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2011年4月 6日 (水)

自分が電子出版に失敗したからといって『出版大崩壊』ってわけではないよな

 著者の山田順氏は2010年5月に光文社を辞めた、ということはあの『リストラなう』のたぬきち氏と同じ、光文社リストラ組なのだ。光文社を辞めて電子書籍の出版を始めようとして、しかしそれに失敗する話が本書である。うむ、なかなか厳しい現状なのである。が・・・追い風が。

『出版大崩壊 電子書籍の罠』(山田順著/文春新書/2011年3月20日刊)

 その電子出版にビジネス的に失敗した状況は第9章『ビジネスとしての電子出版』に詳しい。つまり項目タイトルでいうと『ロサンゼルスから来た若きIT企業家』『画期的な電子書籍サイトの誕生』というところまでは、一応先方の担当者というか筆者が書くところの「横川君」をまあ信じていたのだが、『ウィキペディアに自分を書き込む神経』となって横川君の資質を疑うようになり、その結果として『IT側人間はコンテンツに愛情が足りない』と信じるようになり、『電子書籍の収益シミュレーション』をやってみた結果、それは相当(それも本当に「相当」)売れないとダメということになるのだが、電子出版はそんなに売れないことがわかり、結局それは『システム構築と決済手段のコストの問題』ということになり、その問題は『「情報はタダ」はネットの宿命』であり『課金の壁「ペイウォール」は築けるのか?』ということでどうやらそれは無理ということに気づき、実際にやってみた"New York Times"や"Wall Street Journal""Financial Times"「日経新聞」などの例をひきつつ『有料化に挑戦する既存メディア』の状況を負いながら、結局『電子書籍をつくる必要があるのか?』という結論に至るわけだ。結局、「ストック」の情報は紙の書籍で十分でありそれ以上の情報メディアは必要ない。では「フロー」はどうかと言えば、それはウェブの世界に求められるものはブログ、Twitter、Facebookなどの「タダ」の情報網で十分機能している以上、そこで「既存メディア」に頼る必要はなくなってしまう、ということなのだ。

『ウェブは、高度情報化社会のシンボルだが、その実態はまったく逆で、じつは低度情報化社会である。日本のブログ数はアメリカに次いで多いという。しかし、その90%以上は、日常の取るに足らない話を書き連ねたゴミブログである。また、これほど匿名でのブログやツイッターアカウントが多い国はない。

 欧米社会のように実名でフェアに社会に対して関わっていくという習慣がないから、セルフパブリッシングが進めば、アメリカ以上に無責任なコンテンツが溢れるだろう。

 リテラシーの高い人と低い人はいくらインタラクティブだの、ソーシャルメディアだと言おうと、コミュニケーションできない。誰が、自分より知能程度や能力が低いと思われる人間のフォロワーになるだろうか?

 リコウはリコウと交信し、バカはバカと交信する。これが低度情報化社会で、ネットの本質だとしたら、そこれ起こることは「悪貨は良貨を駆逐する」ということではないだろうか』と結論づける。

 しかし、それはネット社会の特徴なんだろうか。「悪貨は良貨を駆逐する」というのはネット社会だけの問題ではなくて、基本的に我々が生きている社会の問題なのだ。要は、社会というのは悪い方へ悪い方へと突き進んでいくものであり、「悪い方」という言いかたがマズければ「楽な方」という言い方でもいい。とにかく、社会というものは、その成員が「楽できる」という方向にイヤでも引きずられるのだ。意識の低い大半の政治家も結局はそんな社会の人々の方向を見ているから、自分が考えている「正しい方向」への道筋を放棄せざるを得ず、どんどんいやな社会への道筋を辿ってしまうのである。まあ、レーニンやチャーチルみたいな「国民を説得できる政治家」というのは、いないのだろうな。結局、バカな国民の後を追うだけの政治家しかいない。

 そのいい例が、いまのリビア情勢ではないだろうか。隣国のチュニジアやエジプトでTwitter革命(という程には革命勢力や指導者がいない「なんちゃって革命」だが)が起きたのを受けて、反カダフィデモが起きたわけなのであるが、結局、それをどうまとめていくのかという指導者がいないまま、西欧NATO軍の石油思惑による介入を受けて、反カダフィ勢力にはアルカイダが出てきたり、もうムチャクチャな状態になっている。まさに「悪貨は良貨を駆逐する」典型例ではあるのだけれども(まあ、カダフィが良貨とも言えないが)、結果、アメリカは石油利権がからんでいるので嫌々参戦、NATOだけが張り切っているという、典型的な米欧の石油戦争の様相になってしまって、リビア民衆の反カダフィ感なんてものは、もうどうでもよくなってきているのだ。いったい、リビア国民は自分の国をどうするつもりなのだろうか。

 ということで、山田氏は以下の結論に至るのであるが・・・。

 第11章『コンテンツ産業がたどった道』の項目タイトルで見ると『苦境に立つレコード業界/CDの売上の急激な落ち込み/アップルだけが儲かるシステム/ゲーム産業の衰退が止まらない/消費者(ユーザー)はつくる側には無関心/どこがクール・ジャパン? アニメ産業の壊滅/デジタル化は失業を生み出すシステム/新聞から出版に移った紙メディアの崩壊/日本でも新聞崩壊が始まった/辞めたい業種のNo.1はマスコミ/全米2位の書店チェーン「ボーダーズ」/娘が誇らしげに差し出した会員証/「バーンズ&ノーブル」も危機に陥る/本棚の本を捨てられるときは来るのか?』

 まあ、自身傷ついたことはあるのだろうけれども、まだ電子書籍には分からない状況がある。意外と、今回の東北関東大震災が「紙の出版にもたらした影響は大きい」かもしれないけれども、その分実は「電子書籍・雑誌には大いなる追い風」になるかもしれないじゃないですか。とにかく、「紙がない」「インクがない」「流通がダメ」なのである。こんな時こそ「電子出版」である。山田氏の結論『第11章』はよくわかるが、それをすべてひっくり返す状況が電子にはある。いまこそ、電子出版の優位性を表明するべき時ではないのだろうか。

 世の中先行きは判りませんからね・・・。

 

 こっちも、読んでやってくださいな。

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