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2011年7月 9日 (土)

『女子の古本屋』という自己実現

 山女子とか○○女子、○○ガールなんてものがやたら目だって見える今日この頃ですが、ちょっと陰気なオヤジが店の奥でデンと控えているイメージの古本屋の世界にも、こんなに女性経営者がいたとは思わなかった。

『女子の古本屋』(岡崎岳志著/ちくま文庫/2011年6月10日刊)

 で、紹介されている13人の女性店主の大半は1960年代から70年代の生まれで、1990年代から2000年初期にかけて開店をしている。そしてその基本姿勢は「ユル」さである。

 普通、勤めを辞めて独立起業なんてことになると「まなじり決して」というイメージがあるのだが、この本で紹介されている人たちはまったくそんなことはなく、なんとなく普通に始めてしまっており、大稼ぎもしていないようだが、それでも気にしないで皆マイペースで楽しんでいるようだ。勿論、開店にあたっては店の場所確保やら初期の在庫確保やらで大変だったことはあるようだが、それもあまり無理せずに、マイペース。営業姿勢も客に合わせて商品確保というよりは、自分の趣味や好みに合わせてマイペース。まあ、そんなマイペースぶりが却ってお客さんから親しまれる理由になっているのだろうけれども、そんなスタイルで仕事が出来るというのも女性ならではであるのかもしれない。

 唯一異なるのが、石田書房の石田由美子さんぐらいか。映画好きの由美子さんは学生の頃から映画の世界に入り込み、中堅どころの出版社に務めて、そこでご主人の禎郎氏と知り合う。出版社を辞め、映画の宣伝プロデュースやイベントの仕事をしながら編集者の禎郎氏と幸せな日々を送っていた由美子さんだが、その最愛の夫をガンで亡くす。後追い自殺でもするんじゃないかと周囲から思われるほど、精神を病み、睡眠薬がないと眠れない日々が続いた。

『もし、病気がよくなったら、二人で古本屋をやろう』

 と生前語っていた夫の言葉に、由美子さんは古本屋開店を決意する。開業資金をかけずにリスクを少なくするためには、ネット販売という方法もあったのだが、由美子さんは店売りを選んだ。

『古本屋をやって儲けようとか、成功させようという気はなかったんです。ただ、パソコンに向かって一人部屋にじっとしているのでは、今までの生活からは抜けだせない。店の棚に本を並べたり、お客さん相手に言葉を交わしたり、本を売り買いすることで、精神的なリハビリを図ろうと思ったんですね』

 というこことで。で、店の名前も

『いろいろ考えたんですよ。カタカナの洒落た名前も。でも、変わった名前だと、主人が気づかないかもしれないでしょう。『石田書房』としておけば、きっと気づいて、ああやってるな、と思ってくれるかもしれない』

 ということなのである。

 この石田由美子さんのケースだけは、ちょっと重い起業理由である。

『アクセサリーや雑貨を売る、無農薬素材と酵母菌を使ったパンを焼くことで自己実現を図る。そんなお店を開くことが、女性にとっての新しい表現活動になっている。それなら、自分が好きで集めてきた本を中心に、同じテイストを持った客を招き寄せる古本屋をやりたい、と考える女性がいてもおかしくない。

 従来は、古本屋を開くにあたって、老舗と言われる店での五年以上の修業が必要と言われてきたが、本書にご登場願った女性古書店主で、「呂古書房」さん以外に、そんな体験を経た人はいない(「海月書林」さんがアルバイトを含め数年)。本が好きで古本屋を巡った経験を持つ人なら、とりあえず明日からでも始められる。ハードルはずいぶん低くなっている』のだ。

 とりあえず、13人の自己実現という読み方をしても面白い。1960年代後半位の生まれの女性たちから、やたら自分探しが多くなってきた。そんな自分探しの果ての古本屋と言うことなんだろう。したがって、先のことなんかも考えてないんだろうな。ま、言ってみればお気楽起業、お気楽開業である。

 組織に頼らず生きていく。そんな生き方の一つなのだろう。

 

 

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