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2011年7月20日 (水)

今夜もひとり居酒屋

「居酒屋」とは言っても、今はやりの「2時間飲み放題○○○○円!」というようなチェーンの居酒屋のことではない。だいたい、親父ひとりか、その妻、あるいはせいぜい親戚の女の子が手伝っているような、あまり流行っていない、でもしみじみと懐かしさのある「居酒屋」のことである。

『今夜もひとり居酒屋』(池内紀著/中公新書/2011年6月25日刊)

 池内紀氏はドイツ文学者である。あのギュンター・グラス『ブリキの太鼓』や、ゲーテ『ファウスト』の翻訳者である。でも、そんな池内氏が超日本的な「居酒屋」について書くのだ。まあ、勿論池内氏も日本人であるから、日本式の居酒屋にも行くことはあるだろう。「独文と居酒屋の関係論」という深遠なるテーマにも一度挑んで欲しいものだ。結果は期待していませんがね。

 池内氏の「はじめに」が一番良い文章だ。本文はそれを検証するための資料みたいなもんで、この「はじめに」だけを読んでも、本書全体を読んだ気になれるというものだ。で、ちょっと長いけど、部分引用;

『居酒屋に人一倍したしむようになったのは、「二合半のおじさん」のせいである。三十代初めに出くわして三十年ちかくつき合ったそしていろんなことをおそわった。

 <中略> 

「へー、どうぞ」

 おやじが口をきいて扇子を差し出した。ひらくと品書きになっていて、湯豆腐三百五〇文、おでん三〇〇文、シラスおろし一七〇文などと並んでいる。店の作りと同じように値段も江戸にもどしてあった。

 酒は山形の初孫。「二合半」は「こなから」と読む。辞書にあるとおり一升の半分のそのまた半分の二合五勺、酒量にからめてほどよく飲むべしの教訓がこめてある。だからといって二合半で打ち切りというのではない。主人が手ずから役者のように形よくついでくれる。初孫からサントリーに移ってもいい。おやじによると、ウィスキーは角がよろしい。グラスにそそぐ手つきが、年季の入ったバーテンさんのようにあざやかだった。

 こちらが黙っていると、相手も黙っている。おかみさんはとりわけ無口なようで、おやじが話している間も、小さくうなずくだけ。そのうち木戸がきしんで顔がのぞいた。

「あいすみません、本日は早じまいといたしますので――」

 やっと二人目の客だというのに、すげなくおことわり。すでによそで酒が入っている人は立ち入らせない。

 へんくつだが、心をひらいたものには、こよなくやさしい。三十年もつき合うと、どんな人生を送ってきた人だか、しだいにわかってくるだろうに、いつまでも謎だった。若いころ北海道にいたらしいこと、おかみさんが姉さん女房であること、歴史小説が好きだということ、それはわかった。』

 ね、いいでしょ。あとは目次を辿れば;

Ⅰ 居酒屋への道

Ⅱ 食べる愉しみ

Ⅲ 呑む歓び

Ⅳ 千客万来

Ⅴ そろそろ看板

 ということで、居酒屋における飲み方やら、食べ方、騒ぎ方から静まり方、等々について書いてあるわけなのだけれども、それは一方で居酒屋側からの飲ませ方や食べさせ方、騒がせ方から静ませ方などに書いてあるわけで、しかし、それは実は人それぞれによって違うものなのだ。

 所詮、居酒屋に(日本料理屋やらフランス高級料理屋のような)ルールがあるわけではなくて、皆勝手に好きなものを食べて、好きな酒を飲んでればいいのだ。問題は、他のお客さんに迷惑をかけなければいいのである。もうひとつは、店の出す食べ物には文句を言わずに食べろということかな。店に文句をつけたって、店の味が変わることはないのであり、それに文句をつけるなら、もう行かなければいいだけの話しなのだ。

 ということで、まあ、居酒屋文化なんていうほどのものはないのだけれども、でも、そんなことを「もしかすると、あるかもしれない」と思わせるところが昔式の「居酒屋」なんだよな。「居酒屋文化」なんて言ったりしちゃってね。

 う~ん、とりあえず下記の小説、DVDを見ると良いだろう。高倉健が、この年になってもカッコいいのだ。

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