌社/2009年2月20日刊)

 とは言うものの、そこは啓文社全盛時代(ってのがあったのかどうかは知らないが)に啓文社に入社して、その後、現在に至るまで書店業界で働いている筆者である。多分、この30年間近い人生と言うのは、まさに書店業界が大きく様変わりした時代である筈だし、そこをなんとか乗り越えてきた凄味というのがある。

 でも、書いてあることはどっちかと言うと失敗談の方が多くて、その方が読んでいて面白いのだから、その辺、結構読者のことを考えて書いているのだな、この筆者はというところである。なかなか、読者のことを考えている筆者なのである。

 で、この本で面白いのはやはりブックオフとの対話であろう。つまりローコスト・オペレーションを徹底するブックオフとしては、「今日入ったばかりの新人君」であってもできる、「棚名前順配列」を薦めるわけだが、やはり新刊本を売っていた啓文社ではそうはいかない、ということで、リサイクル本屋でもジャンル別棚展開をする訳だ。当然そのためには「人件費」はかかる。問題はその人件費を軽減する方向を目指すのか、あるいは多少人件費がかかってもいいから、お客さんに「親しみ」をもってもらう店作りを目指すのかという二者択一的な選択になってしまうのであるが、決してそうでない方法もある筈なのだ。ただし、その辺を理会している本はまだ無い。

 まあ、あとは「本のコンシェルジェ」のようなサービスだろうか。児玉氏も啓文社1号店に関して『この店はほとんどがベテラン社員で。常連客の趣味嗜好や家族構成などを熟知している。お客さんの顔を思い出しながら、本の仕入れをしていて、来店されると、「今度、こんな本が出ましたよ、○○ちゃんにいかがですか」「この間、探していた本これじゃないですか」などと声を欠けていた』と述べている。こうしたサービスがどれほど売り上げに貢献するかどうかは分からないのだけれども、少なくともマイナスではないだろう。Amazonのrecomendは持っている本だけしか「オススメ」しないので、ダメだけれどもね。その辺、最早買っている本は何なのかを知っている書店員の「オススメ」は、まあ安心であるだろう。ただし、私はそれをしも無視するだろうけれども……まあ、わがままな読者は勝手にさせておけばいいのだ。

 筆者は「尾道ミステリー大賞」とか「本屋大賞」の重鎮でもある。要は、これまでは「書店は出版社が作る本を売るだけ」の場所であったのが、これからは『書店発の仕掛け本販売とか、「書店発の企画商品開発」』もありーの、と言う方向に、書店を企画開発の場所として活用していく状況になるかも知れないし、それこそ書店と出版社の人材交流なんかも活発に行われるようになるかも知れない。それは、これまで無かったことだ。

 ということで、今後は、出版社の社員と言えども、それだけではダメで、キチンと提案が出来る(別に新企画というだけではなくて)人でなければ出版社社員としては失格であり、だったら、そんな人が書店にいればそれこそ出版社も諸手を上げてきてもらうといような感じになるのではないだろうか。

 そうなると、出版社・取次・書店という壁がなくなり、要は企画(それは新企画ばかりじゃなくて、販売企画だったりということもあるんだけれども)を持った人が、とりあえず一番上流の出版社に来て、その企画を推進してみて、上手くいけばそのまま出版社にいる、ダメだったらどうしようかな、という風になればいい。

 もともと、大卒新人採用志向のなかった出版業界である。もっともっと、人材の流動化を図るべきじゃないだろうか。その方が、絶対、出版業界(すごく小さいけれどもね)のためにはあるだろう。

 最早、出版社・取次・書店なんて垂直分業の時代ではないのだ。もっと、鵺的に動いてしまいましょうよ。

 それが、出版業界が生きる道、ということは、要は、出版社が出版社であることを辞めるっていうことなんだけえれどもね。

 

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