フォト
無料ブログはココログ

Amazonウィジェット

  • Amazonおまかせリンク
  • おすすめウィジェット
  • Kindle

« 『高学歴でも失敗する人、学歴なしでも成功する人』って、当たり前でしょ | トップページ | 銀座の写真展ふたつ »

2011年3月 5日 (土)

『自分探しと楽しさについて』じゃなくて「自分語りと(自分の)楽しさについて」でしょ

 なにか他人のために書いた「自分探し」なんてタイトルをつけているけれども、要は森氏の「自分語り」の本なのであります。

『自分探しと楽しさについて』(森博詞著/集英社新書/2011年2月22日刊)

 森氏は数年前に名古屋大学を辞めたようだ。確かに大学教員としての給与と作家としての原稿料と印税で、最早仕事をまったくしなくてもいい状況になっているようだ。つまり『もちろん、今では仕事は金銭的な問題ではない。仕事をまったくしなくても生活には困らない。でも、仕事をしないと、所得税を払わないことになるから、それだけ社会貢献ができなくなる。遊んで暮らせるとはいっても、必要とされるうちは(必要とされているから稼げるのだが)幾らかでも仕事をした方が良いだろうし、そういう気持ちを持っていることが、自分の生活を社会に定着させる良い「摩擦」になるとも思う。さらにあえて書くならば、こんなに長く生きさせてもらったし、楽しませてもらったのだから、これくらいのお返しはした方が自然だろう、というバランス感覚である』ということ。あと5年位で徐々にマスメディアに登場することを少なくしていき、その後はまったく「ものを書く」ということを辞めるようである。

 私なんかは、森氏の小説作品はまったく読まずに、どちらかと言えば森氏の「趣味人」的な模型機関車やら模型飛行機やら自動車改造趣味の方に注目していた人間なので、森氏が「これからはもう小説は書かない」といっても、「ああ、そうですか」というほかはないのだけれども、森氏の小説のファンにとっては大問題であろう。とはいうものの、作家が「もう書かないよ」と言ってしまえば、もう終りである。まあ、それはそれで仕方がない。

 とはいうものの、一方で70歳になっても一生懸命文章を書いて吉川英治文学賞をとる作家なんてのもいる。では何が彼をそんな表現衝動に導いて、森氏のように表現をやめてしまうということに落ち着くのだろうか。

「現状へのいたたまれなさ」ということは言えるのではないだろうか。多分、経済的には最早問題はないだろう。原稿料だって十分もらっている筈だし、印税収入だってあるだろう。もう、書かなくたっていいような個人的な状況にはあるはずだ。しかし、書きたくなるのは何故だろう。それは何か社会に対する不満があるのではないだろうか。あるいは、自らのおかれた状況に対しての不満だろうか。例えば、自分の支持する政党がいまやどうしようもなくなってダメな政党になってしまったとか。例えば妻が自分につらく当たるなんてのも表現衝動にはつながるかもしれない。要は、何らかの「不満」があるのだろうな。それは小状況かもしれないし、大状況かもしれないが、そうした状況に対する「不満」。

 そんな「不満」が森氏にはないようなのだ。う~ん、羨ましい。たしかにあれだけ趣味を持っていたら、それだけで忙しくって完結してしまって、他の部分には目を配ることはできなくなってしまうのかもしれない。いやあ趣味人ってそんな強みがあったのですね。

 しかし、待てよ。じゃあこの本『自分探しと楽しさについて』ったって、要は自分の楽しさについてだけ語って、「自分探しなんてやるだけ無駄よ」っていう本に『自分探し』なんてタイトルをつけるなよ、という気分にもなる。タイトルは集英社が付けたというのが森氏のいいわけなのだが、しかし著者が認めないタイトルはさすがな編集部でも付けないだろうが。

 だとしたら正しいタイトルは『森博詞の自分語りと楽しさについて』になるのだろうが、でもこれじゃあ誰も買わないよな。多分買うのは森氏の趣味人的な部分が好きな人だけ。

 ということで、『自分探しと~』というタイトルになったわけだが、これで騙されて買う読者もいるわけで、まあ、そういう人には「ご愁傷様」と言うだけだ。

 

« 『高学歴でも失敗する人、学歴なしでも成功する人』って、当たり前でしょ | トップページ | 銀座の写真展ふたつ »

書籍・雑誌」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/549500/51032653

この記事へのトラックバック一覧です: 『自分探しと楽しさについて』じゃなくて「自分語りと(自分の)楽しさについて」でしょ:

« 『高学歴でも失敗する人、学歴なしでも成功する人』って、当たり前でしょ | トップページ | 銀座の写真展ふたつ »

2017年6月
        1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30  

PEN PEN チョートクカメラ日記

自転車フォトグラファー 砂田弓弦

シュクレはお留守番

アローカメラ&我楽多屋

まだ東京で消耗してるの?