フォト
無料ブログはココログ

Amazonウィジェット

  • Amazonおまかせリンク
  • おすすめウィジェット
  • Kindle

« 『就活地獄の真相』というほどには真相に迫ってはいない。むしろ、大学が多すぎることが問題なのだ。 | トップページ | 西新井大師 »

2011年4月16日 (土)

『東京ファイティングキッズ』って、何て無責任なタイトルなのだろう。全然内容を表してないじゃん。でも、面白い。

 いやあなかなか中身の濃い対話でっていっても「ネット対話」なんだよね。でも、テーマ大杉。まあ、何度もブログ・ネタには出来ますけれどもね。

『東京ファイティングキッズ』(内田樹・平川克美著/朝日文庫/2007年5月30日)

 そうか「ネットスケープナビゲーター」が発売されたのは1994年のことだったのか。ということはまだ私はマックユーザーでパソコン通信なんてのをやっていたころだ。インターネットなんてまだまだ一般化してなくて、ほとんどのパソコンはスタンドアローンで使っていた。そんな頃、はやくもインターネットの可能性に気がついたニューヨークのヘッジファンドに勤めていたジェフ・ベゾスが設立したのがAmazon.comである。単なるネット通販会社でしかないアマゾンであり最初の数年間は赤字を垂れ流し続けていた。ところが、株価はどんどん上がって行ったのである。

『投資家たちはこの会社の将来価値に対して投資をし、巨額のお金がこの会社に集まりました。そしてお金が集まったというそのことが、この会社の現在価値(株価)を上げたのです。ITバブルの始まりでした』

 と書くように、まさにこのころからアメリカ経済は実体経済から離れてしまいレバレッジド経済の方へ、ジャンクボンド経済の方へ進んでしまい、その結果、経済覇権を日本からとり返したのだが、一方リーマンショックに見られるバブル経済へと突っ走ってしまったのである。

 で、多分経済におけるこうしたバブル状況が、政治面でのグローバリズムに繋がっているのではないだろうか。つまり経済におけるリバタリアニズムがどんどん規制緩和の方向に向かっていくように、グローバリズムという政治形態で国と国の国境を無くしていってしまい、世界中が一つの国になればいいという発想なのだが、問題はアメリカ人にとってはアメリカ合衆国というものが実はインターナショナルな存在なのであり、とすると「インターナショナルな場で通じる英語(米語)をみんな喋れ」と言うことになったり、ということは「アメリカと文化を一にする国だけがグローバリズムの対象であり、それ以外の周縁国家はなくなってもよい」という発想になるのだ。

 アメリカ人にとってはアメリカ合衆国自体がインターナショナル、という発想は本当にあって、例えばF1のアメリカGPとかデイトナ24時間耐久レースなんかを主催しているアメリカ国内のモータースポーツ統括団体がInternational Motor Sports Associationなんてとんでもない名前がついていたりするのだ。本来ならばNational Motor Sports Association とかAmerican Motor Sports Assochiationとか言う方が普通だろと我々日本人は感じてしまう。その昔、アメリカのモータースポーツ団体の名前がIMSAだったことを知った時は、本当にアメリカ人ってバッカだなあと考えたものだ。だからアメリカ人は日本に来ても日本語を話そうとはしないし、というか世界中で英語(米語)が通じると思っている、世界で一番の田舎者(アメリカ以外の世間知らずっていう意味です)であるにもかかわらず(あるいは世界で一番の田舎者だからこそ?)、皆に英語をしゃべることを強制するとんでもない人種なのだ。

『エイミー・チュアというイエール大学の若い学者は、壮絶な南北格差が世界に混乱と流血を生み出している現実を活写しています。世界規模で広がる富のとてつもない格差は、それが自由な競争の名のものとに行われながら常に勝者をアングロ・サクソンと華人にもたらす結果となり、やがて民族紛争という形で噴出してくりことになります』『エイミー・チュアも指摘していますが、市場主義の自然過程であるグローバリゼーションは、エスニシティの間に必然的に憎悪を生み出すということだろう』そして「正規軍vs正規軍」といったような対称的な戦争はもはや起こり得ないという状況の中では、ゲリラ戦とかテロしか闘う方法がないのである。テロリストと言ったって、実は昨日までは普通の生活を送っていた彼だし彼女なのだ、それがある日自ら爆弾を抱えて自爆テロに行くのである。それがいまや日常風景になってしまっている国・地域があるという現実。そんな状況を抱えて生きていかなければならない我々の日常を考えれば、グローバリズムやら、アメリカ発のデフォルト・スタンダードなんかには従わないという姿勢が必要だし、東日本震災における米軍の「オペレーション・トモダチ」には感謝しつつも、オキナワは別よという姿勢も必要だ。

