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2011年6月21日 (火)

『書店ほどたのしい商売はない』とはいっても、そうなのかなあ・・・

 経営してる方は楽しいだろけれども、勤めている店長にとっては結構厳しい現場ではある。特に「書原」ではね。

『書店ほどたのしい商売はない』(上村卓夫著/日本エディタースクール出版部/2007年3月5日刊)

 上村卓夫氏はいまは書原の社長ではない。いまは社長を息子の上村智士氏に譲っている。ただし、書原という書店の方針は変わっていない。

 で、この上村氏の基本が「マルクス主義的教養主義」なのだが、それは理由があるらしい。それは、開店当時、1967年頃は開店したばっかりの書店には大出版社が売れそうな本(新刊や文庫本)を配本してくれない。そこで人文書に力を入れて、既刊本をたくさん仕入れて、妙な魅力のある阿佐ヶ谷本店ができたわけだ。いまは多少変わったけれども書原の阿佐ヶ谷本店は昔から「ちょっと変な人文書にやたら力を入れている店」であり、「ちょっと変な人文書」を求める読者からは、「あそこはちょっと変な書店だよ」ということでいろいろ話題になっていた書店であったことだけは間違いない。おまけに、同じビルの3階にマッドハウスというアニメーション制作会社があったこともあって(今はない)、私はちょくちょく顔を出していたのだが、そのたびに書原を覗く、というのが日常になっていたのだった。ここには、ちょっと変わった本が置いてあるということで。

 その位、変な魅力のある店であった。

 で、その後、出版社の販促部門に異動となり、その経営者の上村氏と会うことになったのはなんという邂逅であろうか、普段は新橋店にいる上村氏に会った私は、まずマルクス主義の日本における敷衍の状況から話を聞き出して、その後の書店経営の話を聞き、現在の状況を聞いたという、多分、各出版社の書原に対する営業マンと同じ待遇を受けたのだった。まあ、書原と付き合う出版社の営業マンなんてのはそんなもんですよ。まずは、日本におけるマルクス主義の問題から、というのが基本パターンね。

 で結局「スリップから何を読み取るか」という上村さんの発想に辿りつくという訳だ。しかし、POS全盛の時代になんでスリップ? という疑問は当然である。

 POSで売れた物の発注は出来てしまうからいいじゃないか、というのが普通の書店の発想である。しかし、そうではない、スリップの状況から別の判断が出てくるというのが上村氏の発想なのだ。例えば;

『この前、新橋店の「売上スリップ」の中から『デザインの原形』(六曜社、2004年)と『エレメンツ・オブ・デザイン』(美術出版社、2006年)と『芸術起業論』(幻冬舎、2006年)の三枚が続きました。

 ひとりの読者が買ったことは明らかで、この読者がデザインの入門書を探しながら、商業化する立場にあることがわかります。もしかすると、デザインとアート、ビジネスとエコの関連性を狙っている建築家かもしれません。「売上スリップ」からの推測はこの程度です。

 現場を把握している、隣の店長に聞いてみると、「『芸術起業論』が積んであり、よく売れていて、何刷もしている」と言います。幻冬舎ですからね。直感的に、アートと投資そのものの関係性が鮮明になります。

 積んである場合は様子を見ます。どれも積んでない場合は手ごろな一点を選び出し、三冊か五冊ぐらいの補充をかけてみます。

 ――探りを入れる?

上村 そうです。要チェックです。

 作業的には観察(WATCH)から始まり、疑問(WHY)へ、そして次に連想(INSPIRATION)があって、考察(THINK)へ、、最後に補充(ACTION)の順になります。この繰り返しですが、やはり最初に疑問(WHY)を持つことですよ。

 ――おもしろいですね。すると、各店長は即座に?

上村 店内にある八割以上の新刊、既刊を把握し、私の質問に反応しなければ、失格です。社員と店長の違いは商品知識でしょう』

 という具合に、一枚の(数枚の)スリップから読者像を想像し、そこから新たな客を想像して商品構成を考えるというのは、確かにPOSでは思いつかない発想法である。

 しかし、こんな社長(今は社長ではないが)と付き合う店長も大変だな。社長現場分かりすぎ。

 こんな現場分かりすぎの社長と付き合っちゃうと、店長は仕事をする気になるのか、逆になくなっちゃうのか、まあ、ふたつにひとつだろうな。

 でも、そういう関係にならなければ面白い人です。上村卓夫さんて。

 で、ここまで読んできて「何か変だなあ」と思ってみたら・・・・・・出版されたばっかりの頃に、上村さんの話をエディタースクールに聞きに行った際に、購入して読んでいるのであった。ああ、またやってしまった。

 ただ、まだ初版のままっていうことは、あまり売れていないのかなあ。確かに、その後の書店事情は激変していて、今では上村さんの話だけをみると「牧歌的だなあ」と思うような部分もある、しかし、変わっていない部分も多く、そこは興味を持って読めるのだが・・・。

 

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