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2011年6月14日 (火)

『未来ちゃん』は結構示唆的な写真集であるのです

 これはこれでインパクトの大きい写真集なのだ。

『未来ちゃん』(川島小鳥著/ナナロク社/2011年4月1日刊)

 未来ちゃんは佐渡の女の子。今時珍しい真っ赤な頬をした女の子。カメラを見ても決して笑わない女の子。佐渡という場所柄か雪景色がとっても似合う女の子。障子や土管の穴から顔を出すのが好きな女の子。小さなお地蔵さんに囲まれていると、どちらがお地蔵さんだか分からなくなってしまう女の子。鼻水を垂らしている女の子。犬や猫が大好きで、彼らと戯れているのが大好きな女の子。鴎はちょっと怖いかな。着物を着るのが(多分)好きな女の子。お正月らしく着物を着て餅を食べるのが大好きな女の子。しかし、やはり未来ちゃんが一番似合うのは雪の中の未来ちゃんなのだ。佐渡の子だからだろうか。

 映画に関して「子どもと動物はご法度」という言葉があるように、スチール写真に関して言っても、動物(特に子どもの動物)や、子どもの写真はある種「ご法度」である。当然、そこには大人を使って撮影した写真にあるような「演技」はない。そんな「演技の嘘」がないから「子どもや動物」は純粋に見る者を愉しませることができる、というということなのだが。

 世の中見まわしてみるとそんな「やっちゃいけない動物写真」が満載である。それも「動物の子ども写真」だ。

 動物の子どもはまだ自分一人では生きていけない。したがって大人にたいして「これは可愛い子供だ」「保護してあげなければいけない」と思わせるために、動物のこどもは大人から見て可愛く見えるようになっているのだ、という説がある。それは、人間の子どもも同じである。

 で、大人の目から見たら「可愛い」が為に、「これは売れる」とばかりに「動物写真集」「動物の子ども写真集」が世間にいっぱいある。がしかし、そんな写真集は実は1回見たらおしまいなのだ。そうじゃなくて、何度も見返すことができる写真集を・・・と考えているのだが。

 ということで、本書に入るのだが、とりあえず上のアマゾンのアフィリエイト広告の表紙写真部分をクリックしてもう少し大きな写真で表紙を見てほしい。日本間でハムエッグらしきものを食べている未来ちゃんの表情はなんというものだろう、なんかすごい顔をして食べているのだが、それだけ食べることに一生懸命なのかもしれない。それは子どもにとっては、食べることが生死にかかわることだとでもいうように。

 本当はこの写真よりも鼻水たらしている未来ちゃんの写真の方がインパクトがあって面白いのだが、さすがにそれはあまりにも美しくないということで表紙には使われなかったんだろうな。まあ、でもこの表紙だけでも他の写真集との差別化は十分されている。

 これだけ、一人の少女に付き合って撮影された写真集は、もしかすると荒木経惟以来かもしれない。荒木氏の場合はもう少し上の(初潮がはじまるかどうかというところの微妙な)年齢の少女を撮影しているわけなのだし、そこに少女に対する「性」の匂いがあるわけである。しかし、この『未来ちゃん』では、まだまだ「性」の匂いはしない。

 ただし、もう少し(あと5~6年位?)するとこの子も確実に「女」になってしまう訳で、女が「女の子」である時代は以外と短いのだな、ということも考えさせられる。まあ、もっとも女が女じゃなくなってしまう(という言い方をしちゃいけないんだけれども、要は閉経してからの後ということで)時期との合算で考えれば、まあそんなこともないかというところである。

 ともあれ、一度この写真集を見た方がよい。まあ、だからといって貴方の人生が変わるということはまずないだろう。しかし、この写真集に「昭和の雪深い日本の田舎」というものを発見できるかもしれないし、そこに生きる「普通の女の子」を見ることができる。そう、「鼻水たらした普通の女の子」である。

「昭和に会った普通の風景」というよりは本当は「昭和前期(1960年代位)の普通の風景」が、あたかもそこに住んでいる女の子がいるかのように写し出された写真集。それが、本書である。

 荒木経惟氏とはアプローチは違うが、しかし、同じような「人の顔を写す」ということを川島氏は始めるのじゃないか。

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