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2011年5月28日 (土)

日本復興計画

 5月の半ばに入って突然東日本大震災関連の本が出始めた。3月11日の震災があって、そこから企画して1カ月位で書きあげて4月半ばに入稿、ということでこの5月半ばがまず第一の震災本ラッシュというわけだ。これから、数カ月はこうした「震災関連本」が出続けるということになる。まあ、講談社がここまで大きくなった一つの理由には、関東大震災が起きた大正12年に、幸い震災にあっても潰れなかった社屋があったために、『関東大震災写真集』を出版できて、それがすごい勢いで売れたということもある。まあ、他人の不幸で稼ぎまくるという出版社の基本的な姿勢が良く表れているといえばその通りなのだけれども、そんな感じで各社稼ぎまくるぞという姿勢があってよろしい。もっとも、一番売れているのは朝日新聞社の震災写真集であるというのも、やはりねというところである。講談社では「PRAY FOR JAOAN」という震災直後に慶應義塾大学の学生が立ち上げたサイトに集まった世界中からのアクセスをそのまま掲載した本が売れているようだ。

 まあ、そんなわけでやたら多い「震災本」だし、原発叩きや東電叩きや原子力安全保安院叩きの本なんて今更読む気にもならないので、結局は震災からの復興をどうすべきか、という本に興味は行くわけだ。

『日本復興計画 Japan ; The Road to Recovery』(大前研一著/文藝春秋社/2011年4月30日刊)

 とはいうものの、大前氏もMITで原子力工学で博士号を取り、日立製作所で原子炉の設計に携わった人であるから、まずは今回の福島第一原発の事件に対する考察から入る、というより全三章のうち二章を原発事件に使ってしまうのであった。で、結局どうなるかと言えば、『まず、国内に新たに原子炉を建設することは、もう不可能だ』ということになったのだ。『これで、日本の原子力輸出政策は終わり、日立・東芝などの原子炉メーカーとしての未来もこの段階で終わったということである』というのは事実であろうけれども、しかし、日本の民間企業の腰の強さは、これだけでは終わらせないというところで、これからは廃炉ビジネスなのである。フランスのアレバなんかもそうなのであるが、アレバ社は原子炉メーカーであるとともに、廃炉ビジネスの一大メジャーなのだ。つまり、原子炉というものは40年位経つともう廃炉にしなければならない、結構短命な発電機構なのだ。まあ、それだけ周囲の原子炉圧力容器とか原子炉格納容器に与えるストレスが大きいということなのだろう。

 一つの原子炉を完全にシャットアウトするまでは10~20年かかるそうだ。そうすると日本に54基あるという原子炉全てをシャットアウトするまではのべ540~1080年という時間がかかるわけで、これは結構廃炉ビジネスも大きなビジネスになるというわけだ。まさに究極のマッチポンプだね。おまけに原子力発電所は半年に一回くらいづつ1カ月停止して定期点検をしなければならない。その定期点検をする原子炉メーカーの孫請けかひ孫請け会社に日雇い労働者になったというのが『原発労働記』なのだけれども、そうした定期点検も含めて実は先にあげた54基ある原発の半分しか稼働していないという事実。要は、原発は一回作ってしまえば半年に一回のメンテナンス、そして40年位で廃炉という、結構原発メーカーにしてみれば「おいしい」ビジネスなのだ。こりゃあ、車なんかを作って定期点検なんかいい加減にやっているエンドユーザーに届けるよりずっといい商売だ。おまけにしょっちゅう故障する。こんなに故障する車だったらユーザーからは見はなされてしまうのだが、原子炉はそういうことはなく、ちゃんとユーザーが同情して協力しながら修理に対応してくれる。

 まあ、B to Cのビジネスではあり得ないことがB to Bのビジネスではあるということですね。お互い会社員だし、まあ波風立てないで行きましょうや、ということなのかもしれない。地域独占の半官半民みたいな東京電力のような企業でも所詮は民間会社、どちらかと言えば、どちらの社員も自らの立場を守ることの方が大事だから、あまり相手会社の悪口を言わなくなってしまうのですね。だって、相手会社の悪口を言ってしまえば「そんな会社を選んだのはお前だろう。じゃあ、お前が悪いんじゃないか」と言うことになってしまうわけだ。で、すまじきものは宮仕えではないけれども、まあ、そんな宮仕えの集大成が東京電力の各部署における事件対応なのだろう。上から下まで。現場はどうなっているかは知らないが。

 で、肝心の復興の方はどうなのよ、ということなのであるが、大前氏の建言はさほど変わったものではない。要は道州制と国民の意識変化である。まあ、両方とも「やれればいいけれどもねえ」というところ。道州制に関しては官僚のアタマを全て入れ替えるつもりがなければできないだろう。つまり、それは官僚の仕事を全て奪い、いまから官僚の数を数分の一にしようという発想なのである。そんな発想の考え方に対して官僚側が了解するわけはないし、そんな官僚が制御している政治家が了解はしないだろうし・・・ということを考えてしまうと、それこそ革命を起こし国の作り方の根本を変えないとだめということになるだろう。そこまでやる気があるのですか? もしあれば、そこには参加したいと思うけれども・・・。

 もう一つは「日本国民のメンタリティを変えよ」ということである。要は、今までのような右肩上がりの経済を前提にした生き方を変えて、右肩下がりの経済にあわせた生き方をしようよということなのであるが、まあ、これは実現不可能ではないだろう、というより既に若い人たちの生活がそのようなものになりつつあるのだ。車は買わない(買えない?)、家も買わない(買えない?)、高級品は買わない(買えない?)、結婚しない(こりゃ困った)という小さな生活を今の人たちはしている。こうした小さな生活を送っている限り、日本経済は大きくはならないだろうけれども、このまま小さくなってきてもそれにあわせて小さくなることができるだろう。

 大前氏が最後に結論付けた通りのことはまさに事実であろう。

『個人は最小英剤単位だ。あるいは家族が最小の経済単位だ。政治家に頼ってはいけない。政府に頼ってもいけない。国がなんにもしてくれないことは、すでに明らかだ。自分自身だけが頼みの綱と覚悟を決める。そうしなければ、この日本も元気になりえず、復興もありえない。』

 ということである。つまり、それは国や政府を捨てろということなのだ。逆に言えば、自分の考え方にフィットした国があれば、そちらに行ってしまうのも選択肢だよ、ということ。まあ、もはや日本人が日本にいなくてもいいという時代になったのだ。面白そうな国に行って、そこで波乱万丈な人生を送ることも楽しいと思うよ。

 で、この『日本復興計画』を買うと、137円分が震災復興計画に使われるそうだ。まあ、小さな応援ですね。

 で、ついでに宣伝しちゃいますと、この本「PRAY FOR JAPAN』も印税は全部震災の義捐金になります。

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