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« 音羽チャイナタウン | トップページ | 『電子本をバカにするなかれ』って、バカにはしてないですよ。邪魔にはしてますけどね。 »

2011年1月24日 (月)

『電子書籍の正体』なんてものはない。ただメディアがあるだけである。

『ウェブを炎上させるイタい人たち』(中川淳一郎著)や『ネットがあれば履歴書はいらない』(佐々木俊尚著)などの新書を出していた宝島社の別冊宝島から出たのが『緊急出版 電子書籍の正体 出版界に黒船は本当にやってきたのか!?』というのだからお笑い草だ。

 内容は『一企業の都合で表現の自由が侵害される!? アップルが振るう大ナタ「配信拒否」は恣意的な「検閲か!?』『5分でわかる! 業界地図 早くも錯綜した電子書籍界のリアルとは』『インタビュー・宮部みゆき 私が電子書籍に積極的になれない理由』『電子書籍で新刊を出した 京極夏彦と出版社のホンネとは?』『[特別寄稿]上村八潮 電子書籍”ブーム”が終焉を迎える前に』『サラリーマン金太郎の暴走!?』『CEATECにも登場! 日本初の電子書籍 日本の電子書籍業界の未来を徹底検証!』『これでは儲からない 電子出版ビジネス コストと収益構造徹底解剖』『「TWITTER社会論」著者 津田大介・せいぜい「紙媒体の5%」電子書籍の時代はまだ遠い』『フローチャートで一目瞭然! 電子書籍が儲からない6つの理由』『「iPad」電子書籍のランキング徹底分析 115円が350円になったら売れ行きガタ落ち』『電子書籍は紙の本の広告だ!』『これが本当に未来の出版スタンダード? 話題のセルフパブリッシングが書き手にもたらす、「あまり明るくない」未来』『電子書籍の購入者 100人のアンケート』『決済問題から見る 電子書籍の暗い現状』『電子書籍博物館 開発者・ボイジャーの”第1号”と”それから”』『「もしドラ」の著者、電子版を語る 作家・岩崎夏海氏』『権利争奪戦で疲弊する制作現場 電子雑誌の著作権はどこにある』『コンテンツメーカーの収益はどうなる? 日本版電子出版「課題山積み」を際立たせた三省共催「デジタル懇談会」』『業界団体も端末メーカーも死屍累々 電子書籍 失敗の歴史『新聞社が思い描く電子書籍戦略 その「いかんともしがたい」甘さ』『電子書籍、常識のウソ 知られざる思い込みと落とし穴』『「使わないiPad」を買ってしまった人たちの”その後”』『ゆとり教育の二の舞? 官・IT業界主導の電子教科書導入の愚』という具合。

 この内容から見るに、宝島社としては当初電子書籍は「儲かるかもしれない」と思って目をつけたが、印刷、製本、配送、在庫なんてものがないから良いかと思ったものの、実は意外にコストがかかり、なおかつたいして売れないし、おまけにプラットフォームからは「検閲」めいたことまでされるのか、こんな電子書籍ならやらない方がいいっ、てことでこのムックを企画したのかな、という宝島社内部のお話が透けて見えてくる。

 そうなのだ、宝島社は電子書籍という新しいメディアの出現にたいして「もしかしたら儲かるかもしれない」というスタンスで近づいたのである。まあ、企業であるから「儲かるかも」というスタンスで新メディアに近づくことは間違っていない。しかし、もっと早くに気がつくべきなのである。このメディアで稼げるのはプラットフォームだけであるということに。結局、プラットフォーム企業が始めた事業であるのだから、プラットフォームだけが儲かる構造になっており、それ以外の参加企業は儲からないということなのだ。

 むしろ、宝島社というメディア企業はもっと別のところに目をつけるべきなのだ。つまり、今電子書籍で一番読まれているのは何なのかということ。実は紙で「出ている」本は何も電子でもって読みたいなどとは誰も考えていない。電子じゃないと読めない本。つまり今出ていない本なのである。要は、宝島社にもあるでしょ、出版社が「品切れ重版未定」のまま放ってしまっている本、あるいは絶版本なのである。こうした本たちを生き返らせる方法が電子出版なのである。あるいは、青空文庫のように著作権が切れてしまった名作とか。

 つまり、そうした「金にならない本」が電子出版の本命と言える。電子出版に可能性があるといえばそうした儲からない分野である。既に、少量部数しか出版できない理工専門書の世界では、最早電子で出す(パソコンが多いが)ことが当たり前になっている。そんなのが実は電子書籍の一番有力な出版物なのである。

 要は、電子書籍は「黒船」なんかじゃなくて、ひとつの新しい、しかし小さなメディアの出現にすぎない。その小さなメディアであるからこその成功方程式は「儲からない」けど、誰でも出来るメディアの存在ということなのだ。だからこそ、逆に普通の素人でも本を出したければ出せるということなのだ。売れるかどうかは別だけれどもね。まあ、これは自費出版の一ジャンルなのだ。であるからこそ、この新メディアの存在価値はあるのだ。

 つまり、そういうことである。何も大袈裟に『電子書籍の正体』なんて本を出すほどの問題ではないのである。宝島社もそんな「電子書籍にについて語るブーム」に乗って出したムックというだけのことである。

 ああ、買って損した。

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