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2011年1月18日 (火)

『過激派で読む世界地図』とは「貧困で読む世界地図」なのだ

 基本的なことを言ってしまうと、著者の宮田律氏は専門が「イスラム地域研究・国際関係論」であるそうである。国際関係論と言えばニクソン政権での国務長官ヘンリー・キッシンジャー氏が有名であるが、つまり国際関係論というのはユダヤ人のための学問なのである。

『過激派で読む世界地図』(宮田律著/ちくま新書/2011年1月10日刊)

 つまり、国家を持たない(持たなかった)ユダヤ人にとっては、様々な国家の関係を見ながら自らの処し方を決めなければいけない。当然、その中には国家と国家の関係も入っているが、今や国家間の関係だけでなく、国家内部の政治的問題が国家間の関係にも及ぶ時代になってしまい、ということはその当該国家内部の政治問題も検討課題としなければいけない時代になってしまったのである。相手国の国家内部の状態もみながら国家間の交渉を進めなければいけない時代になったのである。だからこその「イスラム地域研究・国際関係論」なのだろう。

 で、本書に書かれた各地域の「過激派」の名前と、その思想らしきものと国名を挙げる。

『第1章 アジア 「東トルキスタン・イスラム運動=イスラム系」(中国)」「解放党=イスラム系(バングラデシュ他中央アジア)」「インド共産党毛沢東主義派=毛沢東主義(インド)」「カレン民族同盟=民族自決主義(ミャンマー)」「ジェマア・イスラミア=イスラム系(インドネシア)」』

『第2章 中東 「タリバン=イスラム系(アフガヌスタン・パキスタン)」「アルカイーダ=イスラム系(サウジアラビア・イエメン)」「モジャーヘディーネ・ハルク=イスラム+マルキシズム(イラン)」「カハ党=ユダヤ至上主義(イスラエル)」』

『第3章 アフリカ 「神の抵抗軍=キリスト教(ウガンダ)」「オガデン民族解放戦線=ソマリ民族主義・反エチオピア主義(エチオピア)」「ソマリアの海賊=貧困(ソマリア)」』

『第4章 ヨーロッパ 「黒い未亡人=イスラム系(チェチェン・ロシア)」「リアルIRA=カトリック(北アイルランド・イギリス)」「バスク祖国と自由=バスク民族主義(スペイン)」「ヨーロッパの反イスラム主義(オランダ・自由党/イギリス・国民党/ハンガリー・ヨッピク/フランス・国民戦線」』

『第5章 アメリカ 「キリスト教右派=キリスト教福音派(アメリカ)」「国家社会主義運動=白人至上主義(アメリカ)」「センデロ・ルミノソ=毛沢東主義(ペルー)」「コロンビア革命軍=マルクス主義(コロンビア)」』

 こうしてみると、アジア、中東、東欧では当然イスラム系の「過激派」が多いわけだ。アジアに関しては、第二次世界大戦後殆どの国は独立したのだけれども、とはいってもインフラもないし、日本みたいに戦勝国から特別待遇で復興を応援してくれた国も少ない。中東は全く放っておかれて、ユダヤ(イスラエル)が勝手に「エクソダス」とか何とか言ってどんどん入植してきてしまう。東欧は旧ソ連が徹底したイスラム教徒弾圧政策を行ってきたのが、ソ連崩壊で一気に噴き出してきたというところか。まあ、元々イスラム教徒が多い地域だからね。

 アフリカではメチャクチャなのだが、実はこれは理由があって、それまでのアフリカの独立運動とか民族解放闘争というのは、旧ソ連やキューバからの支援を受けていたマルクス主義的な運動だったのだが、そのほとんどが目的を遂げ、旧宗主国などからの独立を果たし、今でも闘争を続けているのは、そこからモレ落ちたクズ国家なのである。クズはクズなりに自ら生き抜く方法を考える。その結果として一番目立つのは「ソマリアの海賊」ではないのだろうか。海賊には海賊の正義があり、自分が貧乏なのは国際資本主義の存在が原因なのだから、そうした国際資本主義の企業から金を奪うことは、まさしく正義である、ということなのだろう。

