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2011年3月16日 (水)

吉本隆明の先見性について

 吉本隆明といってもハルノ宵子やよしもとばななのお父さんじゃなくて(勿論、そうでもあるが)、「戦後最大の思想家」と呼ばれる「知の巨人」のことである。

『戦争と平和』(吉本隆明著/文芸社文庫/2011年2月15日刊)

 本の内容は、1995年3月10日に行われた「戦後50周年」という記念講演が『戦争と平和」というタイトルで、1979年5月20日に行われた「”全作家”全国大会講演」が『近代文学の宿命』というタイトルで収められている。更に、この本の成立に大事な要素を持ってかかわった川端要壽による『吉本隆明の日常―愛と怒りと反逆』という、吉本が宵子やばななに対する「親バカ」ぶりが出ていたりするエッセイが面白いのだが、ここでは触れない。基本的には、最初の『戦争と平和』についてだけ語る。

 吉本は「国民主権」という憲法の一番大事な部分に触れながらこう語る『国民が主権を直接に行使したいと考えた場合には、過半数の著名を集めて、無記名の直接投票によって過半数を占めた場合には政府を取りかえられることができるという条項を一つだけ設ければ、戦争は防止されるとは言わないまでも、どんな政府ができても大衆の同意なしには戦争はできないということになるんじゃないかとおもうわけです』と。要は、代議制民主主義に対する批判である。

 代議制によって選ばれた議員(まさに「代議士」)は、自らのそのような地位が「既得権益」になってしまう。既得権益を持った人間はそんな既得権益を守ろうとする。それは人間としてやむを得ない行動なのだろう。本人は既得権益には拘泥していない、と言ったところで実は拘泥しているのが既得権益というものなのだ。そんな、既得権益をもった人間は、他国との戦争が始まった時、必ずや他国の侵略に対して(本当はどっちが先に侵略したのかは分からないのだけれども)自国の利益を守るように動くだろう。それは自分の権益を守ることにつながるから。つまり、侵略に対しては対侵略というか、反撃権を主張するのだ。しかし、そうやって戦火は拡大するのである。

 そんな戦争に対して、それについて「否」を言うときには「既得権益を持った代議士」に任せてはだめだという考え方が直接民主主義なのだと思うのだけれども、この講演の頃には、まだ『無記名の直接投票』という提案だった。しかし、もしこれが2011年の現在だったらどうなるだろうか。1995年の時代はまだ「パソコン通信」の時代であり、「パソコン通信」をしている人間の間では「ネット民主主義」はあったけれども、それは広い世界の問題ではなかった。

 しかし、いまやそんな時代からは大いに変わって、いまや「インターネット」の時代である。パソコンだって、いまや国民ほとんどが持っているのではないか? おまけにそのパソコン自体がすべてネットに繋がってるのだ。だとしたら、吉本が言っているような「国民投票」をネットでやればいいじゃないか。ということになってしまうのだ。誰かが日にちを決めてネット投票をする日を呼びかけ、その日に一斉にネット投票をする。

 勿論、ネットに関するネガティブな情報もあることは知っている。しかし、それ以上にポジティブなことの方が多いのじゃないか。だったら、もはや一方で完成しているネットの世界の論談も含めて、「ネット世論」というものを主張してもいいじゃないか。で、その延長的な結論が「ネット直接民主制」なのである。

 1995年段階で、こうした「ネット直接民主制」を吉本隆明は想像したのであろうか。あるいは単なる「戦後最大の思想家」の夢想としてそんなものを、それこそ「夢想」したのだろうか。だとすれば、この時点で「直接民主制」ということを言いだした吉本隆明はスゴいなということである。

 つまり、時代は「直接民主制」の方向に動き出しているのである。昔、ローマ時代にやっていたという「直接民主制」である。それもいま一番先端で動いている「ネット」を通して可能なのである。あとはこうした直接民主主義によって、何か仕事をしなければならなくなった人は、要はボランティアでその仕事をやることになるだろう。つまり、代議制による議員たち(それはつまり「既得権益」の保持者)ではなくて、とりあえずボランティアで、その時決まった法律を執行するのである。

 次の問題が出ればそれはそれでまた直接民主主義で選べばいいのである。そうなるとポピュリズムの問題が出てくるが、別にポピュリズムでいいじゃないか。所詮、かなりの政治は今やポピュリズムで動いてるのが現実である。

 そのために優秀な官僚が、日本にはいるじゃないか。

 ただし、この本で一番面白いのは『吉本隆明の日常―愛と怒りと反逆』だけどね。

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