 最後に、この本が出版された時点では予想もされていなかったことだが、面白いことが書かれてあったのでそれを紹介;

『危険にはriskとdangerがある、というのです。

「リスク」は統御できる危険(つまり既知の危険)、「デインジャー」は統御できない危険(つまり未知の危険)です。

 リスク・ヘッジが可能なのは、既知の危険因子についてだけです。テース・スタディで対処の仕方が分かっているトラブルだけです。

 でも、デインジャーというのは、「リスク・マネジメント」のやり方そのものの「進化」を要求する種類の危険のことです。これにはできあいのシステムでは対処できない。リスク・マネジメントのシステムそのものを可塑的な状態に維持しておかなくてはならない。

 平川くんが批判していたMBA的な知性というのは、言い換えると計量可能な「リスク」には対処できるけれど、みたこともない「デインジャー」についてはその可能性さえ考えたこともない人たちのことだと思います』

 って、まるで今の東京電力の「想定外の出来事なので」という発言と全く同じなのだ。じゃあ、想定外の事故(それも「事象」なんて言い換えをしているが)が起こったら、それは想定外なので答えを出さなくてもいいのか? ということじゃないでしょう。それが「risk」だろうが「danger」だろうが解決しなければ前へ進めないのだ。まあ、銀行や証券会社当たりでの金融事故(事件)だったら、そこで思考停止して会社を潰せばいいだけの話である。原子力発電所はそういう存在じゃないでしょう。今後、数百年、数千年にまで被害を及ぼす可能性のあるものなのだ。そんな、今生きている我々が生きていて保証できないような時代にまで災厄を及ぼすよなことをしちゃまずいんじゃないか、やっぱり。

『「アメリカン・グローバリズムに洗脳されて思考停止に陥っている日本人」というのはいまの日本社会のシステムそのものが構造的に生み出しているものだと思いますから、このシズテムをもうちょっと何とかしないとまずいんじゃないかとは思います。』というのは全く正しい。東電も、原子力安全委員会・保安院もどうにかしないといかんと思うのだが、まず無理だろう。

 取り敢えず東電は解体して、でもどうせ引受先が同じような民間企業だったら東電と同じことをするだろうから、例えば電力開発会社は地方公共団体の配下においた企業として、もうひとつ電力販売会社を作って、その場合は地域独占は一切なしで競争させるってのはどうでしょうかねえ。「いやあ、うちは原発の電源買ってますからお安くできまっせ」なんてセールストークが出たりして。

 とまあ、ちょっと前の本であるにもかかわらず、いろいろ今の事件・事象(って言葉にも慣れてしまった)に絡んで読めると言うのは、まあそれだけユニバーサルなことを話しているということなのだろう。

 その他、大学における実学教育が無理だっていう、昨日も書いたけど、そんな話とか、「ルイ・ボナパルトのブリューメル18日」とかの噺なんかも面白そうなのだけれども、それはいずれまた、ということで今日はおしまい。

 まあ、「インターネット→レバレッジ経済→ジャンクボンド→グローバリズム→アメリカン・バブル崩壊→で、結局、アメリカ発の(としか言えない)テロ」という連関で世界は暫くは動くのだろう。日本国もそれに付き合うのかなあ。

 その前に、国内では東電を何とかせいよ、何とか。やっぱり「独占企業は腐る」というのは本当ですね。

« 『就活地獄の真相』というほどには真相に迫ってはいない。むしろ、大学が多すぎることが問題なのだ。 | トップページ | 西新井大師 »

書籍・雑誌」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/549500/51386932

この記事へのトラックバック一覧です: 『東京ファイティングキッズ』って、何て無責任なタイトルなのだろう。全然内容を表してないじゃん。でも、面白い。:

« 『就活地獄の真相』というほどには真相に迫ってはいない。むしろ、大学が多すぎることが問題なのだ。 | トップページ | 西新井大師 »

2017年12月
          1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
31            

PEN PEN チョートクカメラ日記

自転車フォトグラファー 砂田弓弦

シュクレはお留守番

アローカメラ&我楽多屋

まだ東京で消耗してるの?