フォト
無料ブログはココログ

Amazonウィジェット

  • Amazonおまかせリンク
  • おすすめウィジェット
  • Kindle

« なぜ僕はドキュメンタリーを撮るのか | トップページ | 『江成常夫写真展 昭和史のかたち』 »

2011年7月23日 (土)

『グランプリ』にはグランプリをあげられないなあ

 7月6日のエントリー『サヴァイヴ』(近藤史恵)の隣に並んで平積みされていたのがこの本である。しかし、ツール・ド・フランスの時期に近藤史恵氏のロードレース小説が出るのは、まあ、お約束のようなもんだけれども、なんでその同時期に出版されるのが「競輪小説」なんだ? それもSF作家が書いた競輪小説である!

『グランプリ』(高千穂遥著/早川書房/2011年6月20日刊)

 高千穂遥と言えば『クラッシャージョー』であり『ダーティーペア』である。SFといっても、いわゆるアメリカ式の本格SFではなくて日本式のSF。つまり、アニメーションと組み合わさった形でのSFということで、日本SFコンベンションなんかとは親和性の高い作家であるが、アメリカで大体開催されているワールドSFコンベンション(2007年は横浜で開催)とはちょっと違う作家という認識だ。

 そんな、高千穂遥は最近は「自転車作家」らしく、『自転車で痩せた人』なんて本を出したりしている。ということで、自転車作家らしく競輪小説を書いたのが本書である。

 第一章 日本選手権競輪では広島の瀬戸石松。第二章 高松宮記念杯競輪では名古屋の室町隆。第三章 寛人親王牌・世界選手権記念トーナメントでは福島の帆苅由多加。第四章 讀賣新聞杯全日本選抜競輪では東京の綾部光博。第五章 オールスター競輪では京都の都賀公平。第六章 朝日新聞杯競輪祭では北海道の池松竜。この6人に、この六話全部に絡んでくる八十嶋誠、賞金額で出場が決まった舘久仁夫、才丸信二郎の9人が第七章 KEIRINグランプリに出場するという話だ。あともうひとつ、月刊競輪専門誌である『けいりんキング』の新人記者、松丘蘭子の成長譚もある。まあ、普通のスポーツ小説。

 つまり、これは普通のスポーツ物の盛り上げ方である。いわゆるSF型の驚天動地型ストーリー進行ではない。しかし、本来の娯楽物のストーリー展開の基本である。まあ、つまり自分の領域の作品でない場合は、普通のストーリー展開で取り敢えず作っておこうかなというところなのだろうか。問題は、何故、高千穂がこうしたスタイルの小説を書こうとしたのだろうかということなんだけれども、なんででしょうね? 自分のよく知らない世界を描くことになってしまうと、作家というものはそういう風になってしまうのだろうか。あるいは・・・作家の才能の・・・なさ?

 ただし、私にとってはこれは面白い作品ではあった。自分が自転車によく乗っているということがあって、ヒルクライムとスプリントなどの違いはよく知っているということがあって、そのことからの自転車小説としての楽しみがある。競輪は賭けたことはないが、比較的見ているほうだ。つまり、捲りとか差しなんてのは知っている。一方、高千穂遥がSF作家であることは知っていたが、実は高千穂作品をまったく読んでいなかったからというところもある。つまり、高千穂遥というのはこうした結構凡庸な作品を書く作家なのだなという認識を持ったというものなのである。

 まあ、『グランプリ』という小説は、まあ、普通に雑誌か何かに連載でもしていれば読むかもしれないが、単行本で読むほどの話じゃないかな・・・という気がした。

 ちょっと残念、期待していた作品、つまり競輪記者が書いた以上のドラマチックな展開を読める作品になると思ったんだけれどもなあ。

 

« なぜ僕はドキュメンタリーを撮るのか | トップページ | 『江成常夫写真展 昭和史のかたち』 »

書籍・雑誌」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/549500/52269388

この記事へのトラックバック一覧です: 『グランプリ』にはグランプリをあげられないなあ:

« なぜ僕はドキュメンタリーを撮るのか | トップページ | 『江成常夫写真展 昭和史のかたち』 »

2017年3月
      1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 31  

PEN PEN チョートクカメラ日記

自転車フォトグラファー 砂田弓弦

シュクレはお留守番

アローカメラ&我楽多屋

まだ東京で消耗してるの?