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2011年2月15日 (火)

『サラリーマン誕生物語』から見えてくる、今のサラリーマンの革命観

 この本を読んで、その原点とも言うべき『サラリマン物語』『続サラリーマン物語』(前田一著/東洋経済出版部/昭和3年刊)を読みたくなった。それは多分この本を読んだ人の多くが思うことだろう。

『サラリーマン誕生物語』(原克著/講談社/2011年2月15日刊)

 しかし『サラリマン物語 正・続』編とも同じ年に出版されているということは、正編がさすがに沢山売れたということの証左である。20世紀初めというから日本では明治末期の頃であろう。この本の舞台になっているのはもうちょっと後のようなので、ちょうど明治から大正に移ることではないのだろうか。まあ、要はそんな時代のフィクションとして描いているのだが・・・。

 つまりその頃から出始めた「サラリーマン」という名の、都市労働者に関する記述なのだ。それまでの「労働者」というものとは違う、自宅から遠いところにある「勤務先」に通う、「肉体労働」は一切せずに仕事をする(させられる)都市労働者についての話である。

 まず最初は「首吊り」という風に呼ばれていたいわゆる「つるし」の背広を着て、自動開閉式の扉の省線電車にのって勤務先までいけば、まず「タイムレコーダー」が彼らを待っていて、そこで自らが「時間労働者」であることを知らされる。彼らをまっているのは「鉛筆削り機」であり「ホッチキス(本当の呼び方としては「ステープラー」だとおもうのだが)であり、自動的に切手を貼り密封する「郵送機械」であり、「計算機(カリキュレイトマシン)」であり、カードボックスである。言ってみればそれは「オフィス・オートメイション」(つまりOA)なのであろう。そうしたOAによって、どんどん仕事の幅が(人によっては)狭くなったり、(人によっては)広くなったりしているのが、まさに「サラリーマン」の仕事なのである。

 まあ、昼休みの食事に関しては、ベルトコンベアー式の食事には無関係の「サラリーマン」氏であるから、ここでチャップリンの『モダン・タイムス』的な茶々は入れないとするが、午後には、まず最初に「電送写真」を送るという仕事が与えられ、その後、『「縮小写真撮影」機材一式、マイクロスタット社の読み取り装置「オプティグラフ」一台、イーストマン・コダック社製「撮影フィルム」のリール巻がひとやま』という仕事が与えられる。

「電送写真」とは今言う「ファクシミリ」であるし「縮小写真撮影~」とは要は「マイクロフィルム」のことである。いまや、ファックスは電脳でもなんでもないし、マイクロフィルムなんてものは「デジタルスキャン」でもってコンピュータに取り込まれてしまうのだからもはや影も形もない。しかし、大きいのはこうした「サラリーマン」の仕事は要は「情報化」ということなのだろう。

 例えば、計算機を使っていた仕事というのは、それこそ『武士の家計簿』で猪山直之がやっていたような、御算用者全員でやっていた算盤作業のようなものを、算盤がなかったアメリカとかドイツが算盤に代わる(それも人によって作業効率が変わらないような)方法として考えたのが計算機だったわけだ。『武士の家計簿』と言えば、『アパートの鍵貸します』でジャック・レモンがやっていたオフィス風景を思い出す。多分、森田芳光もその辺をパクったんだろうな。

 更に、ファックスやマイクロフィルムなどもそうだし、要はサラリーマンの仕事の大半はこうした「情報化」を如何に「うまくやるか」ということに割かれているということが良くわかる。

 まあ、確かにサラリーマン(それが計算業務だろうが、クリエイティブ業務だろうが、セールズだろうが)の仕事というのは、そのほとんどが「情報」を如何に「処すべきか」というところにかかわっているのだろうな。で、そのサラリーマンの業務というものが、原氏に言わせると「階級闘争なき階級闘争」なのである。 

 つまり「19世紀的な労働者」の姿とは違う形での「20世紀の労働者=サラリーマン」というものを生み出して、彼らがどういう風な生活・労働観を持つのだろうか、というところに多分筆者の視点は行くのであろう。「サラリーマンが労働者的な視点をもつのであろうか」というところにいくのであろう。

 はたして、「生産から切り離された労働者たるサラリーマン」がどこまで戦えるのかは、まだ見えていない。

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