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2011年7月 1日 (金)

『マルクスの逆襲』というだけじゃない、もっと大きいのはマルクス世代の勝ち逃げじゃないかよ

 三田誠広は文学者である。でも、早稲田闘争のさなかに大学に行った学生らしく、マルクスの「経済学」について語る。「哲学」についても少しだけ語るが、大半は「経済学」について語るのだ。何故、「哲学」じゃなくて「経済学」なの? それが重要。

『マルクスの逆襲』(三田誠広著/集英社新書/2009年刊)

 ということであるが、まあそれはいい。要は『戦後日本の経済成長は、まさに社会主義と同様の統制経済によって成立していたことが見えてくるだろう。実は、日本はマルクス主義国家だったのだ。だから、マルクスの予言のように、欧米の資本主義国家を追い越すような高度経済成長が実現した。マルクスがまちがっていなかったことのまぎれもない証拠が、日本の経済成長だということもできる』というように、結局、日本の戦前の官僚主導による統制経済が、戦後になって財閥解体とともにいっそう厳しくなり、それこそ「護送船団方式」と言われるような、一般の銀行も政府の顔色を伺いながら日々の業務をおこなうような政府の(つまり官僚の)統制による経済がずっと行われてきたのである。ただし、それが奏功したのは1960年代までであり、それ以降はもはやマルクス経済学では国家の経済を行えなくなってしまっている。

 で、結局『わたしはここまで、日本の高度経済成長のプロセスを語ってきた。その青春時代に、日本の政治経済を根底から否定する、マルクス主義というものに洗脳された若者たちが、過激な闘争に踏み込んでいく姿を見てきたが、実は奇跡的な経済成長を果たした日本は、マルクス主義の国家だったのだ。官僚主導の計画経済は社会主義そのものだし、日本の企業は「村」として機能するコミュニティーだった。つまりコミュニズム(共産主義)の一つの実例が出現していたと見るべきなのだ』と言うが、実はそんな「マルクス経済学」を実施していた官僚自身が「マルクス経済学」について、まったく知識を持っていなかったということなのだ。まあ、幸せな時代ですよね。

 基本的に、官僚はだいたい法学部出身である。一部、経済学部出身もいるかもしれないが、多分その殆どはケインズ経済学を学んだ人だろう。最近はまずマルクス経済学なんて学んでいるひとはいなくて、殆どケインズ経済学である。勿論、ケインズ経済学はその学説の一部にはマルクス経済学を取り込んでいるのだけれども、基本的には資本主義経済をいかに長びかせようかという思想の経済学である。したがって、戦後の高度経済成長を支えた基本的な思想はマルクス主義も一つはあるのかもしれないが、もう一つはケインズ経済学だろう。ケインズ経済学も基本的には「統制型経済」の方の考え方であり、アダム・スミス流の「自由経済」ではない。

 で、問題は現代のマルクス経済学ではまったくない「自由主義・勝手主義・勝ちゃあいいだろう主義」的な「グローバリズム経済主義=勝ち組経済主義」というとんでもない経済主義がはびこっている世界では、ケインス流の修正主本主義的な主張はすでに顧みられることもなくなってしまい、もはや世界の「自由資本主義」の流れを誰も止まられないという問題なのだ。

 当然、こんな経済を送っていればどこかでそれに対するバックラッシュが起きるわけで、それを三田氏は『マルクスの逆襲が、これから始まるのだ』と、本書では結論づけるのだが、この言葉が『万国の労働者、団結せよ!』といった『共産党宣言』のように、力を持つ言葉になるのかどうかはわからない。

 しかし、最後に三田氏のこの言葉だけはちゃんと身にしみて感じてほしい;

『かつて全共闘世代と呼ばれた人々は、そろそろ定年を迎えようとしている。最初から大企業に入るのを拒んで一生フリーターで生きた人や、途中でリストラされた人もいるだろうが、企業の戦士として定年まで勤め上げれば、退職金を手にすることになる。その預貯金がファンドに投入されると、それが穀物の高騰につながり、自分で自分の首を絞めることになる。

 グローバリゼーションという、一見進歩的な感じの言葉に踊らされて、日本は構造改革、規制緩和を推し進めてきた。それは自由競争の場を全世界に拡げられることになるのだが、すでに指摘したように、「自由」というのは、資本家が最も安価な労働力を利用できる自由を意味している。それでも、イギリスのジェントリーのような良識ある資本家がいればいいのだが、「無国籍資本」は顔の見えない資本であり、いささかの良識もないモンスターである。』

 ということで、「団塊の世代」といわれている人たちに最後っ屁。とにかく、あなたたちは哲学思想(結構、いい加減だけれどもね)に関しても、経済思想(そんなの知ってたの? レベルだけどさ)についても、殆ど知識はないでしょ。

 ひとつには、あなたがた団塊の世代が自分勝手にやってきたマルクス主義運動が、実はこの社会に対して何の効力もなかったということ。つまり、それは「名目はマルクス主義」だっかもしれないが、実態としては「所詮は単なる学生の不満運動」にすぎなかったということ。

 もうひとつは、あなたがた団塊の世代にとって「マルクス主義」とか「実存主義」なんてものは、単なる「知識」に過ぎないものでしかなく、体に身についた思想でも何でもなくて、だから簡単に捨ててしまい、平気で資本主義の最前線で仕事をすることができたんですよね。

 最後は、マルクス主義なんてものは、団塊の世代にとって、初めから自ら信じていたものでもなんでもなくて、多分、その時期は「俺はマルクス主義」っていうのがカッコいいから、言ってみただけよ、てなもんでしょう。

 そんな、底の浅いマルクス主義者がやたら多かった1960年代ではあります。

 そんな連中が、ここ最近、皆定年退職するわけです。

 それが、こわいね。だって、こいつら絶対に「社会貢献」なんてことは、三田先生の思惑とは別に、絶対しない連中なのだ。要は、結局それで日本が潰れればいいという発想なのだ。

 ええっ、自分たちだけ「勝ち逃げ」ってことですか?

 そうなんです。

 

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