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2011年2月13日 (日)

二人のラテン人碩学の面白い話

 ふたりの碩学が語る書物につての話は刺激的だ。

『もうすぐ絶滅するという紙の書物について』(ウンベルト・エーコ、ジャン=クロード・カリエール/工藤妙子訳/阪急コミュニケーションズ/2010年12月30日刊)

『薔薇の名前』の作者であり記号論の哲学者でもあるウンベルト・エーコと、ルイス・ブニュエルの脚本家であり、大島渚の『マックス、モナムール』の脚本を書いたジャン=クロード・カリエールの対談集である。

 ちょっと刺激的なタイトルだが、語っている内容は1月25日に書いた津野海太郎氏と同じ。つまり、グーテンベルグが発明した活字印刷による本は「車輪」みたいなもので、すでに完成されてしまっている技術であるから、これが無くなることはないだろうということ。むしろ、現在のデジタル技術の方が今後どんな発展をしてくことが読めない以上、これからも廃っていく技術レベルがいくらでもあるだろうということ。今も既にどんなパソコンでも読めなくなてしまっているフローッピーディスクなんてメディアもあるわけだし、今後の問題としてはCD-ROMやCDそのものだっていつ読めなくなってしまうものかは誰もわからない。それでなくともOSの変化によって読まなくなってしまったデータはいくらでもあるし、そのためには自宅に過去のすべての段階のOSの入ったパソコンをとっておかなければならない、なんていう現実的でない発想も必要になってしまう。

 これはエーコも昔イタリア放送協会でドキュメンタリー番組のプロデューサーをやっていたことのある経験からなのだろうか、いずれにせよ二人とも映像関連の仕事をしている経験をもつからだろう。つまり、以前ルーカスフィルムがデジタルシネマの提案をしたときに、ハリウッドの連中は鼻でせせら笑い、100年以上の歴史を持つアナログシネマに対して、たかだか数年のデジタルシネマがOSの変化に耐えうるのかという批判をしたことにも表れるように、デジタルというものがいまだに技術依存である以上、技術の変遷に耐えうるメディアにはなっていないのだ。ハリウッドはいまだにアナログフィルムでの映画保存を行っている。

 人間が文字を発明(発見?)して以来の記録方法である書物、それは本とは限らず木簡・竹簡や巻物などの形態をとるかもしれないが、そうした書物はいまだに読むことが可能だし、現実に読まれている。そうしたメディアが絶滅することはあり得ないことだ。

 しかし、ウンベルト・エーコの7万冊うち奇観本1200冊、ジャン=クロード・カリエール4万冊うち奇観本2000冊って、ちょっとマトモじゃない蔵書の分量は、二人が稀代の読書家であり愛書家であることはよくわかるが、そんな図書館のような知識の分量っていったい何なのだろう。それは知識なんだろうか、あるいは知識を超えたなにものなのだろうか。とにかくとてつもない、果てしなきお互いの知識の「ひけらかし」は、読んでいてとても刺激的なのだが、しかし、多分それを現場で見ているインタビュアーのジャン=フィリップ・ド・トーナックが一番楽しんでいるのだろう。

 そういう意味では、この二人の対談が書物でなく、映像で見られたらもっと刺激的だろう。NHKあたりで放送しないものだろうか。多分、それはサンデルの「白熱教室」以上の見ものになりそうである。

 ところで、この二人のラテン系人士による書物への偏愛ぶりの語りが、そもそもその話の源泉であるところの文化がゲルマン系の人によって実用化されたという、その話の中にアングロ・サクソンが全然現れないのは愉快なことである。まったくこの20世紀にロクなことをしてこなかったアングロ・サクソンめ、というところである。まあ、技術はアングロ・サクソンかもしれないが、しかし文化はラテン人のものなのだろう。

 

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