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2011年3月 2日 (水)

『エロチック・ジャポン』の感心するところは、その旺盛な取材だ

『エロティック・ジャポン』(アニエス・ジアール著/にむらじゅんこ訳/河出書房新社/2010年12月20日)

 とにかくすごく旺盛な取材である。その一端を目次で見てみよう。

第1章 パンティ愛 『幼稚な女の子が理想/ロリコン―「あ、いけない。パンティ、みえちゃった!」/可愛いエロティシズム/ブルセラ―純真の香り、売ります/パンティには不死の力があるのか?/行き恥を晒すのなら死を/盗撮同盟』

第2章 恥の文化 『ああ、恥ずかしい/ぶっかけという顔への攻撃/顔のエロス/テレパシーで脱がせて/日本ヌード小史/見てはいけない猿たちをお隠し遊ばせ/ヌードのタブー』

第3章 水と蛸 『世界の終わりはしょっぱい味/触手怪獣―恐ろしき抱擁/どしゃぶりのオーガズム/ホースに犯される!/パンティの中の悪魔祓い/嘔吐ショー/日本の創世物語―クラゲと雫とヒルコ』

第4章 おばけたちの物語 『私は性器から蘇生した/嫉妬深い女たちの復讐/呪われたラブホテル/日本人にはタブーはあるのか?/恋は闇/死者への愛、動物への愛―冥婚/恐るべき処女たち/死者に盗り憑かれた巫女たち』

第5章 暴力 『レイプごっこで「やだ、やめて!」/エログロ―地獄の国のアリス/汚物の楽園―スカトロプレイ/はらわたを見せれば、その人がわかる/切腹エロビデオ/日本サド=マゾ小史/「女犬」クラブ/縄の巨匠』

第6章 お人形 『リカちゃん人形―誘惑のアナトミー/雛祭り、桃、お尻/人形たちの革命/人形学校/エレガント・ゴシック・ロリータ―街のプリンセスたち/代用妻産業』

第7章 異性装と変身 『セーラームーン―月からやってきた女子中学生/制服フェチ/七夕―恋人たちの祭典/コスプレ―オタクたちのロールプレイ/着ぐるみ―アイデンティティの移動/メイドカフェ―あなたの可愛い女中/ヴィジュアル・ショック―日本のロック・クィーンたち/やおい=男+女+アンドロイド?/男装と女装―宝塚の女形たち』

第8章 男らしさの危機 『宦官国、ニッポン?/全国童貞連盟/花婿学校/マザコン/女の子になりたい男の子/去勢―男たちの場所は?/ふんどし―男らしさの最後の砦/田亀源五郎と超マッチョ・ファンタスム/菊と刀―男らしさとナショナリズム』

第9章 女の子革命 『革命少女たちによる支配/ギャルの乱/援助交際―伝説か、それとも現実化?/伸びていく女の子たち/女の子の名前―「子」の終焉/ドミナの学校/セクハラ―OLの乱/「痴漢は犯罪です」―痴漢に気をつけて!/リンダ―セクシー相撲のスキャンダル/強い女の物語』

第10章 セックス産業 『セックスの街―歌舞伎町/<ソープランド>という売春宿/<デリバリー>という名のコールガール/<ヘルス>という名のマッサージサロン/二流のクラブ<キャバレー>とは?/ピンクサロン/ノーパンしゃぶしゃぶ/テレクラ―女子高生たちの売春/ごっこプレイの<イメクラ>/女性専用のクラブ<ホストクラブ>/露出狂たちの<ハプニングバー>/裏風俗<アダルト・パーティー>/売春する人形<ドール風俗>/ストリップ劇場/ビジネス上手な人たちのための風俗/会社の経費で舞妓さんを/雅やかな嘘の世界―<クラブ>/ナンパからチラシまで<女の子獲得合戦>/日本売春小史/ファンタスムの境界線は? 法律の介入はどこまで?』

第11章 大人の玩具 『奇妙な形の妻たち/肉体淫具<名器>/スーパー・オナニズム・マシーン/使い捨て缶<オナニーカップ>/ハグするための空気入り<抱き枕>/腰下人形<性感クッション>/ボーイフレンドの腕枕クッション/千手観音のバイブ・マッサージ機/正座のOLクッション/胸を大きくさせるガム<B2Up>/パンティの香水<あそこ>/丸められた愛―テッシュペーパー/男性器の<縛り>―和式コックリング/聖なる張り型<金精様>/日本<張り型>小史』

 ということである。要は日本のオタク文化とエロチックな表現がその殆どである。まあ、それも今の日本を認識する方法であろう。

 様々な性にまつわる表現が規制されている日本では、そうした規制があるゆえのいろいろ工夫された表現があり、制限のない(イスラム諸国は除く)諸外国に比較して極めて多様な「性表現」のあり方が現れている。つまり規制されればされるほど人間というものは工夫をこらして、如何にしてその規制をかいくぐって自らの「表現」を獲得するかを考えるものだということ。そんな日本であるからこそ、これだけの豊かな「性表現」が実現したのだともいえる。そんなことからすると、規制も悪いもんじゃないということになるが、しかし、規制があることはあまり気持ちの良いことではない。「東京都青少年育成条例の改正問題」だってあまりいい気もちはしない。が、そんな規制があればあるだけ漫画家はその規制をかいくぐる表現を考えるだろう、という安心感というか「期待」も一方であるのだ。

 いってみれば「オタク文化」もそうした「性表現」の一部であるという捉え方をアニエス・ジアール氏はとっているのである。こういうとヲタクの人たちは気を悪くするかもしれないけれども、まあオタク的な表現の中にはある種の「ねじ曲がった性的表現」があるのだろう。いわゆる「2次元コンプレックス」なんてのも、そうした表現の一種なのだ。

 ということで、ジャポニズムというものをヨーロッパに流行らせたフランスのポップカルチャー・ムーブメントの中に本書も含まれるのであろうか。まあ、エロチックな部分だけが日本じゃないんだけれども、それもいいかもね。日本人はエロばっかりという誤解を世界にばらまくというのもいかもしれない。だって、そうなればそんな国を攻めようなんて国はないだろからね。

 まあ、ちょっと間違っている部分もあるかもしれないが、総体的には面白い本書である。一読をお薦めしたい。

 で、最後に間違いの指摘をふたつ。

 一つは106ページ『東北地方では〈オシラサマ〉と呼ばれる民間信仰があるが、これは牛と結婚した若い娘の物語だという』という部分、「オシラサマ」は牛はなくて馬と契った娘のことである、ということ。これは『遠野物語』を読めば分かります。

 276ページ『政府の圧力によって、東京都特殊浴場協会は、トルコに変わる新しいネーミングを公募した。そして1984年12月19日、〈ソープランド〉という名称が選ばれたわけだ。しかしそれにもかかかわらず、トルコ大使館の努力を欺くように、そこで働くソープ嬢たちは今でも〈トルコ嬢〉と呼ばれ続けている』というが、現実はそうでもないだろう。実際は「ソープ嬢」とか『日刊ゲンダイ』風に「泡姫」と呼ばれているのではないでしょうか。

 

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