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« 内田樹と上野千鶴子の違いってなんだろう | トップページ | 『街場の現代思想』も面白いのは前半です »

2011年2月 3日 (木)

なぜポストモダンの文章は難解なのかということについて

 ということで『ためらいの倫理学』第3日目は「他者/物語論」であります。

『ためらいの倫理学』(内田樹著/角川文庫/2003年8月25日刊)

『なぜ私は審問の語法で語らないか』と題する章では『正義と慈愛』『当為と権能の語法 岡真理『記憶/物語』を読む』『ラカン派という症候 藤田博史『人間という症候―フロイト/ラカンの論理と倫理』を読む』『「わかりにくく書くこと」の愉悦について アラン・ソーカル、ジャン・ブリクモン『「知」の欺瞞』を読む』『現代思想のセントバーナード犬』。『それではいかに物語るのか―ためらいの倫理学』という章では『「矛盾」と書けない大学生』『邪悪さについて』『物語について』『越境・他者・言語』『とほほ主義とは何か?』『ためらいの倫理学』という具合。

 つまり、まえ二つのテーマ「戦争論」「フェミニズム論」では多少まとまりを見せた「論」がこの三番目のテーマになると完全にそれぞれバラバラで、まとまりがなくなってしまった。まあ、それぞれ別々に発表した文章を本としてまとめたものなので、それはいたしかたがないが、だとしたら、この三番目のテーマはテーマとせずに、そのまま出してもよかったかもしれない。しかし、それでは書評を書こうにもかけないことになってしまうので、もう勝手なことを書くしかないのだ。

『「わかりにくく書くこと」の愉悦について』で内田氏は『「知」の欺瞞』というポスト・モダニストの悪口をかいた本を取り上げたのだが、『「境界を侵犯すること―量子重力の変形解釈学に向けて」と題する、ポストモダンの知識人たちの著作からの、数学、物理学に関する記述の(ソーカルによれば「まったく意味をなさない」)引用と「あらゆる科学は歴史的生成物にすぎず、仮想的な観測者は徹底的に脱中心化されなくてはならない」というポストモダン的常套句をコラージュしただけのおふざけ論文を「ソーシャル・テクスト」(アメリカのカルチュラル・スタディーズ誌)のレフェリーはなんと受理し、掲載してしまったのである』ということをもって、ポストモダンの思想家たちが、実は思想家自身が自分が書こうとしている主題について、自分自身が理解していない概念を用いてテクストを書いているのではないか、という疑問を呈する。

 つまり『偉大な思想家の考想を咀嚼するには、長期にわたる集中的な読書が必要である。その営みを支援するのに必要なのは、読解力よりはむしろ忠誠心である。知識よりはむしろ信仰心である。「偉大な思想家」とは彼を「理解できること」よりも「理解できないこと」の方から読者が大きな利益を引き出すことのできる思想家のことである。だから最初にいただいた「名刺」を机の前に貼って、「分からないけど、今日も読む」というのが「偉大な思想家」に対する正統的な読み方なのである』ということは、少なくともポストモダンの思想家のものを読んでも何が書いてあるか分からなくて当たり前であり、思想家の方も「そう簡単にわかってたまるか。書いている自分だって分からなくて書いているんだかんな」というスタンスでいるわけなので、私がポストモダンの思想家の書いたものを読んで理解できなくても何の問題もないということなのだ。

 確かに、モーリス・メルロ・ポンティやロラン・バルトも難解ではあったが、1960年代以降のフランスの思想家や哲学者が書いた本に比べれば、遥かに明晰であり明快であった。つまり、構造主義位までは私の読解力で追いつくことはできたが、ポストモダンの文章になるとまったくついていけなくなり、何が書いてあるのかまったく理解できなくなってしまったのだ。これは私の能力の低下であったと考えていたのだが、そんなことなかったのね。

 ああ、良かった。

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