フォト
無料ブログはココログ

Amazonウィジェット

  • Amazonおまかせリンク
  • おすすめウィジェット
  • Kindle

« 『消費税25%で世界一幸せな国デンマークの暮らし』って、所詮、戦時経済じゃないの? | トップページ | 『殺して忘れる社会』はまさに今の社会なのだなあ »

2010年12月 9日 (木)

日露戦争の写真は「死体」写真ばっかりだが、だからこそ考える意味もある

「陸軍陸地測量部」というと『剣岳 点の記』を思い浮かべるのは私だけではないだろう。そんな、「陸軍陸測量部」が本来の「測量写真」ばかりでなく」こんな写真を撮っていたというのは、考えてみれば当然のことなのだ。彼らは「陸軍」の前に「写真家」なんだからね。

『写真 日露戦争』(小沢健志編/ちくま学芸文庫/2010年11月10日刊)

 つまり、当時ではハイテクであった「写真」というものを、測量、要は地図、というものを作るために活用するのは当然である。なんか、写真ってジャーナリズムの為にできたような感じがあったのだが、そんなものは以後の以後、最初は国益のために使われたのだったな。つまり、当時はまだボックスカメラの時代である。35mmフィルムを使うライカはまだ出ていない。やはり、カメラがジャーナリズムのものになるのは35mmフィルムを使って「隠し撮り」が出来るようになってからかしら、という気にさせる「トロツキーの演説」というロバート・キャパの写真が頭にずっと残っているからかもしれない。いずれにせよ、時代はまだライカが出現せず、ウル・ライカが出現したのはこの時代から10年後の1914年のことだし、取材にまあ使えるライカⅠAは1925年、取材に普通に使えるライカⅡは1932年だから、まあ、ライカは第二次世界大戦のカメラと言えばいいのだろうか。

 で、その陸軍陸地測量部が雇った写真家たちが撮った写真は、夥しい戦死者の写真だ。壕に横たわる延々と連なる戦死体、この意味するところは・・・。

「壕の中に延々と連なる戦死体」は、つまり国対国の対称な戦いの結果である。同じ考え方の国が、特に白兵戦では要はどちらがたくさんの軍隊を出して、どちらがたくさんの死者を出すかということで、戦いの帰趨が決まったのである。なるほど、日本軍の将軍たちのほとんどが西南戦争や戊辰戦争を戦った元武士であることからも、こうした「どちらがたくさん死ぬか」という戦い方を取ったということがよく判る。現在の国対ゲリラ&テロリズムという非対称の戦争ではこうした「壕の中に延々と連なる戦死体」という光景は見られない。まだ国対国の対称的な戦争が行われていた時代の写真であるということがわかる。

 これを見て「幸せな戦争の時代」と言ってはいけないんだろうが、でもそんな気もする写真なのである。

 こうした対称的な戦争が行われていたのは、多分第二次世界大戦の頃までなのだろう。特に第二次大戦後のベトミン対フランスや解放戦線&北ベトナム対アメリカという戦争では完全に無くなってしまっていた。ところが、この戦争に対称戦のやり方で戦っていたのがアメリカ軍なのである。当然、解放戦線や北ベトナムは「卑怯」なやり方でアメリカ軍と戦う。まあ、それがゲリラ戦というものだからね。そんな「卑怯」な戦争のやり方に慣れていなかったアメリカ軍が敗戦するのは当然であり、もういやだと言って南ベトナムにまかせて勝手に撤退したのは、かなりマズい状況を作ってしまたのだけれども、それもアメリカの内政を考えればしょうもない選択でしかない。つまり、ここにもある「対外戦争は国内政治の反映」という理屈。

 所詮、戦争なんてものは「国内政治のほころび」をどうやって紡ぐかという結果に過ぎないのであって、それが対外的にキチンとした論理で説明できるものではない。そうした、説明できる戦争は、多分ゲリラ&テロリズム側の戦争だけだろう。

 という意味では、日中台韓北鮮露の間の「国対国」の戦争はまず起きないだろう、ただし、国境を巡る小競り合いはあるだろう、というのが普通の観測ではあるが、はたしてどうだろうか。

 しかし、こうした写真を「測量」の間に撮っていたというのも、当時の日本陸軍の余裕なのかもしれない。まあ、余裕を持っていた時期の方が面白いものが出来るな、ということである。

« 『消費税25%で世界一幸せな国デンマークの暮らし』って、所詮、戦時経済じゃないの? | トップページ | 『殺して忘れる社会』はまさに今の社会なのだなあ »

写真・本」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/549500/50237508

この記事へのトラックバック一覧です: 日露戦争の写真は「死体」写真ばっかりだが、だからこそ考える意味もある:

« 『消費税25%で世界一幸せな国デンマークの暮らし』って、所詮、戦時経済じゃないの? | トップページ | 『殺して忘れる社会』はまさに今の社会なのだなあ »

2017年3月
      1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 31  

PEN PEN チョートクカメラ日記

自転車フォトグラファー 砂田弓弦

シュクレはお留守番

アローカメラ&我楽多屋

まだ東京で消耗してるの?