 アメリカは北と中南で分けなければいけない。北(ったってそれはアメリカ合衆国だけであるが)はもうどうしようもないですな。とにかく、WASPの人たちは自分たちの国における存在価値が下がるのが怖いのです。いまやアイルランド系の白人のアメリカ合衆国における存在価値って大したことがないんじゃないかな。イングランド系、ドイツ系、フランス系、イタリア系、北欧系、(ヒスパニックじゃない)スペイン系、そして本当は入れたくないんだけど東欧系も含めて何とか白人優位を保っているという感じだろう。ということで、キリスト教福音派なのだ。勿論、日本の福音派の関係者に聞けば、そんな人種優位主義的な考え方はないという考え方はないということなんだけれども。実はあるんだな。つまり、それはアメリカ白人は移民できた人間だということの証なのである。アイルランドから移民で来て、地元の先住民を追いやって作った国と言うのがアメリカ(勝手に)合衆国なわけである。そんな出自を持っているアメリカ白人としては「いつか自分たちが有色人種から追い出されるかもしれない」という見えない恐怖があるのだろう。つまりそれがヒスパニックや有色人種差別なのである。でも、今やアメリカ白人も含めたアメリカ人全体が選んだ大統領が有色人種で、それも奴隷として使っていたアフリカ系なんだから、もう諦めればいいんじゃないかと思うんだけどもね。

 この辺の、「もう諦めればいいじゃん」というのが、ヨーロッパにおけるイスラム排斥運動だろう。トルコ人を含めたイスラム系の人間を「安い労働力」として移入することを認めたのはほかならぬ彼等の国家である。ところがその結果、実は自国の「安い労働力」が「より安い労働力」によてハジかれてしまったというのが、そうしたイスラム排斥運動のバックにはあるのだ。所詮、それは宗教的なものではなくて生活のための闘いなのだ。

 中南米ではまだまだマルクス主義が生きている。というよりも、キューバの存在とゲバラ主義がまだ生きているということなのだろう。その変形というか、農村革命の考え方が毛沢東主義とゲバラ主義の結びつきになっているのだろう。

 要は、こうして世界の「過激派」というか「抵抗運動」というか、そのどちらをとるかとういうことでその「話者」の立場が変わってしまうということなんだけれども、そうした運動のベースにあるのは、よく見てみると「貧困そのもの」、あるいは「貧困への恐怖」なのである。

 こうした「貧困」による運動でないのはアメリカ合衆国のキリスト教右派とイスラエルのカハ党の動きくらいだろうか。その両者ともこれは「貧困」ではなく「民族的敗退の危機」ということなのだろう。しかし、「民族的敗退の危機」は、もうどうしようもないだろう。それは敗退するしかないのである。おまけにその「敗退」の原因は所詮「移民」なのである。もともと、自分たちの土地でないところに移ってきた移民。イスラエルの場合は「その昔、自分たちが住んでいた」という歴史はあるのかもしれないが、今住んでいるのはアラブ人であるのは間違いない。なぜ、そういう「先住民」と仲良くできないのか。まあ、そこが民族主義なのだろう。

 しかし「貧困」による運動というのは、つまるところ「階級闘争」である。その「階級闘争」が旧ソ連が崩壊してからは、そうした闘争を支援するセンターがなくなってしまって、そのセンターの役割を宗教が請け負っているのだろう。イスラム教はその急先鋒である。

 イスラム教、ユダヤ教、カトリシズムという、元々ユダヤ教に発する宗教がこうして相対して対立しているところをみると、わが仏教がそこには入っていないのは幸せか。まあ、ミャンマーでの僧侶たちの抗議運動とか、前のベトナム戦争時の仏教僧侶の焼身自殺とかあったけれども、それは政治的表明ではあるけれども、過激派というほどのものではなかったろう。これは仏教の他宗教をも受け入れるという不思議な発想法があって、それが宗教戦争にならない原因なのだ。

 まあ、ベトナム戦争当時はドカヘル+ゲバ棒だけで過激派というレッテルを張られたのであるけれどもね。

 いまや過激派の象徴はAK47ライフルである。

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