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2011年3月21日 (月)

『シュルレアリスム』というよくわからない芸術運動について

 昔は龍土町の交差点という丁字路があって、そこから星条旗通りというのが霞町(今の西麻布)方面に延びていた。なぜ星条旗通りというかというと、その通りに星条旗新聞(Stars & Stripes)という米軍機関紙の本社があったからなのだが、さらに米軍のヘリ基地があったという今の人なら信じられないような都心の基地な訳だ。まあ、もっとも戦争に関係した基地じゃなくて、アメリカ大使館の偉いさんなんかが利用した基地であるのだが。

 その龍土町の交差点が今や東京ミッドタウン西という名前に変わって、星条旗新聞とかヘリ基地がなくなって、政策研究大学院大学と国立新美術館というのが出来ている。

 で、今日はその国立新美術館で開催されている『シュルレアリスム展―パリ、ポンピドゥセンター所蔵作品による―』を見に行った。

2011_03_20_012_2

2011_03_20_013_2

EPSON RD1s+Elmarit 28mm (c)tsunoken

 アドレ・ブルトンの『シュルレアリスム宣言』自体は彼の詩集『溶ける魚』の前文として書かれたものであり、つまりそれは詩におけるオートマティスム(自動筆記)について書かれたものであり、あらかじめ書き手の前意識をなくして書くときの筆者の思うにまかせて詩を書くという方法論のことであり、それを芸術的表現の戦略にまで高めたものである。

 したがって、ブルトンのような詩人の場合は判るのだが、絵画や彫刻なんかは、どうしたらオートマティスムが可能になるのかはよく分からない。写真なんかは、撮るまでは何が撮れているかは分からないというところでは、どこかオートマティスムがあるのだろうが、だからといってマン・レイのように、それこそ『蝙蝠傘とミシン』なんていう写真作品は、アンドレ・ブルトンの宣言をそのまま「意識して」写真にしただけではないだろうか、という気にもなってしまう。こうしたシュルレアリスム運動にかかわっていた時期があるというアンリ=カルティエ・ブレッソンは、どういう立場でかかわっていたのだろうか。

 しかし、絵画や彫刻なんかは、基本的に予め「何を、どう作るか」は既に決まっているわけで、ということになると詩のようなオートマティスムによる絵画や彫刻はない訳で、それがどのようにシュルレアリスムなのかはよく分からないところだ。シュルレアリスムの絵画というと、有名なのはサルバドール・ダリの「柔らかい時計」という別名が付いている『記憶の固執』という絵なのだが、それが「シュルレアリスム的なイメージ」の題材を扱っているのはよくわかるのだが、だからと言ってその絵がかかれた経過はシュルレアリスムではない。ダリは予めそのような絵を書こうとしていたわけだ。ということは、題材としてはシュルレアリスムではあるけれども、方法としてはまったくシュルレアリスムではない。つまりそれでは単なる「ジャンルとしてのシュルレアリスム」というものだけであるにすぎない。しかし、シュルレアリスムという「運動」は本来こうした「ジャンルとしての」区分けを否定して出てきたものではないか。それがまた「ジャンル」として囚われてしまうという矛盾。

 でまあ、結局は詩以外の分野でのシュルレアリスムとは「印象派」なんかの制限がなくなった「なんでもあり」の絵画・彫刻形式なのであると考えた方が分かりやすい。だから結局はそのまま抽象派になっていったり、いろいろな広がりをもった芸術運動になって、シュルレアリスムとしては瓦解し、変化をしていったのだろう。

 芸術表現においていろいろな制限やら約束事をなくしていこうという運動。それがシュルレアリスムである。ただし、そう考えると「シュルレアリスム絵画」「シュルレアリスム彫刻」なんてものは「芸術ジャンル」として無くなってしまうのだ。

 アンドレ・ブルトン(巌谷國士訳)『シュルレアリスム宣言・溶ける魚』(巌谷國士訳/岩波文庫/1992年刊)もご一読を。

『自分が自分の本の著者であるとは思わない、なぜならこれはシュルレアリスムの産物としか考えられないもので、署名している者の才能の有無の問題などはすべて排除されているからだ。自分は自分の意見をはさまずにひとつの資料を写しとっただけなのであり、また、罪を問われている書物に対しては、すくなくとも裁判長とおなじくらい無縁なのである』というのが題材においても、方法論においてもシュルレアリスムの基本なんだけれどもね。

『シュルレアリスム展』は5月9日まで開催中。今は結構混んでます。

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