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« 『公務員の壁』というよりは民間企業の壁だと思う | トップページ | 『真贋』は吉本隆明の真贋を問う本でもある »

2011年8月 4日 (木)

『パワードスーツ』は面白いが「団塊の世代」の反逆小説じゃないのね

 ええ、ネタバレありますので、それが嫌いな方は読まないでください。特に「色覚特性者」とか、本小説の「第四章」とか。

 物語の舞台になっているのは2029年の日本。つまり、生産年齢人口は7,000万人を割り込み、一方老年人口は3,500万人、ということで、働き手二人で老人一人を扶養するという社会。高齢化率は29パーセント以上、つまり3.3人に一人が65歳以上という超高齢化社会がくるのだ。ただし、この時期はまだ「団塊の世代」がまだ80歳位で生きているのだ。

『パワードスーツ』(遠藤武文著/講談社/2011年8月4日刊)

 そこで、テレビニュースでは;

『政府・与党は、後期高齢者が異なる疾病で年間三回以上通院した場合、医療費、介護費、年金等の支給を停止する、いわゆるスリーノックダウン制導入について厚生労働省案に大筋で合意しました。国民年金法、健康保険法等の一部を改正し、来年度から実施したい考えです。』

 なんていう報道が行われていることが当たり前になってしまっている社会である。つまり、「団塊の世代」がその対象だと。

 そういう社会で、「老人介護に最適」とか言って「パワードスーツ」を売り込むサバニクス・ラボラトリー社の営業マン・大和健斗が主人公。大和は岩戸市というもはや老人ばかりとなってしまった街の私立病院の事務長・樫村にパワードスーツを売り込もうと一生懸命だ。しかし、大和の上司の高槻本部長は会社に極秘でパワードスーツを上回る性能の「アーマードスーツを勝手に開発している。

 もともと、ガンダムで知られる超巨大パワードスーツは、実際には『エイリアン2』なんかで見られるような人間の大きさに近い物として開発されていて、アメリカ陸軍あたりではすでにそのプロトタイプが作られているという話もある。つまり、パワードスーツは元々アーマードスーツとして開発されたものなのだ。実は、本のカバーに描かれているほど大きなものではなくて、多分、人間の大きさとたいして違わない大きさのものなのだ。だって、いまから18年後のテクノロジーなのだからね。

 そのパワードスーツを使ったような犯罪。小児科医師として介護専門員の由香里、つまり彼女の老人に対するいたわりが事件のきっかけになったということ。そして、それをみて老人殺害という犯行を続ける輿水徹哉。そしてそんな輿水がアーマードスーツの犯人だったとは。

 ということで、パワードスーツを使ってスリーノックダウン制に怒った老人たちが蜂起する、というような荒唐無稽派展開があるのかな、と期待した私はしっかり裏切られた。だって、タイトルは『パワードスーツ』なんだもん。当然それは期待しますよね。老人社会になってしまったが、2029年ころの老人はまだ80歳位のいわゆる「団塊の世代」だ。彼らは『ガンダム』も知っているし、『エイリアン2』も知っている。おまけに全共闘だ。そんなジイサンたちが「いまどきの若いもんに対して反撃を加える」なんて状況はありそうでしょ。絶対に、自然にいなくなるような「団塊の世代」ではないのだ。でも、そういう話ではない。残念。

 でも、これらの事件のおかげで「パワードスーツ」「アーマードスーツ」の双方のデモンストレーションが出来てしまったサバニクス・ラボラトリー社としては、今後どうするんでしょうか。ねえ、松田部長。今や、売り込む先がいっぱいありすぎて困ってしまうんじゃないでしょうかねえ。

 ええ、取り敢えず「色覚特性者」とか、本小説の「第四章」は気にしないで読みましょう、って完全にネタバレしてるじゃん。

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