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2011年8月26日 (金)

『神奈川県謎解き散歩』はガイド本としては充分すぎる

 神奈川県お出かけ本なのだろうか。でも、温泉まで。丹沢なんかの山までは無理という話だ。

『神奈川県 謎解き散歩』(小市和雄編著/新人物文庫/2011年7月12日刊)

 もともと『神奈川県の不思議事典』と題されて出版されていたものを、改題し、新編集して出された文庫版である。さすがに新人物往来社だけあって、昨今の「簡単お出かけ本」にはない奥深さがある。

 そこで、この本を読んで分かったこと、その1:「外郎売」のういろうは名古屋じゃなくて小田原のことだった、ということ。なんとなく、ういろうと言えば名古屋の専売特許かなと思っていたのは、私が名古屋に数年暮らしていたからなのだろうか。青柳ういろうに大須ういろ、というそれこそ「ういろう」というネーミングを巡って裁判まで起こしたほどの、名古屋の代表的なお菓子である。ところが、考えてみれば歌舞伎十八番「外郎売」には「御江戸を発って二十里上方、相州小田原一色町を御過ぎなされて……」という台詞(外郎売の長広舌)があるとおり、小田原の名物なのであり、実際に小田原市には「株式会社ういろう」という会社まであるのだ。さらに、「ういろう」というネーミングは株式会社ういろうの前身である「外郎家」から来ていたのだった。

 ただし、歌舞伎のういろうはお菓子じゃなくて薬であった。ただし、お菓子のういろうを作っていた外郎家が作った「透頂香(とうちんこう)」という万能薬。で、その万能薬である透頂香を売り込む台詞が「外郎売」の長広舌であり、「透頂香つまり外郎」という台詞になってういろうの名が出てくるのであった。

 株式会社ういろうでは、今でもこの透頂香を作っているし、同時にお菓子のういろうも作っているのだ。

 もうひとつの、この本を読んで分かったこと、その2:板付き蒲鉾は小田原から広まったということ。なんとなく(これも「なんとなく」なのだ)、蒲鉾と言えば普通「板付き」でしょう。だって、「かまとと」なんて言葉もあるくらいだから、と考えていたのだけれども、確かに仙台に行けば笹蒲鉾だしなあ。板は付いていないしなあ。

 勿論、蒲鉾と竹輪は同根である。ただし、白身魚をすり身にして、板に乗せて蒸したものが「蒲鉾」、串に巻いて焼いたのが「竹輪」である、と考えていたのだが、古くは小田原の蒲鉾も串に巻いて蒸していた物だったようで、その形が蒲の花の穂に似ていたところから「かまぼこ」と呼ばれるようになったということだ。まあ、確かに「板付き」では「蒲の花の穂」とは似ても似つかない姿である。

 そんな蒲鉾が今のような板付きとなったのは明治の頃からと本書には書いてある。つまり「かまとと」という言葉も明治のどこかから言われ始めたのだろう。で、早速ネットで調べたら<幕末の花柳界で普及したことから女性を対象に使われたかまととは、後に「うぶを装うこと」や「うぶな人(この場合『かまとと女』ともいう)」という意味で使われるようになる>なんて書いてある。なーんだ、やっぱりネットはいい加減だなあ、なんて考えたのだが、そうか、それは板蒲鉾について発言じゃないのか、ということである。てっきり「あの板に乗っているのがお魚なの?」というのが「かまとと発言」かと持っていた私がバカなのね。

 とまあ、「小田原ネタ」だけでやってしまった私のお話しであるが、勿論、それだけじゃない。「神奈川県の県民性」から「中世の鎌倉編」「横浜と文明開化」「考古・歴史・人物編」「文学編」「宗教・地理・産業編」「自然編」と網羅的である。網羅的な分、ひとつひとつのテーマについては浅い知識しかつかないが、まあ、神奈川入門編ならこれで充分。

 とりあえず、この本もって週末は小田原あたりにでも行こうかな。小田原城もまた見てみたいし……でも、まだ暑そう。

 さすがに神奈川県最大の書店・有隣堂では文庫部門8位でありました。

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