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2011年5月 8日 (日)

これは『12人の優しい「書店人」』の闘いの証明なのだ

 しかし、こうして見ると「リアル書店」もまだまだ戦えるな、という気分になってくる。まだ大丈夫だ。

『12人の優しい「書店人」』(山本明文著/商業界/2011年4月1日刊)

 しかし、「電子書籍」と「紙の書籍」、「ネット書店」と「リアル書店」という言呼び方に違和感を持っていたのはいつ頃までだったのだろうか。最早そういう呼び方にも慣れてしまっている自分がいる。

 で、本書に登場する『12人の優しい「書店人」』とはどういう人たちなのか。

まず、『第1章 中小書店の戦い方』では千駄木往来堂書店・笈入建志氏と学芸大学恭文堂・田中淳一郎氏。『第2章 ベストセラーの「舞台裏」』では三省堂書店成城店・内田剛氏と立川オリオン書房ノルテ店・白川浩介氏。『第3章 「本屋大賞」の未来』では現在は文芸評論家だが元々は千葉ときわ書房・茶木則雄氏と現ときわ書房・宇田川拓也氏と三省堂書店京都駅店・中澤めぐみ氏と恵文社一乗寺店・大瀧彩子氏。『第4章 異能の人、終わらない夢』ではふるほん文庫やさん・谷口雅男氏と神保町東京堂・佐野衛氏。『第5章 「書店人」のキャリア』では元ブックストア談で現在は丸善ラゾーナ川崎店の沢田史郎氏。そして『特別インタビュー』の丸善(元)社長の小城武彦氏。

 ふるほん文庫やさんはちょっと異色の存在だが、それ以外のほぼ全員が口にする問題が、いわゆる「パターン配本」というやつ。「パターン配本」とは何か。という前に、「配本」じゃなくて「仕入れ」じゃないのかというのが、普通の商売をしている人たちの感覚であるから、そこから解説しなければいけない。

 本は「委託販売制度」というものがあり、つまり本屋さんに入っている本は本屋さんが独自に仕入れたもの、つまり本屋さんの持ち物ではなくて、とりあえず出版社の持ち物である書籍を本屋さんに預けて、売れた分だけ「仕入れ」て残った分は「返品」出来るという制度なのである。おまけに毎日毎日200点からの新刊が出てくるので、本屋さんがひとつひとつ吟味して、独自に仕入れることはできないという物理的な問題もある。で、取次(販売会社=本の問屋)が独自の判断で各書店の販売力を考慮して「見計らい」で本を送ってくる。その際に、前年のその本屋さんの販売額を参考にして、一定のパターンで本を送ってくるのが「パターン配本」。当然。「パターン配本」ではその本の性格(ある地域に強い作家がいるとか)や、実は客からの注文が既に入っている新刊がある、なんてことは考慮せずに一定のパターンで配本してしまう。そうすると、例えば大きいチェーンの書店なんかには山と積んであるベストセラーなんかが、零細書店なんかには一冊も送られてこないなんてことが多く見られる。

 出版社も小さいし、書店も小さなものしかない時代には、この「パターン配本」も取次がもつ大きな情報量を生かして有効に働いていたのだが、今のように出版社も独自の情報チェーンを持ち、また大資本の大きなチェーン書店がある時代には、一方で書店毎の配本数(ただし、大きい書店だけ)を出版社が指定する「指定配本」がある一方で、この「パターン配本」があるというのはちょっと不都合な訳である。ある種の制度疲労を起こしているともいえる。しかし、すべての出版社がすべての書店の「指定配本」が出来るわけでもなく、一方取次としては出来るだけ多くの書店に本を届けなければならないという取次本来の使命を果たすためには、この「パターン配本」を超える配本方法が未だない以上、この制度は生き残るのである。

 ということで、書店の方から何か動きを起こさなければ問題は解決しない、というところから第1章に書かれている「NET21」という書店協業の動きとか、第2章のようなPOPで勝負したりワゴンセールである種の本を大量販売したりという方法や、第3章のように書店発のベストセラーを作ろうというところから「本屋大賞」のようなものが出来たりするのであろう。

 ところで、本屋さんの売り上げで大きいものはなんとなくベストセラーの新刊にあるようなイメージがあるが、実はそうではなくて、雑誌を別にすれば、文庫本なんかの既刊本から面白そうなタイトルを探してワゴンで展開したり、POPをつけたりして業界用語でいうところの「仕掛け本販売」による、あるタイトルの大量販売によるものなのだ。

 まあ、今までが取次の「配本パターン」で送られてきた本だけを棚に並べて売ってきた、ということは、それは取次に言われるだけを売らされてきたという本屋さんの商売のやり方が、そんな方法だけじゃなくても、もし自分で「仕入れる」という考え方(ってこれは商売としては当たり前なんだけどね)をちゃんと取り入れられれば、まだまだ商売の方法はいくらでもあるということなのだ。特に書籍の売り方で基本は既刊だということがわかればこんな面白いことはない。

 私が、書籍を買う時も、いわゆる「リアル書店」で買う時は何か面白そうな本がないかなという、言ってみれば「衝動買い」で買うのが面白いのであって、それが普通の本の買い方。どうしてもこの本が読みたいけど本屋さんにない時に初めて「アマゾン」なんかの「ネット書店」で買うというパターンである。ではどちらが本当の本の買い方なのかと言えば、当然本屋さんで「何か面白い本はないかな」といって探すときの方である。大体アマゾンのリコメンド機能なんてものは、これまで買った本の範疇でしか「お薦め」をしないわけなのだから、それはこれまで買った本の範疇でしか選べないのである。それでは本の買い方としては面白くない。

 ということで、谷中の往来堂の「文脈棚」を紹介します。ここの「文脈棚」はアマゾンなんかのリコメンドでは範疇モレしてしまうけど、でも何か関係がありそうななさそうな、という曖昧な連鎖の本が並んでいます。

2011_05_05_017_2 往来堂書店(文京区千駄木2-47-11 TEL : 03-5685-0807/不忍通りの根津神社のそばの丁字路正面です)

 とにかく、ここの「文脈棚」は一見の価値あり。『「本はその両隣にある本とのつながりのなかでお客さまに届くものである」という考えのもと、「隣に(あるいは一緒に)何を置くか」という点に最大の注意を払って作った棚のことです。 本はただ一冊でそこにある時より、何らかの意味のある繋がり(=文脈)のあるまとまりとしてお客様の目の前に現れたときのほうが、なぜか魅力的に見えると往来堂は考えています。』というのが「文脈棚」の考え方。笈入氏はこの「文脈棚」を作るためにほぼ毎日神田村(神保町の裏通りにある中小取次店群)に通っている。つまり、積極的に仕入れに動かないとこうした戦略的な棚は出来ないということなのだ。

 まだ、こんな「本のコンシェルジェ」にような人がいる限りは、本屋さんも捨てたもんじゃない、という気にさせる。こんなことはアマゾンでは出来ないことなのだ。なぜ出来ないのか。ってアマゾンではリコメンドをコンピュータにさせているからなのだ。やはり、いまのところ人間の力の方がコンピュータよりは上ということですね。

 ちょっと安心。

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