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2011年7月 2日 (土)

『PAPA & CAPA』から読みとれること

 ヘミングウェイ没後50周年記念出版ということだそうだし、ライカ銀座での写真展も企画されているそうだし、ふたたびみたびロバート・キャパの写真を見る機会は増えそうだ。

「PAPA & CAPA ヘミングウェイとキャパの17年』(山口淳著〈写真:ロバート・キャパ〉/阪急コミュニケーションズ/2011年5月10日刊)

 で、ここでなんだけど、ロバート・キャパって「うまい」写真家だったの? という疑問である。一般に「戦争写真家」という人たちは、基本的な「写真のうまさ」よりは「シャッターチャンス」にかける人たちである。究極のドキュメンタリー写真である戦争写真は、とにかく動物的な感覚でもってどんどん撮って行かないとダメなんである。とにかく、戦争写真の世界では「写真のうまさ」ではなく「何を撮ったのか」」だけに意味を持つのであり、その為には多少の「写真的なヘタさ加減・ウマさ加減」は、撮影した対象物でもって写真の価値が決まってしまうという世界なのである。

 例えば、ロバート・キャパと言えば一番有名なのはレフ・トロツキーを捉えた写真とか、スペイン戦争の「崩れ落ちる兵士」とか、著書『ちょっとピンぼけ』の表紙写真で有名なDデイのノルマンディ地方のオマハビーチ(多分これはアメリカ式の呼び方であり、フランスではそう呼ばないのだと思うのだけれども)の写真などであるけれども、そのどれもが写真としてはそんなに洗練された写真ではない。特に『ちょっとピンぼけ』の写真は、さすがに「ピンぼけ」はしていないが完全に手ブレ写真の典型である。

 つまり、戦争写真は写真のうまさ、写真家としてのプロフェッショナル的な問題ではなくて、むしろジャーナリストとかトップ屋的な「ここぞ」という感覚の方が大事だということなのだろう。

 で、結局ロバート・キャパもアーネスト・ヘミングウェイ他の作家や芸術家、女優などのポートレイト写真の方に行ってしまうのだが、こうした写真の場合、キャパは被写体である人物と数日を一緒に過ごし、被写体である人たちがフォトグラファーを意識しない状態になるまで待ったそうだ。まあ、確かにそれが「普通の状態」を撮影できる一番の方法だからね。

 しかし、そんな撮影方法は今のカメラマンには要求されないだろう。「取り敢えず、行って、撮ってこい」なんてデスクに言われて撮影に行くのが現代の「カメラマン対雑誌編集部」の力関係だ。「被写体と数日間を過ごしてもいいですよ」なんて、よっぽどの大御所の写真家しか許されない、破格の待遇である。

 だとしたら、時代はロバート・キャパの時代よりはずっと厳しい時代になっているわけで、そんな時代の写真家がキャパの自伝なんか読んでもあまり意味はないのかもしれない。

 で、ロバート・キャパが「うまい」写真家だったのかという最初のテーマに対する答え。

「ヘタ」が正解。

 つまり、所詮キャパは戦争写真家なのである。写真家としては決してうまくはない。だって、ヘミングウェイだって、ジョン・スタインベックだって、トルーマン・カポーティだって、パブロ・ピカソだって、アンリ・マティスだって、そしてイングリット・バーグマンだって、皆じっくり付き合った結果の写真なのである。今日、ピカソのところに行って来い、と言われて撮った写真ではないのである。そんな風に、何日も被写体の人たちと時間を過ごせれば、まあ、そんな写真は撮れますよね。

 ということで、キャパは写真がヘタということになったわけだけれども、別にそれでキャパの写真家の立場を貶めるつもりはない。まあ、やっぱり写真が力を持った時代、『ライフ』が一番輝いていた時代の象徴的な人物だし、それなりに「スゴイ」のは事実。

 ただし、ポイントはそこまで。別にそれ以上に神格化しなくてもいいんじゃないの、というのが私の考え方なんだけれども。

 

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